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チェルノブイリ日記 5 ~ 命の危険は終わらない
原発5号炉の屋上へ
私のことを無視するかのようにさっさと進むイケメンとガイド。ついて歩くのに必死の私。すると次に現れたのは……
えー、階段ってさぁ……こんな垂直に近いもんなの? 何を思ってこの角度にしたのでしょう。日本の住居でも古いものは階段が急だったりしますけど。
外に出たよー! やっぱり単純に開放感があって気持ち良いですね。写真の左にちらっと見える柵は安全確保の概念などなさそうですけども。
景色を眺めます。右に見える台形の建造物は何ぞ……。そこは今後の取材で訪れることになります。
※ この記事はトリップウォーカーに掲載していた「チェルノブイリ日記」を書き直したものです。有料の設定にしていますが、全て無料で読めます。読み終わって面白かったと思われましたら投げ銭として購入の手続きを行って下されば幸いです。
見下ろすと……あぁ、高いところまで来たんだなぁ。
何やら大きな筒が転がっていたり檻のようなものが見えたりしますがどういうつもりだったのだろう……。原発事故が起こらなければ私がこうして見下ろすことはありませんでしたし、筒や檻もあるべきところにあったはずです。
見回すとこれは……クレーンの運転席でしょうか。「ニーアオートマタ」というゲームでこういうところを走り回った気がします。気のせいかも知れません。
運転席をよく見ますと椅子が……座り心地が悪そうだなぁ。コスト第一で快適に仕事をしようなどという考えはなかったのかも知れません。
運転席は赤く錆び、窓にはヒビ。最後に運転した人はどこかで再就職出来たのでしょうか。
もうちょっと見回しますと何やら高い……見張り台? というか、えーと、これはハシゴで上り下りするんですか? 本気ですか?
上った先も申し訳程度の柵があるだけで余裕で落ちられそうに見えますが、えー、ここに人が上り下りしていたんですか?
屋上も散策しよう
さて、屋上も散策しましょう。建設途中だったから屋上みたいになっているだけで、このあたりも本当は屋内になるはずだったのかも知れませんが……。
左下、小さな木が生えています。たくましいなぁ……。
建物を設計する人ってのはすごいなぁ。並んだ柱はでたらめに立てたわけではなくてここに立てると決めたうえでここに立てたわけでしょう。年齢を重ねるほどに他人の仕事がすごいものに思えて来ます。
四半世紀以上も雨風にさらされ、しかも建設途中だったもの。
建設途中の頃はどんな色をしていたのかな。
退廃的だなぁ。これらの柱は何千年や何万年も経てば自然に倒れるのでしょうか……
……か?
おぉおー……。この柱は何でしょう。この隙間に何か入れる予定だったのかな。事故後に誰かが切り取って持って行った? 倒れるときはこの柱が先に倒れるのでしょうね。
しかし……。
広いね、屋上!
立ち入り禁止区域ではなかったらサバイバルゲームのフィールドにしたりビアガーデンにしたり出来るんでしょうけどねー。
ハシゴを鑑賞する集い
ところで柱にはハシゴが設置されているんですが、それに合わせて何やら丸めた針金のようなものも設置されています。
これは「背かご」と言いまして、後方へ落下してしまうのを……100%防げるというわけではないと思いますが、少しでも防ごうというものです。背かごがあるとないとでは安心感が違いますよね。
とは言えこんな頼りなさそうな背かごが体重を支えてくれるんですかねぇ……。無いよりマシなのかも知れませんが、どうにも不安が募ります。まぁ上りませんけど。
色が暗くて分かりにくいんですが、手前の柱にも背かごが設置されています……が、めちゃくちゃ歪んでるやん! 自然にこうなったの? あ、それとも誰か既に落ちてこうなったってこと……?
見上げると……やっぱり歪んでんなぁ、背かご。もし最初からこの状態だったとしたら手抜き工事も良いとこですよね。
斜めになっているハシゴはまだ上り下りしやすいんですかね。それでもタラップの細さと色に不安を覚えます。
おぉ! 良心的かつ丈夫なハシゴに見えますね。この屋上では信頼を置けそうです。
しかしハシゴはこういう風に作れという基準はなかったのでしょうか。作業員それぞれの趣味や独断か。
まぁ何にせよ怖そうなので上り下りしたくないですけどねー。私は運動神経が良くないですし、プライベートでも仕事でもハシゴを上り下りすることはありませんしね。上らぬハシゴに落下なしよ。
案の定……
上るの!?
しかもよりによって頼りなさげなハシゴを……。
ちなみにこのとき私は大人の頭が入りそうなショルダーバッグに一眼レフカメラとミラーレスカメラを首から提げた姿でした。えぇー、上らなあかんの……?
上りましたとも!
写真の左下のあたりに穴があるんですよ。黒い部分です。うっかり足を滑らせて変な落ち方をしたら穴に入ってしまいそうですよね。立ち入り禁止区域に入るとき何があっても訴えませんという旨の誓約書にサインをしてしまいましたので穴に入った後始末は自分でしないといけません。
あぁ、えらいところに来てしまったなぁ……。
で、ハシゴを上るということは下りるときもやって来るわけで。
半泣きで恐怖の言葉を思う存分に発しながら下りました。荷物がなければまだマシだったんでしょうけどね。あぁ、怪我をしなくて良かった。
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