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貴様に、俺のメメントモリをぶち込んでやる【ペルソナ3Pプレイ後感想(ネタバレ有)】

もう何か書くなりして形にしないと次に進めない気がした。だから私はプレイ後感想&レビューを書くのだ。幾度となく、果てもなく。
まぁ好きな作品を摂取した悲鳴なんていくらあっても困らんやろ。

という訳でペルソナ3P、一周目をキタローこと男主人公でクリアしました。噂に違わぬとんでもないゲームで未だに根強いファンがいるのも納得というしかない傑作でした。

2022年一番熱中したと言っても良いゲームが、ペルソナ5Rでした。
何年も前から楽しみにしていたELDEN RINGがあったのに、毎作やり込んでいるモンハンも、スプラトゥーンも、ポケモンもあったというのに、一番のめり込んだのはXboxGamingで配信された時に「せっかくだからやってみるかー」程度のノリでメガテンもペルソナも全く知識がない状態でやり始めたペルソナ5Rだったのです。
マジで一時期はペルソナ5Rの事しか頭になかったですし外歩くときに他人の背中が見えれば刺々した丸いエフェクトが見えてイマジナリーモルガナがヤるか提案してくるくらいにはのめり込んでいました。こんなことになったのはSEKIRO以来です。
昨今そこまでのめり込んだゲームは本当に久しぶりだったので3Pと4Gが同じく配信されると知った時にはウキウキしながら配信を待ちました。

どこがそんなに刺さったのかといわれると分かりません。青春ジュヴナイルをそのままRPGに落とし込んだようなゲーム性は最高ですし息を吐くように哲学しだすのも最高ですしシリーズファンからすれば見慣れたものなのだろうペルソナのデザインも最高ですしキャラは揃いも揃って最高ですしストーリーも最高です。
ほんとお前良くこれまでの人生でペルソナもメガテンもハマってこなかったなというくらいには全て刺さったのでどこが良い! という言語化が難しいのですが、間違いなく私の人生で五指の指に入るくらいには全てが刺さったゲームでした。


1.賽の河原でタルタロス

そんなこんなで始めたP3Pですが、最初の印象は「うーん、まぁ10年以上前のゲームだしこんなもんかぁ」でした。

当たり前ですが、P3PリマスターはP3Pをほぼそのままぶっこんだ作品であり、後から調べて知ったのですが、現在のペルソナのあんなゲームシステムやこんなゲームシステムを生み出した始祖こそがこのペルソナ3であり、そりゃもう革新的が具現化したようなゲームなのですが、その分システムが粗削りというか粗いです。
そうでなくても10以上年前のゲームな上に携帯機への移植版なのでグラフィックも全体的に粗いというか淡いです。しばらくすればそんなこと微塵も感じなくなりますが序盤は(やべぇ、メインキャラとモブキャラの区別がつかねぇ)とか思ってました。

ストーリー自体は最初からかなりワクワクしましたしゲームシステムも何も知らなかったP5R初見の時とは比べ物にならないほど『理解』っているため正直戦闘面に関してはP5Rより楽しめた気がします。

何より圧倒的にオシャレ。自分がペルソナ5Rにぶっ刺さった要因の1つがUIやキャラクター、演出のオシャレさなのですが、その始祖なだけのことは会ってセンスが天元突破しています。死がテーマの作品とはいえ必殺技出すためのアクションが拳銃自殺って何喰ったらその発想に至れるんだよ。
あとペルソナのデザイン。5Rが初めて触れた作品なので5Rのコミカルなデザインのペルソナが自分にとっての当たり前だったのですが敵味方問わず不気味なはずなのに超カッコいいペルソナのデザインが素晴らしい。

多分P3が発売された時にそのままやってたらエアガンを通学カバンに忍ばせてたの思うので大人になってからこれに触れる事が出来て本当に良かったと思います。


ただしタルタロス、テメーがダメだ。

元々前評判で「タルタロスがキツイらしい」という事は知っていたのですがまぁキツかった。本当にキツかった。ただでさえ忙しい時に捻出したプレイ時間の9割がテクスチャ以外代り映えしないタルタロスをテクテク上り、5を知っていると何とも言えないテンポの戦闘に消えていくのは本当に苦行でした。4をまだやっていないので知らないのですが5の「瞬殺」システムを初めて体験したシリーズファンはあまりの快感に絶頂したのではないでしょうか。
各月の節目に戦闘するボス戦も(ノーマルだからというのありますが)タルタロスを登り切っていれば何という事はなく、P5Rから入っているため戦闘システムにも真新しさはないためのめり込んだかといわれると微妙です。せいぜい自信満々で散開させたメンバーがボコボコにされて「こいつぅ~ww」ってなったくらいでした。BGMは素晴らしく、かの有名なベイべべイベを初めて聞いたときはちょっと興奮しました。

こんな感じで、年月的に終盤に入り、10月とかにようやく物語が本格的に動き出しても、「ストーリーは普通に面白いけどP5Rってやっぱ良く出来ていたんだなぁ」というのがペルソナ3の感想でした。





12月までは


2.メメントモリが大渋滞


ペルソナ3のテーマは「人生と死」です。

人生とは、死とは。あまりにも普遍的なテーマですが、メインストーリーでもコミュでもペルソナ3はとにかくこの概念に寄り添いまくるストーリーがほとんどです。

P5Rをプレイしただけの自分でもわかるくらい隙あらば哲学を擦り出すペルソナですが、既存ユーザーが「4や5は大衆向けに寄せた」というのに頷くしかないほど、ペルソナ3の終盤では「何故生きるのか」そして「死」という概念に対して向き合い続けます。

にしたって12月からのアクセルの踏み方がおかしい。

12月の頭に告げられた世界の余命宣告、その頃にはすっかり愛着もある主人公と仲間達は、選択を迫られるまでの1ヶ月という猶予の中で高校生にとってはまるで別の世界の物事のような認識でしかない「死」と「人生」について考え続けます。
何故死ぬのが怖いのか、何故生きているのか、何故死という運命に抗う選択肢がそれでも頭から離れないのか。

ジュヴナイルもので唐突に1ヶ月かけて考え続けるテーマじゃねえんだよ。

それぞれがこれまでのストーリーで死別を経験してきた中、何故生きたいと思うのか、何故死ぬのが怖いのか、何故それでも抗うのかに答えを出しながら最終決戦へと収束していくストーリーは圧巻の一言です。
ペルソナ3はギスギスしているという前評判があったのでびくびくしていたのですがなんていう事はなく、キャラが普通の学生なので我慢の限界が来たら主人公にだって平気で当たるというだけで「はははこやつめ」で済みました。それはそれとしてラスダンでも痴話喧嘩始めるのはどうかと思うよ。

何故死が怖いのか。何故絶対の終わりに抗うのか。それは何も出来ずに終わることが嫌だから。
どう考えても小学生がたどり着いていい結論じゃねえ。

とにかくこの12月からのストーリーの加速具合が本当に凄まじく、それに伴い加速度的に積み上がる主人公の死亡フラグから目を反らしながら駆け抜けた終盤のストーリーだけで「ああ、このゲームやって本当に良かったな」と心の底から思いました。

途中からタルタロスがあまりにもダルすぎて「積んで4からやろうかな……」と迷いながらも「ここで中途半端に積むのは絶対に嫌だ」と半ば意地で無い時間をひねり出して走り切った自分には国民栄誉賞あげます。


3.そしてやっぱり、メメントモリ

そして、リアルに1時間かかった激熱なラスボス戦を終え、エンディングへ。

何事も無かったかのように過ぎる、何かが足りない日常。
春の陽気の中、約束の日、約束の場所に一足先にたどり着く主人公とアイギス。様子のおかしい主人公に対して、この作品の総括を始めるアイギス。

私、ようやく分かりました。必ずやってくる終わり、それが自分にも来るってことに向き合えた人だけが、きっと見つけられるんです。生きる証が、なんなのかってことに

アイギス

約束の日に全てを思い出し、集まる仲間たちの声を聞きながら、ゆっくりと目を閉じる主人公。そして流れるキミの記憶。


まぁ耐えられなかったよね。ここまで自我が薄いというかプレイヤーが感情移入する対象だったはずのキタローが、言葉が無くても確かに満たされたんだろうなと分かる爽やかなエンディング。
死を想い続けた作品の総括を元々死という概念がなかったアイギスに語らせるというのも刺さりました。

悲しいし切ないしその日3時間しか寝れないくらいには胸が苦しかったです。出会って50時間のゲームの主人公にこんな感情抱かされるとは本当に思わなんだ。もっとキタローの日常が見たかったしもっと幸せになって欲しかったし、キタローの人生はこれからだろって思うけど多分そういう事じゃないんだろうなとも思う、そんなエンディングでした。

好きなキャラとか好きなセリフとか場面とかいくらでも書けますがそれやりだすと本気で終わらないのでこの辺で。

今なお約束の日にプレイヤーが集まるのも納得な「死を想い続ける異色作にして傑作」。そんなペルソナ3でした。



間髪入れずに4やろうと思ってたけど多分一週間くらいは無理ですねこれは。動けねぇ。



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