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自社で農作物を作りきるメリットは?10の提携農園と行う商品づくり

トライアルの青果部門が近年特に力を入れている「トライアルファーム」プロジェクト。農家と一緒に自ら作物を育て、商品化まで行うという試みだ。以前当ブログではみかん作りの取り組みについて紹介したが、直近1年弱でさらに規模を拡大している。
今回はトライアルファームの最新状況と、その事業モデルについて改めて見ていく。

参考記事:
https://note.com/trial_kouho/n/nb01b009ab61d
https://note.com/trial_kouho/n/n6dc84eacc88c

全国各地の10農園と提携 低価格で高品質な商品づくり

トライアルファームの取り組み自体は2020年に開始しており、キャベツや白菜・オクラなど様々な商品が店頭に並んできた。現在トライアルファームとしての提携農園は10箇所まで広がっており、みかんやスイカなど4~5種類の農作物を生産している。
提携農園は既に繋がりのある農業関係の方からの紹介のほか、近年instagramなどでの発信に力を入れる農園も増えていることから、SNSを入り口に実際に足を運び商談を行うというケースもある。

トライアルストアーズ 青果SBU青果商品部部長 丸山

なぜあえて自社でイチから作物を育てようとしたのか、トライアルストアーズ青果SBU青果商品部部長の丸山はこう話す。

「きっかけは4年ほど前、弊社社長の亀田との会話からです。日本は少子高齢化に伴う人口減少が大きな課題になっていますが、それに伴い市場も自然に縮小していくことが予想されます。そうなると農産物の流れにも変化が起きるだろうということです。市場に溢れる様々な品物の中から欲しいものを買い付けるのではなく、必要なものを必要なだけ農家から直接いただく流れ、つまり産地直送が主流になってくるのではという仮説を立てました。

そういった時代を見据えたときに、青果部として売りたいものを売りたい量で用意するために、畑から作っていこうと始めたものがトライアルファームです。」

トライアルファーム 立て看板

トライアルの青果部門には農業の専門知識を有する社員がおり、生産者と協力しながら土壌の剪定〜輸送、販売まで全て対応できるため、そのスキームを整えるのは早かった。

自社生産にこだわりながら、自社生産にこだわりすぎない

以前の記事でも紹介したように、トライアルファームは「SPA」と呼ばれるアパレル業界由来の事業モデルにヒントを得ている。商品の企画・製造・販売など一連の工程を全て自分たちで行うことで、余分なコストや無駄を効率的に省くことができるのが特長だ

SPAモデル

SPAでの商品づくりを行う上で、軸となる考え方として「お客様が喜ぶ商品」であることがある。当たり前のことながら、最も忘れてはいけないことだ。新鮮で安く美味しいのはもちろん、「お客様から求められる商品かどうか」という点に常に立ち返りながら商品づくりを進めている。

ただなんでもかんでも自社で作ろうというわけではない。市場の商品を買った方が安く良いものを手に入れられるということももちろんある。SPAでの商品づくりが適している農作物を見極め、生産すると決めたものに対しては土壌づくりから栽培の仕方、収穫後の温度管理まで徹底してこだわっていくのがトライアル流だ。

育てるものも提携農園が得意とする作物だけでなく、これまで作ってこなかった新しい作物へのチャレンジの話も最近は出てきている。

より戦略的なファームづくりへ

トライアルファームは青果部門の人間が中心になってやってきたが、2023年の7月ごろから体制をやや変えている。商品在庫の分配や管理を担うDB(ディストリビューター)、仕入れや商品棚の陳列・販促等も担うMD(マーチャンダイジング)の部門も計画段階から一緒に入ってもらうようになった。数値管理の話を初期段階からより綿密に行えるようになったため、これまで以上に効率的な生産の実現が期待できる。

商品の面では、お客様がより欲しい商品をという観点から、最初からヘタのない”ヘタとれトマト”や高濃度トマトの開発に直近着手している。様々な角度で進化しているトライアルファームに今後も注目だ。

(左)ヘタとれトマト(右)高濃度トマト