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ひとり出版社をつくる㉒「書籍流通~注文出荷制~」

ひとり出版社をつくるシリーズ、当面お金の話で進めていくと宣言しておきながら、すみません、今回は趣向を変えてお送りします。当社2冊目の新刊書籍を問題なく発売できたので、書籍流通についての考え方についてすこしだけ述べたいと思います。

まず、昨日3月25日――。

出版社スタブロブックスの2冊目の新刊書籍、高橋惇さん著『一歩ふみだす勇気』の全国発売日を迎えました。

これから全国の書店で展開されていきます。書店で見かけた際には『一歩ふみだす勇気』を大きなジェスチャーで手に取っていただき、高らかに掲げながら眺めていただければ幸いです。

現状の展開書店リスト

現状、展開していただける書店様の地域は22都道府県です(2021年3月26日)。
※このリストを書店様がご覧になり、「うちにも置いているのに載っていないよ」という場合、ご連絡頂戴できますでしょうか。取次会社のシステム上、書店様をすべて把握することができなくて……。

一歩_店舗1

一歩_店舗2

一歩_店舗3

一歩_店舗4


大手や実績ある出版社の書籍は全国の書店に自動で配られますが、当社の出版物は実際に注文してくださった書店様にのみ配本されるシステムです。そのため展開できる書店様は一般には限られるものの、視点を変えると、それでもすでにこれだけの書店様に反響をいただいているのは著者の高橋さんのおかげです。

まだ四国、九州、東北エリアの書店様に十分アプローチできていませんが、引き続き、営業していきます。

読者の皆様、お近くの書店にない場合でも店頭でご予約してのご購入は可能ですし、反響が多いとその書店様に本を置いてもらえる可能性が高まります。「この本はないの?」と、書店員さんにどしどしお問い合わせください(笑)。

書店の皆様、『一歩ふみだす勇気』にご興味があれば、ぜひご注文ください。

・当社ウェブサイトから注文書をダウンロードして取次会社にFAXしていただいてもいいですし、
https://stablobooks.co.jp/bookstore/

・BookCellarでも当社書籍をご注文いただけますし、
https://www.bookcellar.jp/publishertop/list/197

・当社との直取引にも対応させていただきます。
https://stablobooks.co.jp/contact/

 「見計らい配本」について

ここから、書籍流通についてもうすこし詳しく書いていきます。

大手や実績のある出版社の新刊書籍は「見計らい配本」というしくみに乗って、全国の書店に自動的に配られます。書店にとっては、取次会社によって最適化されているであろうデータ分析によって新刊書籍が送られてきて、返品可能という条件のもとに多種多様な書籍を店頭に並べてお客様に提案できるメリットがあります。

出版社にとっては、返品できる条件をある種の免罪符として利用しながら、自社の本を書店に広く並べてもらえるチャンスを得られます。

この見計らい配本には功罪があるようです。が、どうこう言える立場では私はありません。いずれにしても、見計らい配本には本とお客様との幸せな邂逅を増やすメリットがあると思います。

「見計らい配本」と「注文出荷制」の違い

この見計らい配本のしくみ、うらやましいです。でも出版社をつくる際、この見計らい配本の流通を求めませんでした。

では何を求めたのかというと、「注文出荷制」の流通です。文字どおり、注文してもらった書店様にのみ配本するしくみです(注文といっても返品は長期に可能)。

この「見計らい配本」と「注文出荷制」は返品可能という意味では同じですが、それでも違いは非常に大きいです。

見計らい配本の場合、あえて極端な言い方を許してもらえるのなら、本さえつくれば、あとは営業しなくても全国の書店に本が並びます、というか並びやすいです(私は版元で書店営業を経験していますし、書籍ライターとして70冊以上の書籍の執筆に携わってきた立場からも流通をみてきたし、そんな単純な話ではないのは重々承知しています)。

対する注文出荷制の場合、本をつくっても営業しなければ注文はゼロです。ゼロ。本という物体ができ上るだけで、その後、何も起こりません。

そこで、営業します。書店に足を運び、書店員さんに説明し、おもしろそう、うちの書店で売ってみたい、うちの書店なら売れそう、あのお客様にお勧めできそう、と思ってもらって初めて注文してもらえて、店頭に並びます。

この書店営業の努力を、1店舗1店舗、おこないます。といっても全国津々浦々の書店をまわれないので、その他の方法も考えます。〝その他の方法〟に出版社の個性や実力、やる気、執念、アイデアが反映されたりします。

なぜ「注文出荷制」を求めたのか?

なぜこんな手間のかかる注文出荷制を求めたのかというと、理由は複雑で説明は難しいですが、ひとつ理由をいえば、売りたいと意思表示をしてくださる書店様に売ってもらおう、という商売の原点のような思いです。

そうすれば、本を届けたい人に届きやすいのではないかと。出版流通はほんとうに複雑で、そういう思いだけでは成り立たないのは知識としても実感としてもよくわかっていますが、注文出荷制を選んだ理由のひとつとしてはそうです。

この注文出荷制で本を流通させる場合、出版社側に思いが必要です。この著者の本を、あんな人こんな人に何とかして届けたい、という思いがないと、書店の営業はしんどいです。反対に、この著者の本を何とかして届けたい、という思いがあれば、注文出荷制のしくみは出版社にとって心強いものになります。

『一歩ふみだす勇気』を発刊するに至った思いについては、このnoteでまとめています。

出版社と書店が直接やり取りする「直取引」で商売をさせてもらうイメージでもあります。(直取引の説明もややこしいので割愛。スタブロブックスは直取引ではないが、取次会社を活用した直取引のイメージ。この考えは新しいと思う)

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スタブロブックスは、一歩を踏み出して走り始めたばかりですが、著者さんにとっても書店にとっても、そして出版社にとっても利益やメリットを享受できる三者鼎立の状態をつくり出したいと、日々、がんばっています。

そうやってかかわる人たちを幸せにする本づくりができれば、最終的な目的である届けたい人に本を届ける、が可能となり、幸せにできる人をさらに増やせるのではないか、と思っています。

加えていえば、こうした出版活動を、兵庫県加東市の田舎を拠点にやっている新しさ、おもしろさもあわせて情報発信していければと思います。

本日は、以上です。

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