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【ガチ未来予測。創造性と贈与の時代への移行】(長文)

年始ですし、私が持っている現時点での未来予測について書いておきます。といっても、これを正解とはいいません。むしろ、こうして現時点での自分の考えを開示することで、他の方の視点で補っていただけるのを目的として書いております。

概要:働く=正解の「複製」から「選択肢創造」へ

IT普及の前、機械による自動大量生産が可能な時代までは、
価値創造は製造と流通が中心で、「働く」=「正解を複製する」だった。調達・生産・販売において、前回通りに成功させることが大事だった。

しかし、機械化、価値のデジタル移行に従い「提供価値の複製と流通」が効率化が進み、個人の成長を超えると、「働く」=「正解を探し出す」に移行した。具体的にはマーケティングやプログラミングへ。(スキルは、コミュニケーションスキルやITスキル、ブランディングやロジカルシンキング側へ)。

だからこそ「正解を探す」ことの効率化は進む。その中でブレイクスルーがDeep Learningであり、その成長が、個人の成長を超えつつあるのが現代。そこでは「正解を探す」よりも、「探すための選択肢(解空間)を広げる」ことが大事。

そして、創造性には「個人の創造性」と「集団としての創造性」があると考えています。そのどちらにも役に立つのが、「創造するにあたっての共通言語」です。そのベースとして着目しているのが”発明的課題解決の理論:TRIZ”であり、もう1つが「自身の価値を他者に贈与する力を上げること」です。

そんな話を、もっと長文で書いたのが以下です。もし皆さんの知をくすぐることができれば幸い。

◆◆◆詳細な本文(長文側)◆◆◆

(前置き。創造性の重要性を皆感じている話)

AIの台頭が身近に感じられるにつれて、創造性を学ぶ需要が高まりつつあります。
実際、2018年夏だけでも、東京大学や科学技術館などでのべ1000組を超える参加者が来てくれました。そこで毎回聞いてみた質問があります。

「次に挙げる3つで、今後最も必要なものは何だと思いますか?」
・英語
・プログラミング
・創造性

その結果、そのすべての回において、
英語<プログラミング<創造性
という結果が出ました。(だいたい2割<5割<8割の順)

この感覚、皆さんも同じでしょうか?私は合っていると考えています。これを、労働の「背景」を鑑みながら、労働の本質、そして求められる能力の変遷を見てみましょう。


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製造と流通の時代 ~ 働く=「正解」を複製する

図の左上から行きます。産業革命が起きるまで、9割以上が農民でした。しかし、農機具や肥料の改良など、農業生産の効率化が進み、農業以外の産業が育ち始めます。

そこに、産業革命が起き、都市化、そして工場による工業生産が始まります。工業生産とは1つ作れた作品(正解)を「製品として複製」することです。そして、労働とは、原料を調達し、工場で生産し、商品として販売する。

「働く」といえばこれが、基本的な労働の姿でした。

この時、ボトルネックになるのは主に工場の生産能力であり、そこで必要とされる能力は、流通網の一部を担ったり、生産技術を上げたり、生産管理ができることでした。
(現在、経営学と称されるものの多くがこの前提に依拠しています)
しかし、ボトルネックになっているものほど、効率化すれば利益につながりますから、効率化が進みます
(↓図の右斜め上の矢印で中列へ)

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営業とITの時代 ~ 働く=「正解を探し出す」

産業革命やIT革命で工業生産が効率化したり、そもそもデジタルコンテンツの形で大量生産(複製)が容易になると、ボトルネックは生産ではなくなりました。
加えて、移動範囲が拡大したことで生産よりも、むしろ「売る」ことが主役に。その結果「サラリーマン」といえば大抵、営業やマーケティングに関係する人が大半になりました。
実は、新たにボトルネックになったのは「世の中にある製品の“最適な組み合わせ”という正解に対し、とれる選択肢が多く、人間の判断力が足りない」という点だったのです。

そのため、正解に向けて「需要(ニーズ)と供給(シーズ)をマッチングする」という仕事が基本になりました。

商品の設計作業やプログラミングや製品パラメータのチューニングも広い意味では、「製品の能力を最も引き出す正解」を探し出す仕事です。その正解に向けて導くコンサルティングという職業も増えました。

この時、必要とされるスキルは、“コミュニケーション力”、“ITスキル”。また、判断を簡略化するための“ブランディング力”も重視されるようになりました。

現在、これらの3つを兼ね備えて頂点に立っているのが、GAFAです。
しかし歴史は繰り返す。ボトルネックになっているものほど、効率化すれば利益につながりますから、効率化が進みます。
(↓図の右斜め上の矢印で中列へ)

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創造とAIの時代へ ~ 働く=「正解/失敗」の創造

AIにおいてDeep Learningの登場で、マッチングの効率化が進み始めました。そこに計算力の指数関数的な拡大が加わりました。
その結果、「正解となるお手本(教師データ)」を多数示してあげるだけで、今まで人間が行ってきた(主にマッチングの)判断を何十倍もの効率でできるようになりました。

しかも、これまで「対面」で行われていたことが、コロナ化で「HTTP経由」で行われることになり、その普及はかなり加速したといえます。
ここにおいて、人間による「判断」よりも、Deep Learningに教師データがボトルネックになってきています。

働くことは、新しい「正解(と失敗)を創造すること」ことに価値が移り始めました。


1つは、“センシング”などにより今までデータ化されていなかったものをデータ化すること。
また、これまでトレードオフが存在し、課題解決としては妥協していたものに、新しい課題解決の創造力の価値が高まっています。
あとは最近Well-being(どう良く生きるか?)の選択肢を増やす取り組みも重視され始めています。

そんな時に求められる能力の1つめは“可視化”の能力でしょう。データ化することで眼の無いマシンに対しても“可視化”します。一方、TikTokをはじめとして徐々にコミュニケーションが動画化してきたところに、コロナウイルスによる外出制限もあって、人間にとっての“可視化”も、動画を使った形が増えました。さらにVR,AR化されていくことでしょう。

もちろん、AIに関するスキルも、現在のITスキル同様に必要とされるでしょう。しかし、これらはあくまでスキル。このスキルを使って、労働の選択肢を創造していくには、大元となる、創造性が欠かせません。
こうしたことを、漠然と皆が感じ始めているからこそ、冒頭のように8割の人が「創造性が大事」という回答になっているのだと考えています。

そして、創造性には「個人の創造性」と「集団としての創造性」があると考えています。そのどちらにも役に立つのが、「創造するにあたっての共通言語」です。そのベースとして着目しているのが”発明的課題解決の理論:TRIZ”であり、もう1つが「自身の価値を他者に贈与する力を上げること」です。
そんなことを考えて、日々を探索しています。といっても、私に見えているのは世界の1%未満。これからも私の知らない世界をたくさん教えていただければと思います。

&長文をここまでお読みいただき、ありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
なお、この「創造性を、”科学的に”向上する」方法、トリーズ(TRIZ)については、別の機会に。

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