千里眼のシスルー

ガニメデ小隊の一員
千里眼のシスルーは
グライダーを駆りながら
雑草魂の魔法使いたちウィーザーズ
居場所を探していた

ガニメデ大佐や
その他の隊員と
思念波通信を繋げて
逐一情報交換を行っていた


「今のところ、見当たりませんネ。
大佐の話から推測すると、そこまで遠くには行けていないはずなのですがネ」
── 千里眼、シスルー
「うむ…、早いところとっ捕まえて、総帥に突き出さないとおかんむりだからな…。
私はこれ以上ガミガミ言われるのは嫌だよ。
中間管理職も楽ではないね」
── ガニメデ大佐


ガニメデ大佐はそう言い終わると
深いため息をついた

シスルーは
異常に発達した眼を
ぎょろつかせながら
グライダーを注意深く操作した

彼は正直なところ
何故この特別編成小隊に
招集されたのか
いまいち理解出来ていなかった

普段の任務や訓練でも
特段成果をあげるわけでもなく
むしろ煙たがられていた

そんな彼の千里眼能力は
生まれ持ったものである
正確に言えば
生まれ持たされたものである

白雪の大軍スノーマンズには
岩肌の少年イワモトのような
人造人間が日夜生まれ
そして死んでゆくのだ
シスルーも例外ではなかった

彼の千里眼能力が唯一役に立ったのは
野戦の際に
森の奥から来る脅威に
いち早く気づけたことだ

近くに味方は居たが
彼は一目散に逃げ出した
その他の者たちが
船に帰還することは無かった

それからと言うものの
敵前逃亡の容疑にかけられ
聴聞会ものになっているが
彼が逃げ続けているため
なかなか開かれることはないのだ

突如
思念波通信に一報が入った


「この辺、石薔薇の森。魔女が出るで、有名」
── 歩く世界地図、ズマップ


地図マニアのズマップが
現在地を伝えていた



◀︎ 前頁◀︎

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?