戦争の街

雑草の髪の少年と
その相棒アイウェオは
鉄板造りのグライダーで
冬籠りのクジラ号から
戦火轟くヤスメヤセンの街へ
降下して行った
少年は竜火の火球や
野放しの閃光術が
縦横無尽に駆け巡っていると
思っていたので
頻りに警戒しながら
グライダーを注意深く
運転していたが
一向にそんな気配は
感じられず
火どころか
煙すらも見えなかった
例によって
このグライダーにも
動力源が無かったので
火花渦を出しながら
高度を調節した
どこか着陸出来ないか
辺りを見回してみると
ちょうど良い
茂みのような場所が
目についた
ただ
見た目としては
あたかも自分たちが
侵略者のようだったので
極力飛行中も
街の住人たちに
視認されぬように
注意を払った
無事に茂みに着陸して
グライダーを降りた瞬間
夥しい量の思念波が
少年の脳内へ
流入してきた

◆ 戦利品 ─【脳が割れるほどの思念波】

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