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HRテック導入のメリットとは ー社労士が支援する意味

トレフォイル社会保険労務士事務所では、HRテック導入支援を主要サービスとしていますが、人事労務の仕事をデジタル化すること、またその際にクラウドサービスを導入するメリットを紹介します。

1. そもそもHRテックとは何か

HR テックの最新トレンドを発信しているウェブメディア「HR Techナビ」には、

HR Techとは、人事を意味する「HR:Human Resources」と、技術を意味する「Technology」を組み合わせた造語であり、Human Resources Technologyの略です。HR Techで用いられる技術は、クラウド、SNS、AI、ビッグデータ、モバイルなど多岐に渡ります。これらの技術を活用し、人と組織のパフォーマンスを最大化することの総称をHR Techと呼びます。

とあります。
また、日本でも労働力人口の減少や働き方の多様化などから、人材の確保と業務効率化を図るためにHRテックが注目されており、求人、採用、エンゲージメント、労務管理、サーベイ・分析ツール、アウトソーシングなど、人事労務分野全域でたくさんのサービスが展開されている、と紹介されています。
出典:HR Techナビ2019年8月23日「HR Techとは〜注目されている背景と市場の盛り上がり〜」

2. HRテック導入メリット

2-1. 経営者が楽になる→社員に向き合える

すでに多くの大企業では人事労務領域全般でHRテックを導入していると思いますが、中小企業や個人事業では従業員管理、勤怠や給与計算などの労務管理分野での導入がこれからというところもたくさんあります。
小規模事業者では人事労務管理を経営者自身がこなしている場合も多いのが実情です。人手不足もあいまってそのほかの仕事も一手に引き受けざるをえない経営者は、いつでも非常に忙しい状況にあります。
忙しい中では経営者は社員の様子に目を配ることができず、一方で社員はそんな経営者に業務のことはもちろん、休みや残業の相談を言い出しにくくなります。
このような状況で、HRテックを用いた労務管理の効率化は、細かな事務作業に追われる経営者を楽にし、社員に向き合う時間を作ります。そしてHRテックの画面がそのまま社員とのコミュニケーションツールの一つとして活用できるのです。

2-2. 社員がひとりの社会人として成長するー会社からのメッセージが伝わる

会社が手間をかけて毎月作成する給与明細ですが、その内容をしっかりと見ている社員はどれくらいいるでしょうか?手取りの額は分かっていても、なぜその額になっているのかを考えたことのある方は少ないのではないでしょうか。そういう私も社労士になる前は、給与明細をしっかりと見たことはありませんでした。例えば、残業代の計算方法は「割増になるんだな」という理解をしているくらい、健康保険や年金、雇用保険についても天引きされているらしいことは知っていても、計算方法や詳しい制度までは理解していない方がほとんどではないでしょうか。
でも、実際には給与明細には社員の人生にとって大切なことがたくさん詰まっています。
ひとつは、会社が支払う給料や休暇にはどんな意味があるかということ。会社が割増賃金や年次有給休暇などの法律を守っていることや、場合によっては法律以上のことをして働く環境をよくしようとしてくれる経営者の思いが給与明細には表れてきます。他にも社員のどんなことを評価しているかなど、経営者や会社のメッセージがそこに込められているといってもいいものです。
もうひとつは、日本の社会・国が労働者をどう支援してくれるのかとういこと。病気のとき、年老いたとき、失業したときなどに支援してくれる社会保障制度のこと、暮らしをよくする公的サービスのための税金のことなど、個人や会社では抱えきれないリスクに対してどう国が保障しているのかを社員が知る、考えるきっかけになるものです。
HRテックの導入を契機に従来の給与制度や休暇制度を整理し、法制度も含めて社員へ周知を行うプロセスを通して、社員の会社や社会制度への理解が深まります。
こうして社員の理解が深まって、経営者と同じように理解し、同じ言葉で話せるようになればなるほど、会社と社員が両方とも成熟した強い組織になることができます。

3. 人事労務の制度を「わからない」ままにするデメリット

こんな大事な給与明細ですが、はたらく人にとって手取りはとても気になるけれど、病気や失業でもしない限り、その他のことはあまり気にならないのが現実です。安心してはたらけている証拠とも言えますが、何かのきっかけではたらくことに不安や不満を覚えると「わからない」ことはさらに不安を招きます。
例えば、残業がいつもより多くて疲れている社員は、割増賃金がちゃんと払われているか急に気になって「計算が違うんじゃないか…」と勝手に疑ったり、体調が悪いなか出社した社員は「有給休暇ってあと何日あるのか」と心配になったりするものです。こうした不安な状況に「わからない」ことが重なると、どんどん不安になってしまいます。
また、給与や休暇などのルールは会社の歴史が長くなればなるほど複雑になりがちです。法改正に合わせて、会社の状況に合わせて、社員のためにとそのたびにルールが増えていくと、細かく複雑で社員全員が把握するのが難しい状況になってきます。特に、なんとなく慣習になっているけれどどこにも記載がないルールは、新しい社員や人事総務担当者は知らないままといったことになりかねません。
こういった状況では、ルール本来の意味が忘れられ、経営者がよかれと思って作ったルールもなぜそうなのかわからないルールになってしまいます。ルールの根底にある経営者の思いは社員に伝わらず、社員には「わからないルールがある」というマイナスのイメージだけが残ってしまいます。

4. HRテック導入がなぜ「わかる」ルール化のきっかけになるのか

HRテックの導入は、このようなもったいない状況を解消するよいきっかけになります。なぜなら、勤怠や給与計算ソフトを使う場合、ルールをシンプルにしなければかえって運用が難しくなるからです。ルールを整理し、クラウドサービスで管理がしやすい状況になれば、「わからない」ルールが「わかる」ルールに変わるのです。そしてわかることは社員の安心につながり、経営者にとっても社員にとっても、働きやすく、信頼関係の築きやすい職場になります。
もちろん、自動集計や計算機能などITの力で、一気に効率的な管理ができるようになるというデジタル化の一般的なメリットもあります。さらには法令をベースにシステムが作られているので、うまく使えば法令が守れること、セキュリティーが高いこと、クラウドシステムでどこでもいつでも労務管理ができること、新しいものを導入することで改革しているというメッセージを伝えられることなど、たくさんのメリットがあります。

5. HRテックを社労士が支援する意味

社労士は、労働法や会社のルール、労働・社会保険制度など「ひと」に関することを仕事にしています。HRテック導入と併せて経営者にも社員にもわかりやすいルールにすること、法令を守ること、経営者の思いをルールの理解を通して社員に伝えることなど、社労士だからこそお手伝いできる部分が多いと思っています。
HRテックを使ってみたい!と思った経営者の方は、無料トライアルから始めてみてはいかがでしょうか。勤怠や給与計算のクラウドサービスでは、すぐに始められる無料期間のあるサービスがほとんどです。UIがよく、丁寧に作られているので、ルールをきちんと反映できれば無理なく運用できるかもしれません。
もし、自社にあったサービスがわからない、ルールを一度見直したい、きちんとルールを反映できるか不安、社員の理解も深めたいなど、お手伝いが必要であれば、HRテック導入支援をしている社労士は全国にいますので、ご相談されるとスムーズです。