マテリカンの葛藤【地底帝国の詩 108】
今更何しに来たんだよ。
── 元同僚たち
元同僚のマテリカンたちがゾニィに詰め寄った
途中だったプロジェクトを投げ出して
あとはおれたちに放り投げて
自分は好き放題やってるのかよ!
お前が居なくなって、
おれらがどれだけ大変かなんて
分からないだろうな…!
── 元同僚たち
オレは好き放題やっているかも知れない
けれども、
自分たちが何のために
こんな研究をさせられているか
分かっているのか?
オレたちの努力もすべてコルネの功績なんだぞ⁉︎
オレたちは完全にヤツの黒子だ!
そんな人生楽しいかよ?
── 暴走族長、ゾニィ
そうでもしないと生活出来ないんだから
仕方がないじゃないか!
── 元同僚たち
いいや、
こんなことしなくても
生活は出来る。
お前らはこんな地下深くに
閉じこもって
一生を終えるのかよ?
── ゾニィ
おれは暫くこの地下フロア暮らしだ
地上に出ることなんて
めっきり減ったよ。
── 公社の研究員、アサツキ
アサツキは哀愁を漂わせながら
ダンジョウたちに語った
裏の裏は、表だよ。
── 段城矢真十
ヤマトは得意げに
十円硬貨をピンと弾いた
それは?
── アサツキ
これはぼくの居た世界の硬貨さ。
── 段城矢真十
きみは…どこから来たんだい?
とてもこの世界のヒトとは
思えないけど…
── アサツキ
ぼくは地上から来たんだ。
── 段城矢真十
地上?
── アサツキ
アサツキが怪訝な顔をした
この上の街のことかい?
── アサツキ
そう!この上の、上にある街だね。
── 段城矢真十
ふふ、まさか…
── アサツキ
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