You are what you eat―あるお母さん居酒屋にて #浅草日記
家から歩いて1分もしない距離に、いわゆる「お母さん居酒屋」なるものがあって、お昼ごはんはよくそこにお世話になっている。飾らないけれど、いろいろな食材がたっぷり使われていて、丁寧に作られた料理を、何を食べたいとも言わずとも出してくれる。
食べるものを決めるというのは難しい。どうしてもひとりだと好きなものや、コストパフォーマンスがよいものばかりを選んでしまう。だから、黙ってそこに行って、「最近お腹こわしてね」と会話をしていれば、必要そうな食べ物をささっと作って出してくれる"お母さん"の存在は本当にありがたい。
これで税込み1000円で出してくれるので、毎日のようにお昼ごはんを食べに行っていたのだけど、仕事が忙しかったり、お金がなかったり、猛烈に腹を壊したりするもんで、急にパタリと行かなくなったら、とてつもなく心配をさせてしまっていたらしい。心配かけてすみません。
You are what you eat.
「健康は食で決まる」ということわざだそうで、直訳するとあなたが食べたものがあなたになります、という意味になる。
人間の身体の細胞はうんヶ月で入れ替わると言うけれど、それでいうと、わたしの身体はファミリーマートの野菜スティックと生ハムとサバのおにぎりとコーヒーでできていることになるのかな。ひとりでいて、ごはんを食べるモチベーションがないと、わりと型がめちゃくちゃな食事をしてしまう。
最近、LINEでやりとりしている彼氏みたいな人にも、食べた食べ物の写真(たこ焼きとかサンドイッチとか)を送ると、もっとたんぱく質を食べろとばかり言われるので、結局これもコンビニなんだけど、朝に煮卵を食べている。コンビニでご飯を買う時は、なんか肉っぽいものを意識的に食べるようにした。
食事には型がある。一汁三菜とか、一汁一菜とか、そういう型を守ることは大事だ。久しぶりに型のしっかりした食事をとったら、気持ちがシャキッとしてきたので、なるほどなぁ、と改めて思った。
わたしの母は、かなり料理をする方で、この写真みたいなしっかり型の整ったご飯を日常的に作っていたし、季節ごとの料理はたいてい作れた。お正月にはしっかりとおせち箱を自分でこしらえる人だ。
学生時代も寮食堂にはすごくお世話になった。熊野寮の寮食堂は、給食のごとくしっかりと調理師のお姉さま(お姉さまというのだ)がいて、栄養士が考案したすべて手作りのメニューが学校がある間は毎日提供されている。お皿いっぱいの千切りキャベツとか、小鉢にあふれる山盛りのほうれん草のおひたしとか、人生で一番野菜を食べていたのはあの頃だろう。
そうやって、わたしの人生ではきちっと食事の型を日々教えてくれている人がいたので、なんとなくわたしも、できるかぎりはその型に自然と従うようになっていた。自炊をしていた頃は、結構なかなかなご飯を毎日作っていた(そしてすぐに続かなくなった)。
大学を卒業するまでのわたしと、大学を卒業してからのわたしは、きっとまるで違う身体をしている。もしかしたら、あの頃の方の私の方が、レタスのようにシャキっとしていて、新鮮な魚のようにプリっとしていて、赤々と血がたぎるお肉のようだったのだろうか。
ともかく、ちゃんとご飯を食べようと思いました。
ところで、LIGブログでこっそりと食事についての本のレビュー記事を書いていたので、そちらも見てくれると嬉しいです。
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