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モノ作りの例 #2

みんな知らないけれど、アースって大切なのですよ

電気のアースの話です。車とかバイクとか、ある程度古くなってくると、当然配線も劣化して来ます。金属の表面も酸化してきます。それで、導通が悪くなる。車なら例えば、フューエルポンプ。今の車のほとんどは、スペースを稼ぐためにポンプがタンクの中に入っています。
余り知られていないけれど、ガソリンには水分も入っています。ガソリンスタンドの大きなタンクの底にはすごい量の水が溜まっています。それを定期的に吸い出しているのですが、コストがかかるので、間隔を伸ばしているスタンドがあります。
水が多くなると、ガソリンと一緒に水も吸ってしまい、タンクの中に入る。そして、時が経ってポンプの配線の接触が悪くなってエンジンがかからない、という故障がありました。厄介な事に、完全に動かなければ「あっ、これだ」と分かるのですが、検電器で確認すると、電気は通っているのです。理由が分かりました。検電器を通して微弱電流が流れ、その時はポンプが動くのです。
これは、メーカーのテストでは出ません。メーカーのテストのほぼ全ては、短期間に決まった距離をまとめて走ります。だから、同じ10万キロでも、半年で走るのと、15年かけて走るのでは同じ結果にならないのです。
そういう事例知っているので、私は年に2回温度差が激しくてガソリンタンク内に結露が出来やすい梅雨の時期と、その半年後の冬に必ず添加剤を入れています。
まぁ、ワコースでもピットワークでもいいんですが(中身は同じと聞いたことがある)、要はいい物はそれなりの値段がします。でも、これを入れる事で、燃料ポンプのトラブルが防げれば安い物です。いざ、ポンプが壊れたら、部品代+タンク脱着でいくらかかるか。このような転ばぬ先の杖的な事も知識がありますので、お伝え出来ればと思います。
よく、ガソリンスタンドで「水抜き剤を入れた方がいいですよ」と勧められますが、あれは1本100円台のアルコールです。殆ど意味はありません。
電気の話しですが、この例のように、電気は10流れるはずが8しか流れない、みたいな状態があります。これが、何となく調子が悪いとか、エンジンのかかりが悪い、また、温まると調子が悪くなる、といった電気系統の故障の一例です。
経験から言えば機器の故障を除くと、8割位はマイナスアースの不良が原因だと思います。それも、15年を過ぎた車やバイクは要注意。通電不良ならまだいいが、劣化した配線がショートして火が付くと最悪、終わりです。今の車は軽量化や電気負荷を減らしているので、配線がすごく細くなっています。それがどの位持つのかは未知数です。
古い車やバイク、特にバッテリーサイズに制約があって、ライトの小さいバイクで車検に落ちるのは、ヘッドライトの光量不足が多い。光量が足りないので回転を上げ過ぎると、それはそれで、電気を取られて不合格になったりします。それで自分の頭で考えて作ったのがこちら、2003年に作りました。

アーシングケーブルとカーボン製エンジンマウント(一部)

車用の太いアーシングコードを使って、バッテリーのマイナスから、オリジナルのアースポイントへ。そして、エンジンのクランクケース、各イグニッションコイルのマイナス端子に直接繋いでいます。素材のカーボンは電気を通しますが、樹脂は通電しません。それで、確実にエンジンにアースを落とすためにクランクケースのマウントボルトにもアースしています。
オリジナルのアースは、バッテリー⇒中細線でアースポイント⇒細線でIGNコイルの取り付けボルト⇒IGNコイルですから、接点が多く効率が悪い。新車の時なら一応は問題ないのでしょうけれど。
最近、マジ軽ナットの製造元が大手自動車メーカーの電気回路設計をしている方と繋がり、効率的な電気供給について話をする機会がありました。
そんな回路設計をするスペシャリストでさえ、バッテリー⊖端子⇒ボディー⇒電気機器と電気が流れるのだから、それでOKという考えだったのが分かりました。
確かにそれでも電気は流れるのですが、ボディーやそこに繋がる配線と端子を介するから電気抵抗が増え、導電性の低い鉄を通して流れるから更に効率が悪くなるのに、導通の重要性を全く認識していなかったのです。
このような事は中学校の理科で学んだ筈。専門分野に進めば進むほど頭が先端技術に傾き、基本が置き去りになっているのではないでしょうか?
これは私達の除電技術についても似ていると感じています。
小学校の時にエボナイト棒を毛皮で擦って静電気を起こす授業があり、みんな下敷きを擦って髪の毛を持ち上げて遊びました。つまり、静電気には髪の毛の重さを重力に反して持ち上げる程の力がある。別な言い方をすれば、この場合は髪の毛が下に落ちようとするのを邪魔している、物の動きを阻害しているのです。
話を戻し、問題のヘッドライトは、H4バルブのオリジナルの三ツ口カプラーの細いマイナスを太い線に替えて、より多くのマイナスを供給するようにしました。もちろん、光量も合格です。
先日、やってあげたのは小さいヘッドライトの旧車のオートバイ。メインワイヤーハーネスは新品に替えましたが、そこそこ太い線でアース線を前述のように増設、IGコイルも同様に。ヘッドライトの光量が不安なので、ヘッドライトのソケットを加工して、線を一本増設。太い線に出来ない構造だったので、細い線を2本で対応しました。
バッテリーを新品に交換、バルブをワット数の大きいのに替えて、レンズも磨きました。車検の合格ラインは6,400Kd(カンデラ)、予備検屋で測ったらアイドル状態で3.4万Kd越えで、予備検屋さんも驚いていました。
下手にいじるよりも確実なアースを証明した形です。
参考になりましたら幸いです。
このように、長い車とオートバイの知識を生かして特許を取得したマジ軽ナットをネット販売しています。この除電技術はEV(電気自動車)、ハイブリッド自動車の技術情報総合サイトEV-Tech.jpにも掲載されています。

アメブロから過去の記事を抜粋して一部改訂して順次掲載しています。

#自動車

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