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【清水vs浦和】勢いを削ぐための数ステップ【J1リーグ 第8節 感想】

サッカーと赤菱を愛する皆様、こんにちは。
今シーズン序盤からジリジリとした気持ちを仄かに感じていた方にとっては溜飲が下がったであろう鹿島戦を経て、ロティーナ監督が今シーズンから指揮を執る事になった清水エスパルスとの一戦を迎えました。
前節は徳島に惨敗を喫した清水エスパルスですが、トランジションを極力減らしたいというロティーナ監督の志向が仄かに見えたものの、まだまだ仕込みには時間がかかるのだろうな、という挙動を見せていました。
今節においては浦和のストロングポイントを消しにかかりつつも、セレッソ時代にはハッキリとは見て取れなかった能動的に相手守備陣を崩しにかかろうという意識が垣間見えて、ロティーナ・エスパルスの今後がどの様になるのか楽しみな一戦にもなりました。

今節は、前節で浦和が上手くいった仕事ぶりと比較して清水が見せた挙動と今後に向けての課題として感じた所を書いていこうと思います。

スタメン

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【清水】
後半9分  ディサロ燦⇆後藤 ヴァウド⇆エウシーニョ
後半17分 中村(慶)⇆鈴木(唯) 竹内(涼)⇆河井
後半37分 奥井⇆西澤

【浦和】
後半23分 武藤⇆興梠
後半31分 武田(英)⇆杉本 関根⇆宇賀神
後半39分 西⇆汰木 小泉⇆伊藤(敦)

試合雑感

今節、清水は序盤から浦和のビルドアップに対して4-3-3のような陣形に結果的になる形で相対する事が多かった様に見えます。これはボールポジションがミドルサードにあった時に顕著でしたが、浦和のビルドアップ時のセンターバックの位置を基準にしたことから竹内(涼)や中山(克)が小泉を見るケースが多かったからともいえるのかもしれません。
傾向として果敢な前プレスというよりは前線は浦和の配球経路や進行方向を制限しようという意識が強め、ポジションを崩す事が少なかった事から西が鹿島戦と同様にスペースを享受する事が思うようにいきません。

鹿島戦以降の浦和は効果的な配球を行える選手が小泉と西になった事でチームのボールの循環がスムーズになったと思っていますが、まず手を打ったのが西の挙動を制限する事だったんだと思います。
右サイドハーフに関根を起用した事により、宇賀神が出場していた時ほど高い位置を取らない西の展開力を削ぐことで浦和のボールの循環を窮屈にさせる、その上でビルドアップの出口としての小泉に対してもセンターバックからの配球を制限する事で対処しようというイメージだったんじゃないかな、と。

それでも38分ごろなどは分かり易いと思いますが、パスレンジの広がった小泉が左サイドの山中に展開し、山中から中央への配球によって相手ラインの背後へボールを届けるなど有利な形を取る事が出来るようになります。
その流れで山中が左サイド深くまでボールを持ち込むことが出来るようになり先制点へつながるコーナーキックを得る事になります。
清水は前線を3枚にしたことによって必然的にスライドが間に合わず、逆サイドへの対応が薄くなってしまった事のリスクを受ける事になりましたが、もともとブロックを形成した際の流動性が高い訳ではないロティーナ監督のやり方からすると前線を3枚にした是非というものも考える必要があるのかもしれません。

後半に入ると清水はバランスを崩しながら点を取りにかかります。
トランジションを避けたい志向を持っているロティーナ監督からすると苦しい展開ですが、クラブからのオーダーなのかもしれないな、とも思う訳です。それとも、4-4-2ブロックを堅牢なものにするためにのステップがまだまだ残されているのか。
どちらにせよ、結果的にトランジションの数が増えてしまい、理性的な配置とはとても言えない様な陣形を続ける事になったロティーナ・エスパルスですが、トランジションの数が増えればあともう一歩(でも人数が足りない)という場面がそれなりに出てくるわけで、選手側とすれば我慢が利くかどうかの悩ましい展開が続きます。

対して、浦和は清水がバランスを崩した事によって両翼が積極的に高さを取ることが出来るようになりましたし、点には結びつきませんでしたが清水のディフェンスラインを押し込む事が出来た事によって中盤での振る舞いにも余裕が出てくる展開となりました。
中盤に人数をかける事が出来る浦和の4-1-4-1的振る舞いはそのままネガティブトランジションや清水のビルドアップ阻害に有効となりましたし、多少局面での駆け引きでリスクを取った事によって前進を許す場面がありましたが、最終的に清水が前に急いだことで最終ラインで防ぎきることが出来ました。

後半23分には興梠が武藤と交代で入りましたが、前線で起点になれる反面、守備時の前線での活動量という意味では物足りない交代でもあります。最前線に興梠が入った時の効果的な組み合わせについてはまだ見出せていないという事なのかもしれませんが、より中盤の活動量を高めるか興梠の主戦場を最前線から少し下げる必要があるのではないかな、と思ったりもします。
杉本が幅広い範囲で影響力を行使しようと志向していますが、この辺の動きの調整が成された先に良いバランスが見えてくるのかもしれません。

さいごに

今節を経て、おそらく浦和対策の第一歩として西に自由を与えない、という項目が初手として刻まれる事になると思います。
この後の徳島戦でも清水戦と同様に西がスペースを享受する事が出来ずに窒息しそうになる場面も少なくなかった事から、スタンダードとなるのではないかという予感はありますが、西にスペースと時間を与えるのか少ないスペースと時間でもボールの循環を果たせるように挙動を変えるのか、どのような進歩を見せてもらえるのか、という部分で楽しみでもあります。

ただし、西に与えられるスペースと時間が少ない状態でボールの循環をスムーズにするためには他のポジションが適切なローテーションを行う必要もありますし、必然的に活動量も増えます。今後は、その活動量の担保をどのようにするのか、という課題がありますし、現時点では伊藤(敦)と柴戸の成長によってある程度の期待が持てる事、スカッドとして金子も控えている事から4-1-4-1的配置とはならない可能性もありますが、4-2-3-1でも十分に機能する可能性はあります。

右サイドにせよ左サイドにせよ、大久保や田中(達)が控えていますし、戦術的な挙動がもう少し整備された先に、シーズン後半戦となるとは思いますがより高まった浦和レッズが見られるのではないかと期待しています。

強い気持ち。

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