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朝ドラらんまんが素晴らしかった。

朝ドラをちゃんと見始めたのは「まんぷく」からなので、まだ朝ドラ歴は短い。

その中でもかなり好きだった物、途中で付いていけなくなって脱落した物などありますが、この前まで放送されていた「らんまん」は久しぶりにどっぷりとはまりました。


脚本がとにかく素晴らしい。
人物描写が丁寧で、1人1人のキャラクターが魅力的。登場人物がなぜそうしたか、なぜそう思ったか、という事がちゃんと説明されていて、視聴者を置いていく事なく物語が進んでいく感じがあった。かといって説明的な場面が過剰にある訳ではなく、余計な場面は少なかったし、振り返っても名シーンだらけのドラマだったなと思う。

主人公の万太郎と姉の綾がまだ幼少期の時に、暗がりで2人きりでお互いの事を話す場面があって、子役の2人の演技にぐっと心を掴まれたのを覚えている。大人数が出てくるところももちろんあるけど、物語全部を通じて2人きりで会話や対話をする場面が多かった。

万太郎と野田先生が初めて対面した場面で、ずっと野田先生を慕い続けてきた万太郎がその思いを野田先生に告げて、それを聞いた野田先生が感激して涙する場面は、今思い出しても感動的なシーンとして特に印象に残っている。

毎週1つの植物の名がタイトルとして付けられていて、それが最初から最後まで続いたんだけど、この「植物が常に真ん中あるいは傍らにあり続けた」というのも、簡単に出来そうでなかなか出来ない事だったと思う。タイトルを聞けばいくつかはその植物の色や形がどんなのかすぐ思い出せると共に、その週がどんな話だったかも思い出す事ができるし、それって実は凄い事だなと思うのです。今から思うと物語全体が、植物のタイトルと共にキレイにまとめられていて、植物図鑑のような構成になっていたのかなとか思ったりしています。

朝ドラは半年間平日毎日15分放送されるので、普通のドラマよりも放送時間のトータルが長い。だから、より重厚なドラマになる分、時々脱線するというか、例えば脇役の人達の話が中心になったり、番外編的な直接的に物語の本筋に大きく関わらない話が入ったりする事がある。でも、らんまんは最初から最後までずっと植物の物語で、万太郎の行動の先には必ず植物があり、それが故に、万太郎の言動が一切ブレなかったから、安心して見続ける事が出来た、と思う。唐突に心変わりしたり、目的が変わったり、という事は一切なく言葉や行動には必ず理由があって、しかも一貫性があるから、一切物語から置いていかれる事なく最初から最後まで楽しむ事が出来ました。

重要な場面などで流れるバイオリンの音楽がいつも素晴らしく、物語をより上質な物へと高めていたと思う。全体的に脚本やスタッフの方々が役者の方々をすごく信頼してるのがよくわかったし、過剰なセリフ、音楽、演出などは必要ないんだなって改めて感じた。

かと思えば、クールポコ、ジョイマン高木さん、なすびさん、アキラ100%さん、タイムマシーン3号関さんなどたくさんの芸人さん達が一瞬ではあるけど出て来たりして遊び心も感じられて、視聴者を楽しませるために色々考えてくれてるんだな、というのも伝わった。

俳優さんはみんな素晴らしくて、万太郎を演じた神木隆之介くんとおすえちゃんを演じた浜辺美波ちゃんはもちろんMVPだけど、それ以外で特によかった人を挙げるなら、竹雄を演じた志尊淳くんと田邊教授を演じた要潤さんだと思う。

竹雄は、特に物語の前半で万太郎を献身的に支え続けて、容姿の美しさだけでなくその熱意や実直さなどに心打たれ、何度も泣かされた。
万太郎とおすえちゃんの夫婦愛と共に、万太郎と竹雄の友情も大きな軸になってたし、竹雄を魅力的な人物にしたのは、志尊くんの演技力あっての事だと思う。

田邊教授は、一見すると万太郎の邪魔をする敵で本来ならもっと嫌な奴として嫌われてもおかしくなかったのに、田邊教授から溢れる気品とか、弱さとか、奥様への愛とか、そして最後には万太郎の実力を認める所とかも含めて、憎めない人物になっていて、物語に深みが増したのは間違いなく田邊教授の存在なくしては語れないと思う。そして、それを演じ切った要潤さんの大きな功績というか、要潤さんだからこそこんな魅力的なキャラクターになったと思う。

おすえちゃんは本当にかわいい。和装も洋装もすごく似合うし、特に目が綺麗で、女性でも思わず見惚れてしまうほどの美しさ。そして凛々しさと力強さもあり、万太郎を支えながら自分自身も母として妻として懸命に生きる姿に日々感動し元気をもらっていた。浜辺美波ちゃんが凄い女優さんだとよくわかったし、浜辺美波ちゃんがおすえちゃんで本当に良かったと思う。

万太郎は純粋で人懐っこくてかわいげもあり、信念が強く決してブレなかった。一歩間違うと単なるワガママで頑固者にもなりかねなかった万太郎がこれだけ魅力的な人物になったのは、神木隆之介くんが演じていたからで、神木くんが万太郎で本当に良かったなと思う。個人的には、万太郎が植物について話す時の「この子は」の言い方がすごく好きで、毎回愛情が感じられてあたたかい気持ちになってたな。

他にも綾、タキさん、分家三人衆、佑一郎くん、波多野くん、藤丸くん、徳永教授、大窪さん、野宮さん、十徳長屋の方々、大畑印刷所の方々などなど、挙げればキリがないほど素敵な登場人物ばかりで、万太郎が作中で繰り返していた「植物に優劣はない」と同じで、それぞれが決して優劣などなく1人1人が素晴らしい愛すべきキャラクターだったなと思う。

見ていない方で少しでも興味を持たれた方がいたらぜひ初回からじっくり見てほしい。見て絶対に損はしない作品だと自信を持っておすすめ出来ます。

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