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無感動な日々を終わらせたのは音楽だった

昨夜、心臓がバクバクして眠れなかった。BBHFというバンドの『だいすき』という曲が頭から離れず、それにまつわる思い出に頭が支配されてしまったからだ。私は音楽をよく聴く。だから、その時聴いていた音楽と起こった出来事とがよく結びついている。ふとAppleMusicをシャッフル再生したりすると、思い出したくない記憶を伴った音楽が流れ、うめき声をあげてしまうことがよくある。今回のケースは意図せず脳内再生されてしまったのだけれど。

なぜそんなつらい現象を引き起こしてしまうのに音楽を聴き続けるのか、私も良くわからない。しかし、かつて無感動な日々から救ってくれたのが音楽だったことは、多少なりとも関係があるかもしれない。


思えば高校3年生ごろまで、自発的に音楽に触れたことはなかったのではないだろうか。音楽のみならず、映画や小説など文化的なものにも、積極的に関わろうとはしていなかったと記憶している。流行りのランキングに入っているものは目を通したりすることはあったが、自分から探そうとはしたことがなかった。多分、純粋に時間がなかったのだと思う。往復2時間半かかる進学校に通い、土日祝日関係なく部活に励んでいた当時の私には、ゆっくりと音楽を聴く時間もなかったのだ。

しかし、部活を引退して暇になった2017年12月のある日、私は運命的な出会いを果たした。

学校から帰宅してテレビを流しながら勉強していると、メチャクチャかっこいい音楽が流れてきた。私は心をつかまれ、すぐに画面に目をやった。それは車のCMだった。初めて音楽に対して「もっと聴きたい」という欲求が生じた。表示されたアーティスト名をメモして急いでYouTubeで検索した。その曲のMVを見つけ、すぐに再生した。

一言でいうと、最高だった。

こんな高揚感を覚えたのは初めてだった。こんなにかっこいい音楽があるのかと驚いた。涙が出るほど感動した。これまで私が聴いてきた音楽は何だったのかとさえ思った。

ここまで読んでお気づきの方もいるかもしれないが、その曲とはSuchmosの『STAY TUNE』である。

この曲が、私と音楽との出会いだ。


それからというもの、Suchmosの曲を聴き漁る日々が続いた。ちょうどすぐ後に2nd Album『THE KIDS』が発売され、発売日に買いに行ったことを覚えている。初めて自分で買ったCDだった。

そして、絶対にライブに行きたいという気持ちがわきあがってきた。そのために関東の大学に受からなければと、ダラダラと中だるみしていた受験勉強に身が入るようになった。

自分の人生にハリが生まれた。自分の人生であるという手ごたえが初めて生まれた。もしSuchmosに出会っていなかったら、誇張抜きで私の人生は全く別のものになっていただろうと思う。


私の知らないところにたくさんの素晴らしい音楽があると知ってから、自分にとって良い音楽をよく探すようになった。どうやら私はシティポップといわれるようなジャンルの音楽が好きなようだということがわかり、一時期はそういった曲ばかりを聴いていた。AppleMusicの「chill」というプレイリストにはかなりお世話になった。

ちなみに今よく聴いているのは、CRCK/LCKSや長谷川白紙、SIRUP。そして冒頭に書いたBBHFもかなり好きだ。彼らが北海道出身ということもあってか、ひんやりとして清潔で森の空気のようなサウンドが良い。私も道産子なので親近感も少し感じる。


新型コロナウイルスの流行によって、ライブが中止になったり、いくつものライブハウスが閉店したりしている。とても悲しいことだ。私はライブが大好きだ。曲中に息をすることさえためらわれてしまうような緊張感や、演出と演者と曲が一体になることで「音楽の意味」が分かる瞬間は、何物にも代えがたい。こうして文字を打っていてもライブに行きたくてうずうずしてしまう。どうか一刻も早く状況が落ち着き、音楽やその他の文化的活動などが以前のように行えるようになってほしい。関わる全ての人が日常を取り戻せますように。


※写真はSuchmosがライブを行った日のハマスタです。この話もいつか書きたい。

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