手と手が触れ合う的なあれ

仕事中。複数人で一つの作業をやっていると、同じものを取ろうとして手が当たることがある。

大抵は「あ、ごめん!」「すみません!」とかの一言で終わるのだけれど、たまに「あ、恋が始まってしまう!」「トゥンクやね!」という話になることもある。

これ系のよくある(?)話としては、やはり本なのだろうか。自分が取ろうとした本を同じタイミングで取ろうとした人がいて、というもの。

何が最初なのかは全然知らないし、実際にどのくらい創作物で使われているシチュエーションなのかはわからないけど、何となく「あぁ、そのパターン」と人々に認識されているような気がするこの出会い。

過去、会話の中で「こんな出会いに憧れている!」と話してくれた人が2人いるのだけれど、どちらも男性だった。1人はCDで、1人は本。おそらくそれなりに本気で「こんな出会い方がいい!」と語ってくれた人が2人とも男性だったこともあり、何となく私の中で「男性が憧れる出会い方」のイメージがある。

もちろん冒頭のように女性たちだけの会話で出てくることもあるのだけれど、彼女たちは冗談で言っているだけで、本気ではないのだよなぁ。普段本を読む人たちではないから、「同じ本を取ろうとする」のが現実的じゃないという所はあるのかもしれないけれど。

ちなみに普段本を読む私がそういう出会いに憧れたのかと言うと…?うーん。話の中の出会いとしてはアリだと思うけど、現実に起こって欲しいとか、そんな出会いを期待して本屋さんや図書館に行ったことは無い気がする。し、多分実際に起っても何も始まらなかったと思う。知らない人と同じものを取ろうとするって何か気まずいし。知らない人に自分が興味を持ったものを知られるって恥ずかしいものもあって、おそらくその後その人に会わないように動く気がする。

ということをまぁ、会話をきっかけにつらつら考えていたのだけれど。私の中で「男性が憧れる出会い」イメージがあるこの出会い、夫も憧れがあったのかなぁと聞いてみた。すると「何となく憧れるものはあった」という回答。

「この人同じものが好きなんだ!て嬉しくなったと思う?」

「んー。気が合うなって嬉しいの半分。同じもの取ろうとしやがって、て気持ちが半分かな」

「そっか。その人が取ったら自分の分が無くなるもんね」

「スーパーで残り1個の弁当をお互い取ろうとした時みたいなさ」

「なるほど…」

そう聞くと胸キュン話が途端に殺伐としたものになってしまうのだけれど、1冊の本を取るのも残り1個の弁当を取るのも、確かに行動は同じなんだよなぁ。でもたぶん、残り1個の弁当を同時に取ろうとした人に対して「あ、気が合いますね」とはなかなかなれない気がする。心の余裕の問題なのだろうか。

これはこれで新たに考えてしまうものがあるのだけれど、時間も無いので今日の記事はここで終わり。今日も恋が始まってしまう仕事に行ってくるのである。


ではまた明日。