黒い水
ライスワイフは
静電気のバリアで
身体をコーティングすると
コイルの衛星を何個か
自らの近くへ打ち上げて
電圧を増幅した
空気が感電していた
あんたは生半可な覚悟じゃ
止められやしないだろうからね
悪いけれど手加減は無しだよ
そんなもの要らないね
荊の髪の少年は
生意気に
鼻で笑いながらほくそ笑んだ
少年の手からは
黒い水が滴り落ちており
それは地面を伝って
ライスワイフの近くまで
延びていた
プラズマのバリアで
蒸発させようと試みたが
途端に火花を発し
炎となって襲って来た
プラズマでは防げないので
咄嗟に回避したが
コイルの衛星が
ひとつ破壊されてしまった
プラズマのバリアは
一部分だけ脆くなった
このまま防御に徹していては
埒が明かないので
プラズマ弾を放って
少年の出方を読んだ
プラズマ弾は見事に
黒い水の壁に吸い込まれて
爆散した
何が弾けたかは
よく分からなかったが
一瞬その場に固まったように見えた
煙幕のように辺りに
水蒸気が立ち込めると
ライスワイフは
少年の姿を見失った
◆ 戦利品 ─【不穏な水蒸気】
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