#02|あとかたなく大地へと還る、 “新世代”コーヒータンブラー。
「会津発、世界へ。」地元生まれとして、なんと胸アツな技術だろうか!
森林資源が豊富で中世より漆器づくりが始まった会津は、ここならではの加飾技法も今に伝わる。明治以降、倣い旋盤による轆轤挽きの発明など、会津には時代の求めに応じて技術を研鑽・発明してきた歴史がある。創業以来、椀物を主軸にテーブルウェア品を製造してきた三義漆器店は、これまでも様々な素材と技術で新境地を開いてきた。
戦後、資源として有限でもある木材の代替に用いられてきた石油由来のプラスチック成形品は、大量ニーズやデザインの自由度、軽量さでは比類ない素材。しかし廃棄後に土へ戻らないため、海洋汚染のマイクロプラスチック問題など近年、環境への負荷が大きいことから自然由来品へのシフトが急がれる。この現状で生まれたのがサトウキビやトウモロコシのでんぷんと乳酸菌を原料にしたPLA(ポリ乳酸)という生分解プラスチック素材。土中で3年ほど、微生物が活発な環境なら2、3ヶ月で水と二酸化炭素に分解されることが検証されている。
三義漆器店はこのエコ素材に着目し、射出成形技術開発者の小松道男氏とともにまず、会津の酒文化を彩る華やかな「紫翠盃」に挑戦した。PLA製は他社品にもあるが、素材そのままでは熱に弱く石油由来プラとの配合が必要なため、比率によっては完全に土へ還らない。当社ではPLAを94%に高めつつ鉱物成分を配合し耐熱素材とした。役割を終えて自然に還るのは、この「R+Eタンブラー」のみとか。世界唯一の技術、と曽根社長は熱く語る。
(取材撮影:2022年4月 初出:月刊会津嶺5月号)
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