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今年の中学受験生へのエール~変化と多様性を楽しもう

現在、受験生の皆さん、本当にお疲れさまです。例年なら夏休みで夏期講習ですが、夏休み短縮でこの4連休を第一の山場とされている親子も少なくないでしょう。
そんな令和3年の入試で入った中学受験生たちは、きっと後世にからも「特別な学年」として注目され続けるだろうと思います。1つでも十分なインパクトな変化が、5つも6つも起きる。そんな年。でも、この年に受験した皆さんは多様性に富んだ学年として苦労の報われる学年でしょう。という話

変化①Withコロナ 家庭のサポート千差万別

言わずもがな、Withコロナで学校が休校。子供たち、自宅で過ごしました。
ここで、親が在宅勤務で、子供の世話をできたか否かで随分と変動があるでしょう。
また、スタディサプリなど、タブレットを通じて家で学ぶ方法も多数参入しました。

これは今までの受験ではなかったことであり、ここで基礎固めをできた子と、そうでない子で、例年にはない大波乱が起きる事でしょう。
でも、今年の変化は、それどころではありません。


変化②公立中のコロナ対応の限界あり私立志望増

Withコロナで、家庭でのサポートも異なりましたが、公立中学校の対応の限界が見え、教育熱心だが公立でもよいと思っていた層が、軒並み私立を目指しそうです。

公立校にもオンライン化で対応しようと考えた教員もいたかと思いますが、そこに立ちはだかったのは家庭の経済力とリテラシの格差でした。
一方で、私立では、タブレット代など学費の1割未満。揃えられない家庭はいませんし、ネット出願が8割になっている現在、ネットリテラシがない親も少数派。早いところでは4月中、遅くともGW明けにはネット授業に切り替わっていたようです(うちの2女が通う学校も)。

教育熱心だけど、高校受験からでよいと考えていた家庭も、中学からの私立受験に切り替えているようです。


変化③『二月の勝者』で”クレバーな併願親子の増加”

と、コロナの休校によって「多様な4~6月」を過ごし、私立人気が高まっている今年の受験生ですが、この先、更なる変化があります。それが『二月の勝者』のテレビドラマ化です。


下剋上受験もドラマ化で有名になり、受験の仕方に『下剋上受験』という一ジャンルを打ち立てました。我が家も『下剋上算数』のテキストを購入、子供にもさせました。「中学受験における基礎の1分半問題をしっかり固める」ということに関して、家庭学習で補強できるのは大きなポイントでした。
正直言って、女子校で、準御三家未満の学校であれば、算数は下剋上算数で十分足りたと思います。

といっても、これもどちらかと言えば”親塾を選択する”という「少数派」の話にとどまっていました。
しかし『二月の勝者』では、『塾通い』という「多数派」に関して、より多くのデータや参考文献をもとに描かれていきます。しかも、おそらくスポンサーには(明示されていないにしろ)各受験塾も名を連ねる事でしょう。中学受験生のパイを広げるのにこんなにいい機会はありません。しかも、「塾と親との共闘度合い」が結果に直結することが明示されるはずです。

その結果、何が起こるか?「それは”初心者なのにクレバーな併願をたてる親子の大幅な増加”」です。
仕事でも、1年目は「何が何だかわからないうちに終わってしまう」ように、初参加のイベントというものは「想定外のことに巻き込まれて何が何だかわからないうちに終わってしまう」ことが多いものです

かくいう我が家の場合も長女の時は、初戦での1問差×を皮切りに連続×で本当につらい3週間を過ごしました。併願校を初戦×になっても、楽観視して変更しなかったことがアダに出ました。夫婦ともに受験で合格経験しかないのも逆に短所として出ました。完全に私の失策です。最後の最後に娘自身が合格を手繰り寄せ、帳尻を合わせてくれてハッピーエンドになりましたが、塾の校舎長も太鼓判を押す「敢闘」の日々でした。

一方、実力的には長女ほど仕上がっていなかった次女ですが、長女の時の失敗から、妻とともに初戦の対策に万全を期しました。ここで初戦(栄東)の◎(東大コース合格)を足場に「本番に私は強い」という自信を獲得。それは1月に受けた残り3校〇でますます固くなり、2月の第一志望校をあっさり〇にしました。

そんな「手痛い経験」を『二月の勝者』ではこれでもかと疑似体験させてくれることでしょう。より「クレバーな併願作戦」を立てた親の増加は、昨年までとは全く様相が異なります。
放映が7月より延期されていますが、10月より後にならなければ、併願組み替えには間に合うでしょう。


変化④ 文化祭中止ないし初のオンライン化

さらに9~12月にも新たな変動があるでしょう。
それは、文化祭中止ないしオンライン化です。文化祭のオンライン化は、忙しくて文化祭までは手が回らない受験学年の生徒。この生徒が「息抜き」のように、文化祭を見て、「さらに志望度を増す」という効果を生じるでしょう。一方、中止になる文化祭もあるでしょう。

受験は何と言っても、子供の自主性で大きく変わります。うちの長女は、今通う学校の体験会に小6になってはじめて行き、そこで「私はここの茶道部に入るんだ!」と強く思って、最後の粘りを見せました。四谷大塚の最後の合不合テストで「脳科学的に、やらされる勉強と、自分からやる勉強では10倍効果が異なる」と言っていましたが、子供たちを見てそれを実感します。


変化⑤説明会のオンライン化で”熱望の仕方”の変化

また、学校説明会、入試説明会のオンライン化でも、通学可能圏以外だった人が注目を高めるでしょう。移動時間がなくなったことや、動画化が進むことで「親が検討できる志望校の数」はより増えます

また、今まで中堅~下位校での入試説明会といえば、「問題前ばらしによる”熱望者の優遇”」が一つの特色(メリット)でした。しかし、Withコロナによって、昨年までとは違ったかたちになるでしょう。ただ、「親が検討できる志望校が増える」分、色々目移りするわけですから、その中で「熱望した」場合の効果はまた例年と変わる形になるでしょう。


変化⑥本番の試験の雰囲気も変わる

最後に、試験の雰囲気。これも間違いなく変わるでしょう。一部屋に50人なんてもってのほか。おそらく15名程度になるでしょう。これまで、隣の子の解くスピードの音に圧倒されていたタイプ。しかしマイペースになれば強い子なんかが下剋上を起こすのではないでしょうか。

さらには、一部科目を、オンラインで受験する場合もあれば、サンデーショックが霞むほどの受験日程の変化もあると思われます。(教室のキャパがなければ、受験日程を増やす。極端な話、オンライン受験を試すよりは、大半の学校にとって2月1~5日全て受験日にする方が対応しやすいでしょう。)


以上、ある年に1つでも起きただけでも大きな影響がある変化が、立て続けに5つも6つも起きる。そしてこれらすべてがお互いに交わります。

二月の勝者による受験層の拡大を、文化祭・学校説明会がオンライン化で収容できる。
「下剋上算数」を活かした親塾に在宅勤務、パイの拡大に寄与します。
さらに、試験の雰囲気変更は、テレワークをしている親は伝えることがいくつかあるでしょう。学力以上にメンタルを鍛える方法なども親の出番がたくさんあります。


変化⑦そんな大変な受験学年の皆様にエールを込めて~きっと素敵な学年になる。

最後の変化。それは受験後。こんな大変な年を潜り抜けたこの学年の子たちは、例年にない特別な学年になるでしょう。

中学入試は、毎年変動があり、多くの番狂わせが起きます。今年は番狂わせばかりでしょう。
「偏差値通りには受験結果にならなくなる」ということは、まず、最難関以外の学校には「浮きこぼれ」クラスの天才が入ってくる確率が高まります。いい多様性です。楽しみですね。

また、多様性の効果について1つの事実をお知らせします。
女子校の雄、桜蔭が、過去最高に東大合格者を輩出したのは1996年。その6年前の1990年の2月1日は、その近辺まれにみるほどの大雪で、交通機関なども軒並みストップした中の受験になった年でした。
さらに、桜蔭に限って言えば、「始めて国語の入試で、記述の割合が大幅に高くなった年」でもありました。
その結果、合格者の層が例年とは大きく違う結果になったようです。

今のコロナ禍やオンライン化をほうふつさせる話ではないでしょうか?

もっとも、受験の結果だけでなく、桜蔭の先生によれば、「この学年は、それまでの学年の中で、あまり成績による分断が起きず、もっとも学年全体がまとまっていた学年」だったとのことです。

私自身も私立中学に通いましたが、(金銭面はさておき)私立中学に不足するのは、公立小学校時代に比べて周囲の人生の多様性がやや狭いことでした。それがこの学年は相当に改善されることでしょう。

今年のこの過酷な中学受験を迎える皆さん(友人含む)の心の準備と支えになれば幸いです。

親のやることは、大変だけど、かけた探索と試行の分だけ、リターンも大きい、そんな受験学年になると思います。


我が家もまだ3人目の受験生が控えていますので他人事ではありません。今年の変化が来年以降、よりよい子供の成長の機会になればよいな、と念じつつ我が子とも接していこうと思います。

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