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会津ものづくりneo

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伝統産業が今も息づく会津の新旧のものづくりを紹介します。
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#03|まったく新しいコンセプト。「躍動感」をカタチにした桐下駄

体感してこそ、腑に落ちることがある。工人への取材で「桐の木には粘りがあるんです」とよく耳にする言葉にピンときていなかったものだが、佐原さんの作った『カラコロ』を履き、歩いてみて雷にうたれたように合点がいった。〝弾性〟のことだったのだ。 会津南西部の只見川沿いに多く見られる薄紫の花が初夏の風情をみせる桐。白金の艶やかな板目もうるわしく、婚礼箪笥や文化財を収める箱など、古くから大切な品を守る保管箱に用いられてきた、密閉性と調湿機能を持つ優れた木材。その軽さから下駄としても広く利

#02|あとかたなく大地へと還る、 “新世代”コーヒータンブラー。

「会津発、世界へ。」地元生まれとして、なんと胸アツな技術だろうか! 森林資源が豊富で中世より漆器づくりが始まった会津は、ここならではの加飾技法も今に伝わる。明治以降、倣い旋盤による轆轤挽きの発明など、会津には時代の求めに応じて技術を研鑽・発明してきた歴史がある。創業以来、椀物を主軸にテーブルウェア品を製造してきた三義漆器店は、これまでも様々な素材と技術で新境地を開いてきた。 戦後、資源として有限でもある木材の代替に用いられてきた石油由来のプラスチック成形品は、大量ニーズやデ

#01|わが子のように迎え、暮らしの中で育てる漆のうつわ 「めぐる」。

その価値に気づき、磨き上げるのはいつも他所からの人なのだ。この「めぐる」の漆器を世に送り出し8年になる貝沼航さんも大学卒業後に会津へ来た。サラリーマン時代に会津の工芸と出会い天啓を受けたように起業し、ものづくりに携わる人達に伴走してきた。 〝三泣き〟で知られる会津に溶け込み、自身の思いが形になるまでのご苦労は並大抵でなかったはず、と勝手に思う。 東北の漆を使い、売上の一部がまた会津の漆の植栽活動に寄付される「めぐる」シリーズは、そんな感傷をおいても真っ先に紹介したい素晴らし