FIFAワールドカップ・欧州予選 グループC 第7節 スイスvs北アイルランド感想
サッカーを愛する皆様、こんにちは。
くろだといいます。
ワールドカップ欧州予選アーカイブ計画として、僕は「#W杯欧州予選グループC全部見るマン 」として今回はスイスvs北アイルランドの試合をお届けします!
試合前情報
消化試合数の関係で勝ち点ではイタリアの後塵を拝したままのスイスですが、10月シリーズを連勝で終えることが出来れば勝ち点でイタリアに並びますし是非とも勝利を収めてはずみをつけたいところ。9月シリーズで対戦してからすぐの再戦となりましたが、前回対戦時は北アイルランドの5バックに対してゴールを割ることが出来ずにドロー決着となった雪辱を晴らすことが出来るかどうか。
対して北アイルランドは前回ドロー決着となったものの、ブルガリアがリトアニアに敗戦した事によって順位で上回ることが出来る可能性が出てきました。基本布陣としては5バックを基本として、耐えながら反撃の機会を伺う形になりそうです。
スタメン
両軍とも基本的な配置を前回対戦から変更し、北アイルランドは中盤に4枚を並べる様相でスタメン発表時から耐えて忍ぶスタイルを見せそうな布陣。
スイスも前回対戦時とは前線の顔ぶれ・布陣ともに変えて臨みます。前回と同様ザカリア(6)とフロイラー(8)が中盤の底に位置しますが、前回対戦時とは噛み合わせも変わってきそうなので、その中でどれくらいの仕事を見せることが出来るかに注目したいと思います。
試合雑感
北アイルランドは出足から積極的に前からプレッシャーをかけていきます。
ダラス(14)とサヴィル(6)が絞って5-2-2-1の様な布陣でスイスのビルドアップに対して構え、ボールポジションが自陣寄りに侵入されていくにつれて5-4-1の陣形となっていきますが、スイスが中央へのルートから侵入しようとした時にはディフェンスラインから飛び込んでいき強いプレッシャーをかけます。
サイドへルートを見出そうとした時には5バックが中央に絞ったり広がったりと柔軟に対応しようとします。
しかし、試合の立ち上がりは非常に良いものと言えそうだった北アイルランドは一本のパスで陣形を大きく崩してしまい、ザカリア(6)のミドルシュートを許してしまいます。
これはVARの介入によってノーゴールの判定となりましたが、北アイルランドとしてはこの試合の行方を左右するくらいのインパクトのあるミスだったと思います。
恐らく、スイスのバックラインにボールがあった時は前に積極的に圧力をかけるというのがゲームプランの一つだった雰囲気ですが、ボールサイドに寄りがちなプレッシャーのかけ方が裏目に出てしまい、スイスのエルヴェディ(4)からの大きい斜めの展開を許し、帰陣によるバランスの崩れでボールを跳ね返す強度を出すことが出来ませんでした。
これによって北アイルランドは前回対戦と同じ様に5-3-2の様な布陣でスイスの攻撃を迎え撃つようになりますが、サイドを起点にした素早いパスワークによって危うい場面を許すなど5バックの利点を活かすことが出来ないままスイスの時間帯が続きます。
場面によってはウィングバックが絞るなどして中盤を助けようとも苦心しますが、そもそも前線が上手く制限出来ていない以上は逆サイドが絞ろうが関係がない、という切ない展開。
北アイルランドは攻撃時においてもスローインではスイスが明確にボールサイドに密集を作る構えを見せた事により自由を奪われ、ビルドアップに関してもツバー(14)、エンボロ(7)、シュテフェン(11)の3枚がセンターバック3枚に付く構えを見せる事で思うようにボールを保持することが出来ません。うまく前進を果たすことが出来てもミドルサードではシャチリ(23)やフロイラー(8)とザカリア(6)がデイヴィス(8)やトンプソン(15)の自由を奪っている状態で、サイドに活路を見出そうとも・・・という手詰まり感あふれる状況が見て取れました。
(それはそうと、シャチリの体格が相変わらずすぎて惚れ惚れしますな)
とはいえ、スイスも試合の趨勢を大きく握っていたかと言うとそういう訳でもなく、相手の構造を破壊するには至らずに力押しを見せる場面が多く見られます。どちらも焦れそうな試合展開ではありましたが、北アイルランドのバラード(4)が場面場面でいら立ちを隠すことが出来ていない事からストレスの溜まり方は北アイルランドの方が強いのかもしれないな、という印象を受けます。
スイスはスイスで、ビルドアップでザカリア(6)が下がってみたりエンボロ(7)が局面によって中盤に降りてみるなど色々と工夫をしつつも最終的な局面で人数が間に合わない等のシーンが続き、決め手を欠きます。
・・・が、その均衡が早くも崩れる事になります。
エンボロがサイドに流れた時の対応でユニフォームをガッツリ掴んてプレーを妨害した事で既にイエローカードを貰っていた北アイルランドのルイス(3)がスローイン時に時間をかけ過ぎた(?)事によって2枚目のイエローカードを貰ってしまい、退場処分に。これには北アイルランド陣営は猛抗議しますが、判定は覆すことが出来ないのでそのまま試合は続きます。
応急処置的にダラス(14)がルイスのポジションに入り、5バックを継続する事を選択。まずは前半をどうにか耐え忍んで対応策を繰り出す事が先決な状況ですので仕方のない処置とも言えますが、5-3-1という状況では北アイルランドはスイスがボールを握り続ける事から逃れられません。
それでも攻め筋を見出そうと陣形が延びてしまった事でツバー(14)に先制点を献上してしまいます。
前半はここで終了となりますが、後半に向けて非常に苦いインパクトを残してのハーフタイムは北アイルランドにとっては非常に重いものとなったでしょう。
後半に入ってからも北アイルランドは5-3-1でスイスの攻撃を受けて立つ構えを継続。
対してスイスはリスク管理も見据えつつ、サイドからの攻略に比重を置く構えを見せます。
一方的に主導権を握るスイスではありましたが、ややオープン気味の展開を見せている事から52分にアカンジ(5)に代えてシェア(22)を投入します。
この交代の意図はなんだったんだろうと思いますが、シェアが見せた積極的に持ち運ぶプレーから、迎撃守備よりはより積極的に押し込んでプレーエリアを前に平均させながらより安全に試合をクローズする方向性を狙ったのかもしれません。
といいつつも、スイスの前線が割と簡単にミドルシュートを撃ってしまったり、人数のバランスが悪い状態で攻め急いでしまったりと状況を安定させるだけのプレーが見られることが少なかったのが勿体ないな、という試合展開でもありました。
そんな具合で主導権を握りながら、シュートミスやタイミングが合わなかったりと北アイルランドのゴールを割る所まで持ち込めなかったスイス、それを耐え忍びながらわずかな可能性に欠けてファウルを足掛かりに打開しようとする北アイルランドという構図が続きながらも両軍ともに選手交代を積極的に行いながら試合終盤まで進みますが、最終的にはトランジションでしっかりと力を残したスイスがエンボロ(7)→ファスナハト(16)と繋ぎ追加点を奪い試合終了となりました。
まとめ
前回記事のリトアニア然り、ビルドアップから丁寧な展開を志向していたチームがよりダイレクトでクリティカルな攻め筋を狙いつつ勝ち点を狙っていくという方向性がチラチラ見えてきている気がしてきて、欧州予選というコンペティションが終盤戦に差し掛かっている事を感じさせるような試合だったと思います。
ただ、少し残念だったのはパワーバランスとして仕方のない事だとは思うものの、74分のバラードが悪質な接触でも無いのに倒れ込みVARのレッドカードチェックが入ってしまうなど、退場者が出てからは意図してファウル判定を引き出そうという動きが見られた事など、クリーンな展開が見られなかった事でした。
死を座して待て、という事ではなく足りない局面がある事を受け入れつつも狙いどころをどうにか見出して、そこに向けて全力投入!という差し合いが見られる事を期待してのものではあるのですが、リトアニアの頑張りを目の当たりにした後だからそんな感想が出てくるのかどうか、という部分でも多少感情面の振れ幅に依る見方な感じもしますので、その答え合わせは後日見つかる事を祈って。
さて、この試合を経てスイスはイタリアに勝ち点で追いつくチャンスを維持しました。次の試合がどのような展開になるのか、イタリアのお尻に火を点ける事になるのか、それともあるいは・・・という展開を期待したくなる8節が待っています。
そして、その展開次第では11月シリーズが非常に楽しみなものになるのでスイスには是非とも頑張ってもらいたいな、という気持ちでいたりします。
強い気持ちが否応なしに盛り上ってきています。
注目選手
シャチリ
相変わらずの惚れ惚れするほどの上半身は昨シーズンまでリヴァプールにいた姿と変わらず、非常に頼もしく、フェチ・・・いや自分の期待通りの動きを見せてくれていました。活動量も申し分なく、よりフィジカルに寄った展開での安定感、機動力は主力として欠かせないのだろうな、と感じさせるパフォーマンスでありました。ただ、この近年でスイスが見せているポゼッション寄りの指向からするとリヴァプールのようなダイレクトでクリティカルを狙っていくスタイルに適性が強い選手でもありますので、今後の起用方法がどうなるのか非常に興味があります。
ただ、いるのといないのではチームのパフォーマンスが指向性含めて大きく変化をさせることが出来るプレイヤーでもありますので、今後も活躍が見られることを期待したいな、と思っていたりします。
エンボロ
個人的に今日の試合のMVPでした。
初期ポジションは最前線でしたが、北アイルランドの最終ラインとの駆け引きだけでなく、局面で人数が足りない場面に積極的にヘルプに入る姿はそのポテンシャルもあいまって相手を非常に困らせたと思います。
前線へ侵入する圧力も好感度が高かったですし、何より24歳という若さが今後の飛躍を感じさせます。
ボルシアMG所属という事で今後のパフォーマンス次第ではステップアップも望める気がしますし、このままポテンシャルを開放していった先の2~3年後にはまた違うチームでたくましい姿を見せてくれる可能性に溢れた選手だと思います。
フラストレーションが溜まりがちな今節での振る舞いを見ていても、相当に辛抱強い選手だな、という印象も受けましたし期待したい選手の一人です。
試合結果
2021.10.10
カタールW杯欧州予選 第7節
スイス 2-0 北アイルランド
スタッド・ドゥ・ジュネーブ
【得点者】
SUI:45+3' ツバー 90+1' ファスナハト
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?