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キースと幸せの鳩さんオーナメント

偶にはハンドメイド作家として、ハンドメイドのことについて綴ろうかと思い、書き始めました。とはいえ、ちょっとハンドメイドから脱線していますが(笑)

最近のTRAVISのぬいぐるみは鳩のオーナメントが人気で、「羽が素敵」や「幸せを運んでくれそう」と言って頂けて、私も鳥や鳩が大好きなのでとても嬉しく思っています。

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実はこの鳩のオーナメントができるきっかけになったのは、今年の3月にあったとある別れでした。

我が家の庭はもみの木やイチイの木、オリーブや月桂樹、巨大な蘇鉄といった大きめの木々が密集しています。
私の住んでいる地域では大きめの樹木を植えるお家が多く、気に入った木に野鳥が住み着いたり、遊びに来ることが頻繁にあり、オナガやキツツキ、フクロウ、ウグイス、そしてどなたかのペットだったのだろう赤と青のオウムの番いも飛んできたりするのです。
丁度、1年とちょっとぐらい前から、家のもみの木に普通よりも大きい雄の鳩が止まるようになりました。
毎日毎日、そこの木に止まっては一頻りに鳴いて、そばにある巣で体を休める大きな鳩に、私達家族は「キース」という名前をつけて、来るのを楽しみにしていました。
野生ですので触れることも可愛がることもできませんが、話しかけると逃げもせずに首を傾げるようにしてこちらをジッと見ている姿が印象的な、とても利口な子でした。

特に家族ぐるみの付き合いがあるイギリス人の親友は鳥が大好きで、キースに会いたくて庭に出てはいつも話しかけたり、こっそり写真を撮ったりと、キースの愛らしい表情に連日目を細めていたのです。

しかしある時、キースがパタッと我が家に来なくなり、どうしたのだろうかと思っていた矢先に土砂降りの雨に。2日ほど庭に出られずキースの状況を確認できずじまいでした。
そして3日目の晴れた日、キースと会えたらと掃除がてらに庭に出ると、私は思わず声を上げてしまったのでした。
何も植わっていない大きなハートの植木鉢の中にキースがいたのです。
頭には動物に襲われた噛み傷があったのですが、安らかに目を瞑って綺麗な体のまま既に虹の橋を渡っていました。
慌てて母と親友を呼び外に出て確認してもらったところ、やはり間違いなくキース。

「keith, How did this happen…(キース、どうしてこんなことに)」
掠れた声で親友が発した言葉を、私は今でもはっきりと思い出します。


我が家に幸せを運んでくれていたキースが、日本のおうちのどこかに幸せを届けるために旅に出たのだ、という私の想い、願いから、『幸せを運ぶ鳩のオーナメント』は生まれました。

私の中での鳥のイメージは、何か神聖で厳格なものと結びついていて、尊い存在として浮かぶのです。
日本では八咫烏や八幡宮の使いである鳩がいますし、ヨーロッパでも鳩は幸福や平和の象徴に例えられ、アメリカにとっての白頭鷲は国家のシンボルとなっている厳格なものです。

キースのことを切っ掛けに、私は鳥という存在を改めて深く観察するようになりました。
それは、鳥たちの生活を知るためのバードウォッチングとして。
そして、美しい翼を持った幸福の使者として。



2021年8月17日
雨の日の、朝の紅茶時間にてシジュウカラの鳴き声を聴きながら・・・


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