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【浦和vs湘南】惜しい気持ちと、消えない光明【J1リーグ 18節 感想】

サッカーと赤菱を愛する皆様、こんにちは。
積み感想も終わりが見えてきました、くろだです。

今節は、諸々の問題で公式記録としては0-3で浦和の敗戦扱いとなってしまった湘南戦ですが、試合の中身としては非常に見所のある試合だったと思います。
湘南のプレスに対して少しずつ耐性を獲得していった浦和の振る舞い、ミスを犯した後の鈴木彩艶の振る舞い、大久保の堂々たるプレーなど、今節が見せてくれた色々がこの後のシーズン後半戦でどう活きていくのかを想像する事がとても楽しみです。

今回もだだだだーっと書いていますが、試合のおおまかを把握する一助となれば。

強い気持ちで。

スタメン

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【浦和】
後半19分 田中(達)⇆関根 金子⇆柴戸
後半30分 小泉⇆興梠
後半45分 大久保⇆杉本

【湘南】
後半16分 タリク⇆町野 池田⇆名古
後半30分 畑⇆岡本
後半38分 田中(聡)⇆オリベイラ 山田(直)⇆梅崎

試合雑感

今節は、天皇杯で良いパフォーマンスを見せた大久保がスタメン。
汰木が神戸戦でフル出場した事もあり、疲労を考慮した結果ともいえますが好パフォーマンスの先にリーグ戦でのスタメンが見えている、という状況は依然変わらずという方向で見ておきたいな、と思います。よっぽど懸念材料があれば小泉なり関根なりが入っていたでしょうし。

さて、試合序盤は積極的にプレスをかけてくる湘南に対して浦和はビルドアップでボールを動かしながら前進を試みる、というおおよそ想像された通りの展開。鈴木彩艶も落ち着いて降りてきた柴戸への配球やプレス回避を見せています。その後、浦和はスローインでの金子の横断から一気に前線に侵入し、トランジション時に湘南の両サイド深くへの配球をベースにして湘南に主導権を渡さないまま先制点が生まれます。

前半8分の段階で何度も畑の裏を使いながら攻め込んでいた浦和ですが、クロスからのこぼれ球をユンカーが流しこむ形。セットプレー残りで槙野がクロスに対して競っていたのに驚きましたが、うまく展開の中でチャンスを得る事が出来たシーンでした。

同じ3(5)バックのチームとしても広島とキャラクターの違いが見てとれて興味深い試合となりましたが、積極的にプレスをかけつつ両サイドも対面に対しての迎撃守備を志向する事から浦和にプレッシャーをかけていきます。トランジション局面ではなく少しでも引く局面になった時の湘南の守備ブロックの強度は高く、先制点で利用できた裏のスペースへの配球に苦労します。
そうして徐々に小泉がビルドアップやライン越えを狙う局面に顔を出した結果ポジションを下げるシーンが目につくようになって飲水タイム。

湘南のプレス経路を見ていると浦和が左サイドに配球してくることを嫌っている節がありますが、西のサイドを押し込みながら浦和の攻撃の流れを停滞させたい、という意図もあったのかもしれません。
飲水タイム後、より圧力を高めた湘南の守備にボールをさらわれて失点を喫してしまいましたが、金子にミスがあった事は当然覆しようもないとしてもビルドアップ局面で人数を合わせてくる相手に対しての周囲の動き方についても一考の余地があったのかもしれません。
該当のシーンでは金子が槙野への展開をマーカーの牽制で避ける事になりましたが、この時点での駆け引きの引き出しの数がもっと増えてくれば今後は今回の様な失点は減っていくのではないかな、と。

同点になった後はミドルサードでの湘南の圧力が高まり、ウイングバックとインサイドハーフに挟まれるシーンが散見されるようになります。
序盤はプレッシャーラインを越える際にレイオフや並行サポートを多用する事でパスのレシーバーがスペースを得るための手段となっていましたが、徐々にボールを受ける動きに対してのプレッシャーの高まりによって押し返される頻度が上がっていきます。
前半終了までの時間帯の浦和は、前半終了直前のシーン以外ではゴール前に迫る事が出来ず、トランジション局面で湘南の陣形が延びていた状況を活かす事が出来ませんでした。
それも湘南のプレスの強度やコースの切り方が上手かったという部分が大きいとは思いますが、自分たちのやりたい事が上手く表現させてもらえない状況がこの試合を難しくさせていたと思います。

後半に入ると、両軍とも初手からプレスの圧を強めて主導権を握りにかかります。その中でも浦和はボールを握りながらプレスをいなしつつ、試合の流れを落ち着かせながら湘南ゴールに迫ります。ビルドアップから湘南の陣形の間に入りつつ前進をしていきますが、最終局面ではなかなかゴールを割る事が出来ず。小泉の惜しいヘディングもありましたが、押し込んだ後の湘南のカウンターで逆に押し込まれる展開に。

浦和の2点目はその状況からのカウンターでユンカーが素晴らしいループシュートを決めたものでしたが、ビルドアップから相手の構造のスキをついて、というゴールがここしばらく見ることが出来ていないのは気がかりです。単純にプレスや中盤の圧力がそれをさせてくれないのかという問題なのかもしれませんが、後半開始直後の浦和の振る舞いを見ていると少しずつ相手の配置に対しての道筋を見出しつつあるような雰囲気も感じましたし、相手のプレスの強度が高いなら高いなりのラインを越えるタイミング、配球するタイミングというものを感じさせてくれていた様にも思えるだけに、このカウンターでのゴールが状況を変えてしまった可能性もあるのかもしれないなぁ、と。

理想を言えば、そんな状況に関わらず、相手の強度とタイミングを逆手にとってポジションと配球を取れれば最高なんですが、実戦で表現出来る機会がもう少しあっても良かったのでは・・・というのは傲慢な考え方かもしれませんが、惜しさを感じる所でもあります。

2点目を取った直後の浦和の様にミドルサードを越えてしまえば押し込み続ける事も出来るだけのボールスキルとスペースの見方をしていると思いますが、相手の陣形が寄りやすい状況ではなく、もっとバランスよく圧力をかけてくる場面が多ければ多いほど実りも多かったのかな、と。

63分の選手交代を見てみると、しっかり刺せる体制を維持しつつゲームを締めにかかる雰囲気も感じますし、柴戸と関根はボールを持ちながらしっかり間を取りつつ落ち着いたプレーを見せてくれました。何回かあったユンカーの惜しいシーンがひとつでも決まっていたら結果は変わったのかもしれませんが、それはチャンスシーンを数多く作る事が出来た事の方を評価すべき、という感じなんだろうな、と。

その後は、鈴木彩艶の飛び出しがウェリントンとの勝負に負けて同点、ビルドアップ時のパスがズレたのを押し込まれて勝ち越しを許してしまい、最終的に敗戦となりタイムアップ。惜しい場面がありつつ、悔しい場面もありつつ、涙を呑む結果となりました。

鈴木彩艶選手について

今回は、少し別項で尺を取りたいと思いますが、湘南に勝ち越しを許す結果を招いた鈴木彩艶選手のプレーについて。
失点シーンに絡んだ部分以外は、相変わらずの素晴らしいプレーだった事に異論がある人はいないのではないかな、と思っています。
ビルドアップ時の落ち着きやパスの配球、コースの見え方なんかは非常に頼もしさを感じるものでしたし、オリンピック代表への合流が更に意欲を増す結果になったのだろう事は想像に難くありませんでした。

2失点目の場面で飛び出した判断自体は良かったと思います。もしかすると、自身の身体的ポテンシャルと感覚がまだ一致を見せていないのかもしれないな、というハイボールに対してのプレーは以前から見えていた部分でもありますので「この時が来たか」という感覚で捉えていますが、これに懲りずに積極的なプレーを心掛けて欲しいな、と。
川島永嗣選手がインタビューで語っていた事が記憶に新しいのですが、欧州のキーパー観では「アタックする」事を評価するんだ、という話がありました。奇しくもオリンピック代表候補として合流する事となった時に鈴木彩艶選手を評価する要因の一つとして「サイズもウェイトもあってアタック出来る」という話があった事とも符合を見せていた事を思い出します。
アタックの精度について不安が出てくるかもしれませんが、世界基準のプレイヤーを目指すうえで避けては通れない道でもありますし、そもそも該当のプレー場面で鈴木彩艶選手だけの責任とするのも無理があるのでは、という気持ちもあります。
強い気持ちで、頑張って欲しいな、と思っています。

3失点目についても、2失点目を喫した後のメンタルの立て直しに時間がかかったのだろうと想像していますが、これを糧にしてくれればもっと大きなプレイヤーになれると期待しているので、強い気持ちで。

さいごに(この試合で感じた光明)

そして、最後にこの試合を通じて感じた光明について触れて終わろうと思います。

まず、大久保選手。
天皇杯での好パフォーマンスの印象のまま、この試合でも躍動を見せてくれたことがとても気分を上げてくれました。
ドリブラーとして汰木・関根・田中(達)のどれとも特性が違う感じで、どちらかというと原口元気に近いタイプなのかな?でも違うな?という印象を持っています。
縦への速さ、ターンの半径の小ささ、スラロームの鋭さというのは非常に大きな武器ですし、トランジション局面で多少狭そうに見えても推進力を発揮する事の出来る特性として今後も大きな活躍が期待できそうな選手が現れたのだな、と感じます。

そして、興梠選手。
ここまで少し身体が重く感じるなと思う場面が少なくありませんでしたが、ここに来て身体の切れや局面での強度が上がってきたな、という場面が増えてきたと感じます。
今現在として札幌からのオファーがある、という報道がありますが、まだまだ浦和において貴重な戦力であるのは間違いがないですし、なにとぞ・・・という気持ちですが、最終的には興梠選手の判断を尊重しなければとも思っているので、残ってくれれば泣いて喜びますし、移籍するとなったら泣いて送り出す事になるんだろう、と思います。
とはいえ、興梠選手後を考えないといけないな、というのは3年前から考えていた事でもありますし、なかなか難しい時期に差し掛かっているんだなぁ、と。悩ましい限り。。。(;´Д`)

というわけで今回は長々と書く事になってしまいましたが、今節がある事で今シーズンの浦和がチームとしての強度を上げていく事になる分水嶺にもなりかねないな、という気持ちです。
本当、この試合があったから強くなれた、という風に笑ってシーズン終わりに飲みながら話が出来たら最高ですよね!

さて、次は柏レイソル戦ですが、積み感想も終わりが見えてきましたし、強い気持ちで。

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