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【広島vs浦和】チーム力の高まりと経験値【J1リーグ 16節 感想】

サッカーと赤菱を愛する皆様、こんにちは。
積み感想も少しずつ消化を進めていますが、まだ7試合も残っているクロダです。

今回は広島戦の感想です。
おそらく、3バックのチームとして今シーズン完成度の高いレベルにあるチームとの対戦という事で、これまでやってきた事、各ポジションの基本タスクを鑑みながら、そして少し小さめの試練が鈴木彩艶にも訪れつつあるな、という所を考えながら書いていこうと思います。

スタメン

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【広島】
後半13分 柴崎⇆川辺 長沼⇆浅野(雄)
後半22分 ハイネル⇆森島
後半31分 エゼキエウ⇆茶島

【浦和】
後半18分 田中(達)⇆関根 伊藤(敦)⇆山中
後半34分 汰木⇆武藤 K.ユンカー⇆興梠
後半44分 小泉⇆阿部

試合雑感

まずは、広島の布陣に対してどの様にビルドアップをはかるか。
広島の中盤の人数が厚いため、ビルドアップの出口をどのように見積もるのかが注目だが、カウンタープレスよりは引き込んでからひっくり返す展開が望ましいのだろうか。
広島はトランジション局面では中盤のウイングバックを含めた4枚がしっかりフィルターとして機能しつつ前線のシャドーがプレスバックする事で壁を用意。そこからのショートカウンターが基本路線か。
序盤は浦和のビルドアップが出口を見つけることが出来ずに前線へのロングボールとセカンドボール回収をベースにしてゴールに迫ろうとする。

10分を過ぎたあたりから浦和の前線が下りる事で広島の中盤をピン止めしつつフォワード脇をビルドアップで使おうと試みる。これ自体は広島のプレッシャーが容易に前進を許さないがビルドアップにおいて浦和が試行錯誤をしている成果の一つではないか、という部分に見える。
相手の中盤の枚数、というよりはスペースの認知とサイドハーフとインサイドハーフのビルドアップ時における原則がちゃんとかみ合った上でタイミングを調整する事で成立していると見ても良いのではないか、と思ったり。

先制点の場面はビルドアップの時点で小泉が右サイドに移動し、西がハーフスペースに。小泉から田中(達)への縦パスが通った段階で広島の中盤ブロックを無効化してしまった事がユンカーのゴールに繋がった。

失点した広島はプレスの圧力を高めにかかってくるが、浦和のビルドアップが落ち着いて対処。槙野の明本へのパスがカットされるなど危ない場面もあったが、自軍がボールを握っている場面では危うさはそれほど無かったのではないか。
逆に、広島にボールを持たれた場面では3バック相手のプレス、というよりは3バック+4枚の中盤に対してのパスラインの管理が困難だった、という良い方の方が適切なのかもしれない、と思います。
ある程度前線で枚数を合わせながらプレスをかけるのが手っ取り早いようにも思えますが、そうすると浦和の中盤の人数が足りなくなってしまう、連動してディフェンスラインの枚数含めたバランスを崩してしまうリスクがあった事から、プレスのルートなど含めてもっと煮詰める必要があるにせよ展開としては避けることが出来ない状況だった、と言えると思います。

そうして広島はコーナーキックを直接蹴り込んで同点に追いつきますが、鈴木彩艶のハイボール耐性を上手く突かれてしまった格好となりました。ボールを握っている場面であればこの弱点が決定的とはなりませんが、ボールを持たれた状態で規制をかける事が難しい状況に陥った状態ではセットプレーの機会も増えるでしょうし、少し危険を感じる状態。

点差が落ち着いた事で、両軍の展開はボールの差し合いに移行しますが、浦和は伊藤(敦)または柴戸が下りながらビルドアップに参加し始めますが、ミドルプレスを主としている広島は簡単に釣りだされない格好。
小泉が下がってビルドアップの出口として機能しようとした場合には激しいプレッシャーがありましたが、基本的にはコンパクトな陣形を維持する広島を攻略する事に手間取ります。
一瞬、間延びする瞬間もありましたが、それも浦和が早々に前線へと配球した事で中盤に出来上がったスペースを有効に使う事が出来ませんでした。
この辺は、考え方の一つとして中盤のプレスを集中させて密集から展開する動きが取れれば逆に浦和のチャンスに繋がりやすい場面だったと思いますが、それはそれで奪われた時のリスクが強いという事も念頭に置く必要があります。

後半に入ると、広島のラインの基準が少し上がった印象を受けます。
浦和のビルドアップに対して積極的にプレスを敢行し、窒息させようという趣きになっていきましたが、城福監督のやり口として前半は省エネ、後半でギアを入れる、というやり方があったな、と思い出す良いケースだったかと思います。
これによって、浦和はトランジション時のスプリント数が増える事になりますが「ここを越えればチャンス」という場面を作る事にもなります。
結果として有効なパスラインを通すことが出来ませんでしたが、徐々に広島の守備陣形が間延びして行っている様子が動画からは伺えます。

後半に川辺と浅野が交代で入った事も、ある程度伸びた陣形でも強度を維持するためのものだったろう、と思いますし、ここから守備ブロックが4-4-2然としてよりバランスを取りながら前にも打って出れる、という姿勢に変化したように思います。
浦和の交代は関根と山中でしたが、これによって小泉が組み立てに参加しつつ前線でユンカーを起点にしながらサイドへの展開を狙う形に。65分のクロスは惜しくもコーナーキックとなりましたが、ここまで苦労していた広島のブロックに対してどう振る舞うか、という部分で狙いどころを明確にした印象を受けます。

試合時間が進むにつれて広島が積極的にプレスに行く場面が増えた事もあってパスルートの選択に困らない場面が増えていきましたが、ここで簡単にボールを失わないようになった柴戸がいる事でビルドアップ時の循環がスムーズになった事と、小泉と二人で中盤でのボールの動きを円滑にすることが出来た事が大きく働きます。
PKに繋がった興梠への配球も柴戸と小泉がいた事でプレスをかわしつつ大きく前線へボールを送る事が出来た事に繋がりましたし、スタビライザーとして大きな力を示してくれたのではないでしょうか。

残念だった(というのは言い過ぎですが)のは最終的に同点にされてしまったミドルシュートの場面。ブラインドになってしまっていた事で反応が遅れたと思われますが、軌道の予測、またはアングルの取り直しなどステッピングなどの判断の総合において改善点として今後取り組むための良い教材となったのではないかと思います。

さいごに

本節は有り体に言えば「経験の浅さ」が失点を引き起こしたとも言えますが、鈴木彩艶のこれまでのパフォーマンスから考えると出来過ぎという位良い試合が続いていた事、彩艶の苦手とする場面が基本的に訪れる事が無かった事が幸いしていたと考えるべきなのかな、と思います。
この記事を書いている時点では湘南戦での失点を知っている状態で書いていますが、鈴木彩艶の経験の浅さは織り込み済みで成長を楽しみに見守る段階だと思っていますので、シーズン折り返したあとにオリンピックを経てどれだけの伸びしろを感じさせてくれるのかに期待していきたいなと思います。

次節は名古屋戦。
結果は0-0でしたが、試合内容も相当抜け落ちているのでしっかり見返して感想を残していければと思います。
ってか、長澤が元気そうで何よりだったんですけど、複雑な気持ちもあってですね・・・うむむ。

つ・・・強い気持ち(;´Д`)

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