見出し画像

【C大阪vs浦和】ルヴァンカップ グループステージ第2節 感想【ツケ払いと目指すべき形】

先日のルヴァンカップ仙台戦から、もう6か月が経ちました。
あの時の興奮は未だに忘れられませんが、リーグが再開してから相当の試合が経過し、浦和が当初見せた強みは対策が打たれ、そこからどれだけ上積みができるかという部分に注目される段階に入っています。
配置をしっかり取る、バックラインからのビルドアップを丁寧に積み上げていく、相手の配置を崩しながら前進するというチームやしっかりとブロックを構築して待ち構えるという意識を持つチームに対して中々自分たちのプレーを表現できないという課題が突きつけられた中で迎えたルヴァンカップ第2節、セレッソ戦もそんな感じでもどかしさを感じながら見る様な感じになるのかな、とドキドキしながら迎えていました。

ロティーナ監督が率いるチームというのはヴェルディ時代にジュビロ磐田との入れ替え戦を見たのが最後くらいかな、という具合でしたが配置をしっかり取ってボールと相手を動かすチームなんだな、というイメージでした。
今シーズンのセレッソのスタッツを見てもそのイメージから大きく離れたものではないな、という感触でもありましたので「これは、やりづらい試合になるのかな」という予感もしていました。

そして、リーグ戦の連戦の合間にゴリっと入り込んだこの試合は浦和レッズとしてもどれだけの強度で臨むのかという部分で選手の入れ替えにも注目だったわけですが。。。

スタメン

実際のスタメンはこちらですが、ここまで出場時間がガッツリ伸びていた西川と山中・橋岡の両翼はお休み。その代わりにこれまで出場時間の少なかった、大槻監督に言わせれば「出番を待っている」選手が数多く入る事に。前線と中盤はこれまでにも出場時間を重ねている選手たちで揃えた所を考えると若手が経験を積む事と試合結果を求めるという事の両立を真剣に考えた結果の起用だったのかな、と思います。

今回は試合の雑感をタイムラインを追いながら書いていこうと思いますが、ご指摘など頂けると飛んで喜びますので、相も変わらずですが、感想やご指導お待ちしております。今シーズンは全試合感想を書くぞー!と息込んでルヴァンの為にスカパーオンデマンドにも入り直しましたし、相も変わらずテキストベースにはなりますが頑張って続く限りやってみようと思います。

前半~セレッソをハメ倒せ~

さて、試合は序盤に不幸にも木本が筋肉系のケガによって待てい・ヨニッチと交代をする事に。これがどの様な影響を与えたのか、という部分は後ほどセレサポさんのレビューを拝見してみようと思いますが、試合自体は浦和はセレッソのディフェンスラインの裏を狙いつつ押し込む事を意識しつつ、セレッソの配置によって様々なボールの刈り取り方を見せていました。
ネガティブトランジション時にセレッソが中盤で幅を取っている状態では両翼を押さえつつ中盤にチェックとプレスバックで挟める配置が取れていたり、セレッソがディフェンスラインからのビルドアップを行う際にも浦和2トップに対して数的優位を持ちながら前進を図っていましたが、これまでと違って2トップが積極的にプレスに行かない事からパスコースを作る事に苦労している感じはありました。
また、浦和のビルドアップ阻害が前プレではなくパスコースを制限しながら、明確に浦和右サイドへ誘導しようという意図を持っており、誘導先のパスコースの選択肢が少ない状態での振る舞いをセレッソに強いる事が出来ていた事がセレッソのやりづらさにつながったのではないかと思います。

また、浦和も攻撃時にネガティブトランジションを意識した動きを見せており、中央を締める傾向のあるセレッソのブロックを広げながらサイドに展開したり、ヘディングで跳ね返すにしても距離が出ない様にセレッソの守備ブロックが下がり切る前に早めのクロスをファー側へ送り、ボールの落下地点でセレッソの中盤が自由にボールを拾えないように配置を取れていたことが大きかったのではないかと思います。
セレッソはその打開策として中盤の選手のターンやトランジション時に上手く中盤にボールを渡せた時にはある程度前進をする事が出来ていた様に見えましたが、35分に柿谷がボールを持った時には柴戸が柿谷からガッツリボールを刈り取るなど、中盤の機動力を生かしながら明確に刈り取って押し込む、という部分を遂行していたんじゃないでしょうか。

後半~セレッソに出鼻をくじかれた~

後半に入り、セレッソは豊川と西川を入れて右サイドの顔ぶれを変えてきます。立ち上がりから早速プレスからのボール奪取でチャンスを迎えますが、この後にセレッソが修正をしてきたことが伺えます。
バックラインを3枚にしてビルドアップしていた前半とは打って変わってビルドアップ時から幅を取って浦和のプレス基準を崩しにかかります。返す刀の、このプレーで西川の惜しいシュートが生まれます。
後半に入ってから、ロティーナ監督の修正が効果を発揮し、前半とは全く違う展開が見られるようになります。

恐らく、最初の5分での挙動で浦和は守備の基準点を作りにくくなっています。明確に主導権がセレッソに移り、ビルドアップ時にゴールキーパーのモーションに対しての反応など、リアクション的対応を強いられる様な展開が多くみられるようになります。
そんな時に展開を引き寄せるためにどう力点を置く事が出来るか。
大槻監督の選択はまず武藤に代えて杉本を投入する事でした。
これまでの傾向からすると「運動量を担保する」という形での交代が多い大槻監督ですが、今節もそうなのではないかと思います。
しかし、幅を取るセレッソに対して前半ほど明確な基準を持って守備に入る事は出来ません。
こうなってくると、セレッソのビルドアップは浦和の挙動を見ながら3枚でも、幅を取るでも、浦和の動きを見ながら選択できるようになっていきます。

とはいえ、浦和がボールを握った時には前線までボールを運ぶことが出来ていましたし、展開としてはイーブンな状態だったと思います。
しかし、そこでロティーナ監督は柿谷に代えて清武を投入します。
しばらくは浦和が押し込んでいる様にも見えましたし、実際にペナルティエリア内でレオナルドが仕事を出来るシーンも見ることが出来ました。
恐らく、浦和としては前半とは違う感触でありながら攻め込む事も出来ていますし、前への圧力や運動量の担保によって形を作れている感触はあったのではないかと思います。

しかし、決められる時に決める事が出来なかったツケを払う事になったのは浦和。
武田英寿と伊藤涼太郎を投入しますが、押し込めている内に武田英寿のパーソナリティと伊藤涼太郎のボールスキルで押し切ってしまいたい、という意図があったのだと思いますが、守備の基準点が明確でない状態でのこの二人の一気の投入はリスキーだったのかもしれません。
武田英寿は守備時のポジション取りや追い方も過不足あり、トランジション時にフィルターになるにはまだ少し足りなかったのかもしれません。

失点シーンではネガティブトランジション時に左サイドを独力で押し込まれた後に体制を整える間もなく中央へ展開された事によって西川から豊川へのパスを許す事になりました。
宇賀神がシュート前になんとか間に合いそうだった事から福島にはニアを抜かれてしまうのは避けて欲しかったところですが、宇賀神がスライディングなり足をあげる形のブロックを選択した場合のリフレクションなどを考慮するとそこまでニアに意識を全振りする事は難しかったのかもしれないな、と思うので福島だけを責める事は出来ない失点でもあるかと思います。

そして、この段階で浦和には逆境を跳ね返すだけの余力もなく(武田英寿や伊藤涼太郎にその全てを背負わせるには少し酷かな、と)終戦。
少し酷かな、と言ったものの武田英寿にはもっと積極的なプレーを期待したいところですし、今節での反省を踏まえてバッチバチにやってもらいたいな、と思う訳です。

もう、バッチバチに!

バッチバチですよ!

そんなわけで(あとがき)

さて、意外といい試合だったなー、と初見の時は思った今節ですが見返してみた時に前半と後半で受けていた印象の違いは認識していたものの、明確に展開が変わってしまっていた事には驚きました。
ロティーナ監督はもともとポジショナルプレーの文脈で要チェックだなー、と前から思ってはいましたが、東京ヴェルディ時代にはそれほど大きく配置を変える様な攻め筋を選択するイメージはありませんでしたがそのイメージが大きく変化する事なく、しかし選手の特性の発揮が配置や狙いどころで変わるという部分で非常に明確に見せてくれる監督だな、と驚きました。

返して浦和ですが、まだまだ道半ばであるという部分は忘れないようにしなければいけませんが、福島選手は大きな驚きでありました。
ビルドアップ時のボールの捌き方やプレスのかわし方など、後方からのビルドアップに関して必要な能力を発揮しようと意識していたと思いますし、失点シーン以外ではほとんど危ないという感じはありませんでした。
もちろん、ハイボールの競り合いであったり、より厳しい場面が今節では見られなかったという注釈は付きますが福島選手がバックアップにいるという事は非常に心強いな、とも思ったわけです。

チームとしては、よりロジカルな部分を強化して行かなければ今節の様にあっという間に主導権を握り返されてしまうという危険性があるのではないかな、と。
噛み合わせの悪い相手に対してサイドと中盤がどの様にして動くのか、という部分は当面課題になってくるのでしょうが、リスクとリターンのトレードオフをどう見積もるのか、どこまで許容するのか、という部分で最低限コンセプトとして謳っている「選手の能力を最大限に発揮する」という部分が担保されていないと現状では厳しい試合が続くのではないかな、と思ったりもします。

これは、選手の心持の問題では無く、チームが選手に対して明確な基準を与え続けてあげなければならない、悩みの種を潰してあげなければならない、という所で意識して欲しい所だと思っています。
以前にも書きましたが、選手の能力を最大限に発揮し、前向きに情熱的なプレーをし、相手を休ませないプレーをする、というのは全て繋がっていますし、循環します。

その流れが淀んだ時こそどの様に修正をするか、という部分、復元力をいかに持つことが出来るかが今後に向けての鍵となるはずですし、成さねばならぬ所では無いのかな、と思います。

少し長くなってしまいましたが、今日は名古屋戦。
とてもドキドキしますが、どんな試合が見れるのか楽しみです。

例によってリアタイは出来ませんが・・・念は強めに送りたいと思いますので、良い試合を期待しております。

では、また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?