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いたずらに新年豊富を口にして。

 去年の話をしよう。2023年の年始、私はお初の著者を20人読む、という目標を立てた。
 どこにも根拠のない数字。適当に決めた。
 それが。
 15人で大晦日を迎えてしまった。あと少し頑張れば達成できたのかもしれない。
 図書館を利用しているので、予約した本はいつ回ってくるかわからない。登録したマイページで大体の順番はわかるけれど、あと何人で回って来るかという数字が書かれているだけで、目当ての書籍が何冊で回っているのかは、調べないとわからないし、誰かとんでもなく延滞していたらあと一人と記されていても、ずいぶんと時間がかかったりする。
 逆に、まだまだと思っても人気作家の場合は、10冊くらい仕入れて(商売じゃないから購入という表現の方がふさわしいかも)いたら、案外とすぐに順番が回ってきてしまうわけで。
 それと目標が何の関係があるのかと言うと・・・。がむしゃらに、お初を読もうとしていたけれど、その前の年から予約していた既読の作家の順番が回ってきたら、優先して読まなければいけないからだ。
 その前の年から、ということはかなりの予約数が入っているわけで、また新たに予約をすると再び待たされること必至。
 そういうジレンマを抱えながらの一年間だった。

 それで。
 今年も同じ豊富を掲げ、人数も同じく20人とした。でも、大好きな「沢木耕太郎」、「井上荒野」、「寺地はるな」の新刊が出たら何はさておき読みたいので、少し頑張りつつも20人くらいがちょうど良いのではと思っている。

 昨年末、次から次へと予約の順番が回ってきて、中断している一冊がある。それが、これ。


文庫サイズで上下巻の大長編

 ある日図書館に行った時、新購入の棚にあって、読み始めた。つまり、予約せずに借りられた。予約本ではできない貸出期間延長のシステムも利用して、じっくり読んでいたのだけれど、押しよせる予約本を優先していたら(それにしても、なぜ一気に順番が回ってくるタイミングがあるのだろう。来ない時は、延々と待っていたりするのに。複数のお友達も言っていたから、その経験は私だけではないと思われる)、年を越してしまった。
 
 いやいや、年は取るべき、と思った。
 「アンクル・トムの小屋」を初めて読んだのは、小学5年生の頃。しかも、子ども向けのダイジェスト版。ただただラストシーンが悲しかったことだけを覚えていて、再読したいなと思いつつ、なんと何十年もの月日が流れていった。
 途中絶版ぽくなっていた時もあったような気がする。だから、新装されて図書館の棚に並んでいた時は嬉しかった。
 アメリカの奴隷制度、その時に白人が思っていたこと、黒人の気持ち、アメリカと言っても北部と南部では大きな違いがあること。そういうことが、今なら歴史を勉強したり映画を観たりといった蓄積があるので、すっと頭に入ってくる。
 これが、中途半端な年齢、例えば10代後半だったら理解できない箇所が多々あったと思う。
 何より。
 異常とも言うべき、聖書からの引用の多さ。登場人物が何かの例えで引用したり、地の文でもしょっちゅう出てくる。それは、ページの最後に脚注が載っていて、出典が説明されているのですぐにわかる。
 私は8年ほど前に洗礼を受けているので、それらの引用もまったく違和感なく読み進めることができている。日頃聖書に触れているので、何のことを言っているのかは、大体わかるから。
 でも、もしもっと前にこの本を手に取っていたら、
「どうしてこんなに引用が多いのかな?」
 と思ったに違いない。
 また、アンクル・トムがそれほどまでに神様を信じているという気持ちそのものも理解できなかったはず。だから、年を取って良かったな、と思うのだ。

 とりあえず、下巻の未読ページから始めよう。
 はて。
 ハリエット・ピーチャー・ストウを「お初作家」にエントリーさせて良いものか? 小学生の時に読んだのは「ストウ夫人」という表記だった。それに、思いきりストーリーをはしょっていた。
 そういうことを考慮して、今年一人目の「お初作家」に入れることにしよう。

 そうして、今年は軽々と20人達成できますように。

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