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3Dプリンター:太ノズルプリントの準備

3Dプリントにおいて太いノズルは、より大量のフィラメントを短時間で押し出すことができ、それにより印刷時間の短縮や強度の向上が期待できます。しかし、細かいディテールの印刷には適していないため、使用する目的を明確にすることが重要です。

太いノズルを使う利点については前回の記事を参考にしてください。

太いノズルの選び方とおすすめノズルリスト

2023年現在購入できる太いノズルはさまざまな種類があり、それぞれに特徴があります。ここでは、Triple Bottom Lineで使用しているおすすめのノズルについてご紹介します。

おすすめ太ノズル1:Bondtech CHT MK8 Coated Brass Nozzle

通常CHTノズルと呼ばれるノズルで、特徴的な三又の構造を持っており、その結果、熱伝導効率が向上し、フィラメントの流量を高めることができます。BondtechのこのCHTノズルは最大1.8mmの太さを持っています。

太ノズルを使用すると、フィラメントの消費速度が早くなるため、通常のストレートノズルではフィラメントの芯まで十分に熱が伝わらないことがあります。特に、フィラメントが1.75mmでノズル径が1.8mmの場合、ストレートノズルを使用すると、ほぼそのままノズルから樹脂が吐出され、エクストルーダーのスピードが速い場合は加熱が不十分になることがあります。BondtechのCHTノズルは、三又構造を通じてフィラメントに効率的に熱を伝え、安定した吐出を実現しています。

5本パックは0.6mm、0.8mm、1.0mm、1.4mm、1.8mmがセットになっているので、はじめて太ノズルを使うときに小さいノズルから試すことが出来ます。ご自身の造形に合う径のノズルを見つけてみてください。

おすすめ太ノズル2:Nonplanar Brass nozzle

こちらは最大径1.2mmと太ノズルとしては少し物足りないですが、ノズルの軸が長いという特徴があるノズルです。3Dプリンターでは通常は造形中の高さに対して2軸(XY軸)のノズルの移動で造形をするのですが、同時3軸としてXYZすべての軸を制御して同時に動かすことで非平面の造形を行うことが出来ます。

必要な工具のリスト

ノズルの交換には以下のような基本的な工具が必要です。

・モンキーレンチ

ノズル交換時のヒートブロック固定用

・電動ドリル用ショートソケット

ノズルのサイズにあったソケットが必要です。

・スタビーラチェットドライバー

ショートソケットを装着して使います。

ソケットとラチェットドライバーはこのように繋げてノズルのつけ外しに使います。

交換手順の詳細とキャリブレーション

ノズルの交換は、ホットエンドが加熱されている状態で行います。これは、金属部品の膨張によりノズルが緩むためであり、また内部で固まって残存しているフィラメントを加熱しホットエンドとノズルを外しやすくするためです。手順は以下の通りです。

  1. フィラメントの取り出し:ホットエンドを加熱し、フィラメントを取り出します。 プリンターの通常のフィラメント交換手順通りフィラメントを取り出してください。

  2. ノズルの取り外し:ホットエンドを加熱した状態で、ノズルを慎重に取り外します。

  3. 新しいノズルの取り付け:新しいノズルを取り付け、適切に締め付けます。

  4. フィラメントの再セット:フィラメントを再度セットし、ノズルからのフィラメント吐出を確認します。

  5. キャリブレーション:最後に、プリンターのキャリブレーションを行います。これは、新しいノズルの特性に合わせてプリンターの設定を調整するために重要です。キャリブレーションには、ノズルの高さ調整、フィラメントの流量調整などが含まれます。

ノズルのつけ外しは必ずホットエンドを加熱した状態でしてください。

参考:更に太ノズルを極めたい方向け

この記事では、太ノズルの普及に焦点を当て、フィラメントの規格に深くは触れずに、現在一般的な1.75mmフィラメントの使用を前提としています。通常、直径1.75mmのフィラメントを1.8mmノズルで使用する場合、ノズル内でフィラメントがスムーズに通過し、樹脂の加熱が不十分になることがあります。しかし、この記事で紹介しているBondtechのCHTノズルでは、樹脂がノズル内で撹拌され、1.8mmノズルからスムーズに押し出されることを確認しています。

それでも、樹脂の流量をさらに速めたい方、または2.0mm以上の太ノズルを使用したい方は、直径1.75mmのフィラメントでは限界があるため、直径2.85mmのフィラメントの使用を推奨します。2.85mmフィラメントは、対応するエクストルーダーを搭載した3Dプリンターの購入、またはエクストルーダーのみの交換で使用可能です。2.85mmフィラメントの取り扱いは近年減少していますが、興味のある方はぜひ挑戦してみてください。

まとめ

太ノズルでの3Dプリントの準備について説明してきましたが、ここまで来ればあとは実際にプリントをするだけです。

また、太ノズルを使った3Dプリントでプロダクト開発にご興味がある場合は、ぜひTriple Bottom Lineへご連絡ください。

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次の記事では実際に太ノズルを使ったプリントの方法について解説していきますので、ご興味ある方はぜひフォローをお願いします。


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