タイミング

実家の辺りを歩いていた時のこと。「あれ?」と思った。

葉っぱ。葉っぱがワサワサしている。

道端の葉っぱがワサワサしているなんて、田舎では普通のことではあるけれども。

この時期この葉っぱがワサワサしているなんてあるの??と思ったわけである。

何故なら近くにあるたぶん同じ葉っぱは今こんな感じで。


フクラスズメの幼虫に食べられまくっているのである。


食べられるのは毎年のことで、私が子どもの頃からそうだった。秋になると黒色にオレンジ色の入った虫が葉っぱに群がって、パクパクパクパク食べているのである。葉っぱはほとんど食べつくされてしまう。良くても穴だらけ、欠けだらけ。

だからこんな風に無事な葉っぱがあるのは、とても不思議なことだった。考えられるのは2つ。

・実は違う種類でフクラスズメが食べない葉っぱなのか

・フクラスズメが食べる時期にまだそんなに生えていなかったのか

なのだと思う。


よく見れば無事な葉っぱたちは背丈が低いので、その辺だけ草刈りされていて、フクラスズメがバクバク食べている時にはそんなに生えていなかったのかも。

もし今になって生えて無事だったのなら、草刈りされたのは不運でも最終的にはラッキーだったのかもしれない?

何となくタイミングの妙を感じたのだった。



いやいやでもね、ふと思う。

この世には食物連鎖があり、循環があるのである。虫に食べられるのもまたその一環だし、「食べられること」が悪いことなのかと言えばそうでもない。

葉っぱ自体が「食べられたいなー」と思っていたなら、虫に食べられることは幸せなのである。


あの葉っぱたちは、どっちだったのだろう。

できれば、食べられた葉っぱは食べられることに幸せを見出していて欲しいし、ワサワサしている葉っぱは「食べられるの嫌なんだよね、何とか回避したいなー」と思っていて欲しい。

そしてそんなタイミングで草刈りがあって、フクラスズメがやってきたのなら、何だか嬉しい。


なんてことをひとり道を歩きながら考えて、ちょっと楽しくなったのだった。

単純に「実は違う植物」って可能性もあるけどね。

本当、自然は情報量が多くて。いろいろ考えてしまうなぁと思う。でもこの情報量の多さは嫌いじゃないし、落ち着くのだよな。



ではまた明日。