サウンドロゴは好意度と購買意向を高める!? 3つの制作ポイントとは
近年、Spotifyやradiko、Voicyなどの音声配信プラットフォームがユーザー数を伸ばし、音声を活用したマーケティング手法(音声マーケティング)が注目を集めています。
このnoteでは、音声マーケティングの手法の1つである「サウンドロゴ」の効果と、その効果を発揮するための制作ポイントをご紹介します。
長くテレビやラジオCMに使われてきたサウンドロゴの効果を改めて理解する際に、ぜひお役立てください!
サウンドロゴとは?
皆さんは、サウンドロゴと聞いて何を思い浮かべますか?
例えば、明治「北海道十勝カマンベールチーズ」商品動画の冒頭に流れる、「明治」という部分でしょうか。
もしくは、エステーが販売する「ムシューダ」のCMで流れているような、「ニオイがつかないムシューダ」や「エステー」という部分でしょうか?
伯方塩業の「伯方の塩」は、動画がなくてもメロディーを思い浮かべられる方が多いのではないでしょうか。1987年からCMで流れている「伯方の塩」は、2019年には2代目の声優を募集するTwitterキャンペーンを実施して話題になっていました。
サウンドロゴの定義について、宣伝会議の記事や日本認知心理学会の研究では以下のように書かれています。
どちらも共有しているのは「企業や商品名などを含んだ名称やコピー文」を「メロディーにしたもの」です。本記事でもサウンドロゴを「企業名や商品名などが含まれたフレーズにメロディーを付けたもの」と定義します。
フレーズを含まないメロディーだけの音はサウンドロゴとは呼ばず、反対にラジオなどで使用される「ジングル」も、企業名や商品名、番組名などが含まれたメロディーであればサウンドロゴと(本記事では)同義ということになります。
これまでもテレビやラジオなどさまざまな場所で使われているサウンドロゴには、どんな効果があるのでしょうか?
サウンドロゴやメロディーに関する研究
日本認知心理学会による研究『サウンドロゴの反復呈示とメロディ親近性が商品評価に及ぼす効果』では、サウンドロゴに関する研究や有効性が書かれています。「サウンドロゴの呈示回数と音楽的特徴を操作した実験(※1)」によって、以下の3点が検討されました。
これらに関する実験によると、サウンドロゴの反復呈示によって
が示されました。
「メロディの親近性」とは、同研究において「サウンドロゴの聴きやすさ,馴染み深さ」を指します。メロディーの親近性が高く呈示回数が多くなるほど安心感を抱き、商品への好意度を高め、購買意図が促進されるようです。
また、サウンドロゴの接触から商品の購入に至る過程については、「サウンドロゴ接触(親近性,呈示回数の影響)→商品名の典型性→安心感→好意度→購買意図という一連のプロセスが示された.(中略)視覚的広告刺激を用いて示した知見が,広告形態を聴覚的なサウンドロゴにした場合にも当てはまることを示している.」と説明。
さらに、「親近性の高いメロディに乗せたほうが,低いメロディに載せるよりも記憶成績が良かった」という実験結果も説明されています。
また、大阪医療福祉専門学校による「2016年度 【作業療法士学科 夜間部】 口述演題」には、2つの研究結果から「メロディーを用いた方法は長期記憶に繋げる記憶方法として有効だということが示唆された」と掲載されていました。
以上のことから、聴きやすい・馴染みのあるメロディーを活用したサウンドロゴが(長期的にも)記憶されやすく、安心感や好意度、購買意図につながりやすいことが分かります。
冒頭でも触れたように、近年音声を活用したマーケティング手法が注目されていることから、サウンドロゴや音声広告などを見直している、新たに検討している方も多いのではないでしょうか?
サウンドロゴ制作時のポイント「3つ」
ここからは、サウンドロゴを制作する際におさえておきたいポイントを3つご紹介します。
①ブランドイメージに適していること
サウンドロゴのメロディーは、ブランドに抱くイメージと合っている必要があります。そのために、まずはブランドに対するイメージやブランドの知覚価値を単語や文章で言語化しましょう。
その後に言語化した単語や文章に合うメロディーを選びますが、メロディーにもイメージがあることから、ブランドに対するイメージとメロディーに対するイメージを近づけることが重要です。
クラブで流れるようなアップテンポの音楽を聴くと少し興奮したような明るい気持ちになったり、ゆったりとした音楽を耳にすると穏やかで落ち着いた気分になったりするように、メロディーを聴いたときのイメージや感情については法則があると言われています。
一方で、聴き手が暮らす土地の文化や過去の記憶などによって、同じメロディーや曲を聴いても異なる感情を抱くこともあります。メロディーへのイメージはあくまで原則として考えるのが望ましいでしょう。
②独自性があること
消費者がブランドに気づき、他社と違うと認識できる文字や形、色、においなどを識別記号と言います。メロディーを聴いて「あのCMだ」「あのブランドだ」とイメージできるサウンドロゴも識別記号の1つです。
数多くの商品が販売され、品質や価格だけでは差別化が難しいいま、消費者が商品を購入したいと思った時に1番初めに思い出してもらうこと、そして競合他社の商品ではなく自社の商品を選んでもらうためのマーケティングが非常に重要です。
ブランドは識別記号と知覚価値で構成されることから、ブランドのイメージ(知覚品質)に合ったメロディーを識別記号として活用できるサウンドロゴは、ブランドを思い出してもらう・選んでもらうための大切な一要素だと言えるでしょう。
そのためにも、特定のブランドとして出してもらうための独自性は不可欠です。同業だけでなく、似たようなメロディー・フレーズがないかをチーム(複数人)で調べておく必要があります。
③馴染みやすく、口ずさめるように簡単であること
3つ目は、ご紹介した研究にも書かれていたように、聴きやすく馴染みやすいこと(メロディーの親近性が高いこと)がサウンドロゴの効果を発揮するために重要です。
また、「明治」や「エステー」、「伯方の塩」のようなブランド名やそれに付く修飾語のフレーズが短く覚えやすいこともポイントです。サウンドロゴはそれらを長期的に記憶してもらうのに有効な手法ですので、できるだけ簡単で分かりやすい言葉を採用しましょう。
サウンドロゴは改めて重視されるマーケティング手法に
音声マーケティングが注目を集めるなかで、サウンドロゴはブランドを1番初めに思い出してもらうための手法の1つとして改めて重視されつつあります。
これまで長くサウンドロゴを活用してきたブランドも、サウンドロゴを制作したことがないブランドも、ぜひこのnoteを参考に検討いただけると嬉しいです。
このnoteを執筆したトライバルメディアハウス内のマーケティングレーベル「Modern Age/モダンエイジ」は、サウンドロゴだけでなく、音声マーケティングやエンターテインメントのファンに向けた売れる・愛されるマーケティングを得意としています。
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