上の階 【地底帝国の詩 111】
この場所には階段など存在しなかった
本当に閉じ込められたまま生活しているのだということを
ヤマトは実感した
出られるのは月に一回だけだ。
この運搬用エレベーターから上の階へ上がることとなってる。
もちろん、見ての通りこのサイズだ。
エレベーターの前は毎回大行列さ。
── 公社の研究員、アサツキ
ヤマトは交信を始めると
動かないはずのエレベーターを無理矢理起動した
みんな乗るんだ。
── 段城矢真十
エレベーターが上の階までぎこちなく上昇すると
ヤマトたちを上の階まで運んだ
ここを開けたらどこに繋がってる?
── 段城矢真十
地図を確認するとここには何もない。
物置のはずだ。
── アサツキ
エレベーターのドアを開ける前に
ヤマトは扉の隙間から外を覗き込んだ
おい、何かいるぞ…!
── 副族長、ギロチヨ
…まるで刃物が立っているみたいだ…。
── 段城矢真十
ヤマトの言う通り刃物のような物体が四体ほど立っていた
忘れ物を取りに行こう。
── アサツキ
アサツキはそう言って
ヤマトにエレベーターを降ろさせた
112へつづく
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?