見出し画像

カロリー神話を許さないはなし

前回のnoteでポジティブなことを書くとか、何を好きかで語れとか書いたが、2回目にしていきなり『許さない』話である。

以前、別のnoteで過去に糖質制限で15kg以上痩せた実践結果を書いたのだが、綺麗にまとまっていないので簡易的に書き直そうと思っていた。
しかし、今回はそうではなくなってしまった。

いまだに「痩せたい」と言いつつ「高カロリーなもの食べちゃった」などとカロリーを気にしている人が多い。
「低カロリー」とか書いている食べ物やレシピを見ると日本のカロリー神話信者の残党にイライラしてしまうのでこのようなタイトルになってしまった。好きなものを語るとは何だったのか。

ここで書きたいのはダイエットの話ではなくカロリーを気にするのがいかに無駄であるかということである。

カロリー計算では痩せない

長年、痩せるためには消費カロリー以上に摂取カロリーが多いと太るというのが欧米諸国で信じられていた。
そのカロリー信奉は日本にもそのまま入って来ているが、アメリカをはじめとした海外では研究の結果「肥満に関してカロリー意味なかったです!カロリー計算する意味ないです!」と見直されている。
その結果、海外ではすでに痩せるためにカロリー計算するのは意味ないというのが常識になっているのである。

日本でも糖質制限が流行りだしたこともあり、糖質制限をしたことがある人の中では常識で、行政も後押しをしているのだが、カロリー神話が消えているとは到底思えない。

エビデンス(証拠)は山ほどあるのだが、おそらくこの神話が崩壊したのは、2008年のアメリカの医学雑誌の「The NEW ENGLAND JORNAL of MEDICINE」の中で発表された論文である。

研究の内容は、「低脂質カロリー制限食」「地中海食(カロリー制限はするけど良質な脂質は多めに摂る)」と「低糖質食」の3つである。
低糖質食グループの人たちは、カロリーの制限はせずに糖質のみ制限した。

この研究を6年実施した結果、低脂質カロリー制限のグループが最も減量効果はなかったのである。
世界の医学界でもこの結果に信憑性を疑い追試験が行われたが、どれも同じ結果であった。
この実験結果(2013年に同誌で脂質にフォーカスした実験も行っている)により低脂質、低カロリーが健康やダイエットにおいて良い結果が得られるという神話は崩壊したのである。崩壊したのである!

太る原因は糖だけ

太る原因をなるべく簡単に説明すると以下の通りである。

①糖質(糖分)は体内ですべてブドウ糖に分解される。
②ブドウ糖は小腸から血液中に吸収される。
③血液中にブドウ糖が吸収されると血糖値が上昇する。
④血糖値が上がりすぎないようにインスリンというホルモンが分泌される。
⑤インスリンが溢れた(摂りすぎた)ブドウ糖をグリコーゲンに変える。
⑥グリコーゲンを筋肉や肝臓に蓄える。(蓄えられるのは100~200g)
⑦それを超えたブドウ糖はすべて脂肪に変わり脂肪細胞に取り込まれる。

というメカニズムであるため、タンパク質、脂質を摂っても太らない。
これはもう最近の書籍では大体同じようなことが書いてある。

炭水化物のうち食物繊維以外の部分はすべて糖質であるため、食物繊維を除いた炭水化物量を1日に60g以下にすれば勝手に痩せていく(自分の身体で実証済み)。
また、糖質を過剰に摂る生活をすると簡単に太る(自分の身体で実証済み)。

※ちなみにライザップの糖質制限は1日の糖質は50gまでで野菜をいっぱい摂ろう!って方針のようです。最近は違ってたら誰か教えてください。

つまり、糖質を摂らなければカロリーなんてどうでもいいのである。

ちなみに、市販の黒ウーロン茶や、からだすこやか茶W等に含まれている「難消化性デキストリン」は水溶性食物繊維の一部であり血糖値の上昇を抑える効果が認められているため、上記の太るメカニズムの「③血液中にブドウ糖が吸収されると血糖値が上昇する。」を抑制してくれる。
なので黒ウーロン茶等の効果としては痩せるものではなくて太るのを軽減してくれるものである。
ラーメン二郎の前の自販機でみんなちゃんと黒ウーロン茶を買おう。
自分は糖質制限中は難消化性デキストリンの錠剤を飲んでた。(有名どころだと富士フィルムのメタバリアスリムとか)

痩せるメカニズム

太るメカニズムを書いたので今度は痩せるメカニズムについても書いておく。炭水化物(糖質)を減らすと以下の減少が体内で起きる。

①エネルギー源であるブドウ糖が足りなくなっていく。
②筋肉や肝臓に蓄えていたグリコーゲンを分解してエネルギーにする。
③貯蔵されているグリコーゲンを使い切ると脂肪細胞の脂肪を分解する。
④分解した脂肪酸・ケトン体をエネルギーとして使う。
⑤皮下脂肪や内臓脂肪が分解されることで痩せる。

この③に至るためには上記で書いた、1日の糖質量を60g以下にすると確実にブドウ糖は足りなくなって痩せていく。身体がケトン体を生成するようになると脂肪の分解がどんどん進む。
痩せるためには糖質を制限するしかないのである。

逆に、低血糖症の人やアルコールを飲んだ後に低血糖になる人がラムネを食べているのは、ラムネの主成分がブドウ糖だからである。

カロリー神話はなぜ生まれたのか

ではどういった経緯でカロリー神話が生まれたのかについてだが、ちょっと難しい上に面白くないけど書かないわけにいかないのでなるべく簡単に記載しておく。

三大栄養素に炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質がある。
1gあたりのカロリーは炭水化物とタンパク質が4キロカロリー
脂質が9キロカロリーであるとされている。
これだけで、「油の摂りすぎで太る」と言われてたのはこのカロリー神話信奉者による、油のカロリー計算によるものであることがよくわかる。

ならば、何故食べ物をカロリーで考えるようになったのか。
これがめちゃくちゃややこしいのだが、すごくざっくり書く。

17世紀後半に酸素の発見により「燃焼」という現象について研究が進んでいく。
酸素が減少して二酸化炭素が増加する「呼吸」は「燃焼現象」という考えが生まれる。
運動によって酸素消費量が増える(呼吸が増える)からこの考えは、確固たる事実であると信じられた。
その後、物理学でエネルギー保存の法則(エネルギーの総量は変わらないよってやつ)が提唱される。
細胞内での代謝のメカニズムも研究が進み、食べ物に含まれる栄養素は消化器官で分解や吸収されてエネルギーになるという仮説が生まれる。
これによって、食べ物を熱量(カロリー)で計算する考えが生まれた。
非常に物理的な考え方に思える。簡単に書くと以下の式である。

カロリーの計算方法

食べ物の熱量 = 食べ物を空気中で燃やして発生した熱量 ー 同量の食べ物を食べて出た排出物を燃やして発生した熱量

完全に物理学である。
詳しい計算方法については難しい(自分が理解できない)ので割愛するが、このようにして得られた熱量を保有エネルギーと呼び1gあたり
・タンパク質 5.56キロカロリー
・糖質 4.1キロカロリー
・脂質 9.45キロカロリー
となるが消化吸収率とか個人差を考えると大体

・タンパク質 4キロカロリー
・糖質 4キロカロリー
・脂質 9キロカロリー
となる。らしい。
さらに食物繊維の存在が明らかになったことで

・アルコール 7キロカロリー
・有機酸 3キロカロリー
・キシリトール 3キロカロリー
・デキストリン 1キロカロリー
と決まったらしい。

しかし、「人間の体温なんかで脂肪も炭水化物も燃焼しないだろう」とか
「細胞内の代謝と大気中の燃焼を一緒にするなよ」とか
「動物で計算すると食べ物のカロリー以上に食べ物からエネルギー摂ってる生き物いっぱい居ますけど」だとかの問題点だらけのようである。
こういう説明つかないところがいかにも神話っぽい。

糖質は悪

カロリーは太るのにも痩せるのにも見るべき指標としておかしいことがわかったことで、人間が太る原因である憎き悪の正体が糖質であることがよくわかった。最初に述べた通り諸悪の根源こそ糖なのである。

この記事はカロリー神話に異議を唱えるのが主な目的であり、ダイエッターのために書いているわけではないので「何を食べるな」とか「何を食べよう」とかは詳しく書かないのだが、一番悪いとされているのは、白い悪魔と呼ばれている「砂糖」「白米」「小麦粉」である。
白米やパン、うどん等は直接的な甘みがないため、いっぱい食べられる上に飽きが来ないので糖質依存になりやすい。
うどんには食感をよくするために、でんぷんが入っているので最低最悪の食べ物である。

また、清涼飲料水の中でも炭酸飲料、フルーツジュース、野菜ジュース、コーヒー飲料、スポーツドリンク等は、砂糖が大量に入っている上に液体なのでブドウ糖にすぐに変換されてしまうためとても太りやすい。

炭水化物を大量に摂ったあとに猛烈な眠気に襲われるのは、処理しきれない量のブドウ糖により急激に血糖値が上がり、インスリンが過剰分泌され今度は低血糖になるからである。これを「血糖値スパイク」と言う。
血糖値スパイクは、眠気だけではなく色々な健康リスクも指摘されているので注意が必要である。ラーメン二郎を10分で食べてはいけないのである。

糖質制限は危険じゃないのか

糖質制限をやるにあたって、正しい知識を持ってやる必要はある。
また、極端に炭水化物を摂らないのも低血糖のリスクがあり良くない。上述したように1日50gから60gは摂るようにした方がいい。
ボディービルの大会に出る予定がないのであれば脂質もしっかりとった方がいい。
それでも、狂信的に「糖質制限は危険だ」という人も居る。
そういう人の大抵は、糖尿病の薬を売りたい人、菜食主義者、その人たちの話を鵜呑みにしている人だと思っている。そう書いている本もある。

あとがき

「カロリー神話」ってワードを最初に言い出した人は絶対に同じ気持ちで同じ苦悩を抱えていたと思う。
しかし、人類の発展により研究は進み、無事にカロリー神話は崩壊した。

「何を言っているんだこいつは?」と思われた方もおられるかもしれませんが、僅かでもご寛如いただける方がおられれば恐悦至極に存じます。

◆参考文献
「炭水化物が人類を滅ぼす~糖質制限からみた生命の科学~」夏井睦(光文社)
「医者が教えるダイエット 最強の教科書」牧田善二(ダイヤモンド社)
「眠れなくなるほど面白い 図解 糖質の話」牧田善二(日本文芸社)
「40歳から食べてはいけないもの」南清貴(KADOKAWA)
「”カロリー制限で痩せられる”は迷信だった」山田悟(PRESIDENT Online)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?