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紅い巨人と碧い龍

雲の上から
ヤスメヤセンの街を
舐めるように降下すると
巨人となった電波塔は
破壊の脚を止めていなかった

このままじゃ
街が畑になるのが
時間の問題だよ

雑草の髪の少年は
冗談かどうか
曖昧な言動をした
アイウェオは
巨人に近づくと
ぐるり周りを旋回した

なんだか
さっきより
大きくなっている気が
するけれど
気のせいだろうか…

少年はアイウェオよりも
何倍もある巨体を見て慄いた

まぁ、取り敢えず
なんとかやってみるさ

とても
たくさんの生命を懸けた
戦いの前の雰囲気では
なかったが
彼らなりに
覚悟は出来ているのだろう
ライスワイフのグライダーも
加勢して
少しは戦えそうだ

どうする?
このままだと
門の前の人たちは
ペシャンコだよ!
何処かへ誘導しないと

ライスワイフも
冗談がきつい

そうだなぁ…
動きを止められれば
いちばん良いのだけれど…
ライスワイフの
プラズマ弾では
限界があるし…

少年はふと
今来た経路を
頭のなかで辿った

ラボが崩れた
ということは
地下には
大きな穴が空いているはず…
博士の釜も
機能していれば
物質を変換することが
出来るかも知れない!

釜には期待しない方が
良いかも知れないけれど
落とし穴としてなら
誘導する価値は
あるかも知れないね

アイウェオも賛成した
ライスワイフを引き連れて
巨人を門とは反対側の
ドミニスリヤのラボへ
誘導することにした


◆ 戦利品 ─【明暗を分ける名案】

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