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与えられた使命【天候術師のサーガ 41】

 パパ…。
 ── しまギャル、アガヴェ

 さすが私の娘だ。
 ここまで強力な力を
 有しているとは…。
 苦労して育てた甲斐があった。
 それでは、最終段階といこうか。
 その前に、この一連の研究過程を目撃してしまった
 きみには消えてもらおう、ナナミくん。
 ── アガヴェのパパ、カドモス


カドモスは
魔導銃ピストルの引き金を引きながら
それをナナミに差し向けた

その刹那
カドモスの持っていた銃は
彼方へ吹き飛んだ


 なに?
 ── カドモス


カドモスが辺りを見回すと
研究室の入り口には
彼の妻、ハルモニアが立っていた


 貴様…!
 余計なことを!
 どうして研究室内に入れる!
 扉は私の指紋でしか開かないはずだろう!
 ── カドモス

 あなたの指紋を集めていたの。
 食事の時に食器についた指紋をね。
 ── アガヴェのママ、ハルモニア

 なんだと…!
 それに、夜はイルリオスから
 離れられないように
 操作インプットしてあるはずなのに…!
 どうして!
 ── カドモス

 イルくんは私の魔法を無力化
 してしまうから、
 同じく魔法を無力化する
 イーノと眠らせたわ。
 不思議なことに、
 私は今こうして魔法が使えているわね。
 一か八かやってみるものだわ。
 ── ハルモニア

 こんの…!
 魔女風情がぁ…!
 私のおかげで
 再び魔法が使えるようになったくせに!
 恩を仇で返すというのか…!
 ── カドモス

 アガヴェ、ナナミちゃん、
 みんなを連れて早く逃げなさい。
 あとこれを。
 ── ハルモニア


アガヴェは
ハルモニアから彼女の魔導デバイスを
受け取った


 詳しくは自動音声に従って!
 早く!
 ── ハルモニア

 え、でも、ママは…?
 ── アガヴェ

 ママは大丈夫!
 アガヴェ、愛してるわ!
 早く!
 ── ハルモニア

 行かせるか!
 ── カドモス


カドモスは即座に
ふたりを追いかけたが
ハルモニアの火と風の
合体魔法で捕らえられて
足止めを喰らってしまった


 こしゃくな…!
 ── カドモス

 ナナミっち、
 行こ。
 ── アガヴェ

 でも…。
 ── ナナミ

 うち、ママのこと信じるよ…。
 だから、行こ。
 ── アガヴェ


アガヴェは
今まで見たこともないような
複雑な表情を浮かべていた

決意を固めたようにも見えるし
どこか愛おしさを抑えている
ようにも見えた


42へつづく

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