世界中にすてきなストーリーを創りたい!あなたの「したい」が叶うサービスの誕生秘話
「海外で叶えたいコト」を、言葉や手段などの関係であきらめたことはありませんか?株式会社トラベロコは、海外で「実現したいコト」がある日本人と、それを叶えるスキルがある現地の日本人(ロコ)をマッチングするプラットフォーム「ロコタビ」を運営しています。代表の椎谷豊がサービス誕生までの歩みと実現したい未来を語ります。
新しい、インターネットの“日本人街”を創る
海外で「●●したい」「●●を知りたい!」でも、現地に友達も知り合いもいないし……と思ったことありませんか?
私たちが提供しているサービス「ロコタビ」は、ユーザーができると思っていなかったことを、現地在住日本人(ロコ)の力を借りて実現するというもの。
2020年2月現在、世界173カ国2440都市在住の日本人ロコが5万人以上、ロコの力を借りたい累計会員約19万人以上が登録する、日本人のための海外タウン・コンシェルジュサービスです。
今回、ロコタビがなぜ生まれたのか、そして何を目指すのかについて、私なりの言葉でお伝えします。
弊社のビジョンは「日本人がもっと世界と気軽につながって、本当に自分の『したい』ことが手軽にできるようになることで、今よりも世界が身近に感じられる世の中を創る」こと。
それを実現した世界が「インターネットの日本人街」だと私は考えています。
世界に存在する中華街や日本人街などは、「外国人街」と呼ばれ、特定のエリアにおいて外国人が多く暮らす地域を指します。
外国人街の役割は、大きく分けて2つ。
1つ目は、「セーフティネット」。なぜなら、外国人街には同胞の人的、経済的なつながりがあるためです。
2つ目は、「ゲートウェイ」としての役割。海外に出た際、現地に順応するきっかけとして外国人街が機能しているのです。まず、現地に住んでいる人のスキルに触れ、彼らの持っている能力やつながりを利用することで、現地により深く入っていくことができます。つまり、外国人街は、世界へ羽ばたくきっかけとなりうるのです。
私たちが創りたいもの、それが現地の日本人街の人たちが私たちをサポートしてくれる「インターネットの日本人街=ロコタビ」です。
海外在住日本人が活躍する場を創りたい
▲海外旅行情報サイトの運営に関わっていた時期の、香港出張でのひとコマ
私は、前職で海外旅行情報サイトの運営に7年ほど関わっていました。現地の日本人ライターが、実際に現場で取材をしたリアルな旅行情報を日本語で発信する「『地球の歩き方』のネット版」のようなWEBメディアです。
そこでは、新規サイトの立ち上げから、編集、運営、事業企画まで、全体のディレクションを主に行なっていました。
入社当初はソウル、釜山、台北の3都市だったサイトが、最終的には、バンコク、パリ、ロンドン、ニューヨークなど世界15都市15サイトにまで拡大。そのエリアに行く日本人にとって多くの価値ある現地情報を日本語で提供し、特にリピーター旅行者からは、唯一無二のWEBメディアという声もいただきました。
しかし、サイトを運営していく中で、読者には価値を提供できていても、現地ライター(現地在住日本人)側で抱える「ある問題」が長い間個人的なジレンマとなっていました。
それは、取材してきたものを「文章」にするのが苦手な人は、ライターとして生き残れない、という現実でした。
彼らは現場まで行き、話を聞き、写真を撮るところまではできるんですが、文章を書くことが苦手なため、情報を発信することができず、仕事にならないのです。
しかし、沢山の海外在住日本人の方と接する中で、彼らは現地での多くの経験や様々なスキルなど人それぞれ独自の能力を持っているということを知りました。
たとえば、パリ在住の犬好き、カメラが趣味で街歩きが日課の主婦。ベトナム在住歴15年で会社を経営し、現地人の奥さんと子どもがふたりいる男性。日本で建築系の仕事をした後、スペインに移住し、フラメンコダンサーとして活動する女性など。
そんな時、インターネットなどのプラットフォーム上で提供者が所有する空間や時間、スキルなどを利用者が共有する「シェアリングエコノミー」という仕組みが海外で流行っているということを知りました。
この仕組みで、もしかすると海外在住日本人の方の持っている能力を活かして、彼らが活躍できる場を創れるのではという漠然としたアイデアがこの時生まれたんです。
「何をどうつくれば良いのか?」 世界中調べても答えが見つからなかった
▲2013年にデザイナーにつくってもらった、ロコタビ(旧トラベロコ)の世界観を表現する手描きイラスト
私が事業のアイデアを発案した2012年当時、日本ではシェアリングエコノミーという概念さえ知っている人はほぼいない状況で、具体的にどうすればそれを実現できるのか見当もつきませんでした。
そんな時、国内外の様々なサービスや事例を調べる中で、海外では個人が自分の部屋を貸し借りする「Airbnb」というサービスが爆発的に普及し、様々な派生サービス(〇〇なAirbnbなど)が誕生していることを知ったんです。その中でも、個人がツアーを企画し案内するサービスが立ち上がり注目を集めていました。
当初は、こうした、海外のシェアリングサービスを日本に持って来ることを考えましたが、調べれば調べるほど、自分が実現したい「海外在住日本人が活躍する場を創るコト」にはつながらないのではという思いが強くなりました。
それらは、ほぼすべて提供ホスト側が持っているもの。できることをベースに商材を掲載し、その中から利用ユーザーが選ぶといったサービスで、もともとホテルや旅行会社などが提供している既存サービスを個人で直接やるか、どこにもない、誰も欲しがらないようなニッチ商品・サービスを提供するといったものでした。
しかし、それでは既にある商品やサービスと比べて、ユーザーが求める能力とクオリティを提供ホストが持っていないと自分を選んでもらえません。
それでは「特別な能力」を持っている人しか仕事にならないという、今抱えている問題を解決する手段としては最適ではありませんでした。
ただ、具体的なものをつくってみないと先に進まないということで、2013年のGW前にα版サイトを公開しました。当時は、今の原型になるロコタビの世界観はイメージできていましたが、まだそれを具現化する方法が分からず、とりあえず世界3都市で現地ホストがツアー商品を掲載するAirbnbのツアー版を開始しました。
案の定、ユーザーから選んでもらえず、現地在住者が持っている「様々な能力」を活かしきれていない現実にぶつかりましたが、色々なフィードバックや気づきを得て、少しずつ改良をかさねていきました。
その中でも重要な気づきのひとつが、在住者の「できるコト」「やりたいコト」が必ずしもユーザーの求めていることではないという当たり前のことでした。何か特定のスキルが必要なのではなく、在住者それぞれが持っている現地の経験や人脈、スキルなど「総合的な能力」を使うことが、ユーザーが抱える海外での課題を解決し、目的を実現することにつながり、それがサービスとして成立するということがわかりました。
2014年1月、ついに現在のベースになるβ版サイトを公開。結果、当初のα版サイトとは真逆の方向性と形に落ち着きました。
それは、提供側が用意した商品やサービスを選ぶのではなく、利用者側が望む「したい」ことから、それが実現できそうな「能力」を持った提供者を見つけて、相談をしていく中でオリジナルのサービスがつくられていくというもの。
どのようなサービスなのか、私自身に置き換えてお伝えしたいと思います。
私自身、元々インテリア業界の出身で、以前は家具やインテリアを販売する仕事をしていました。
そのため、少なからずインテリアに興味があり、将来「北欧家具」の本場スウェーデンのストックホルムで、インテリアショップ巡りをしたいという夢を持っています。
そんな私が、ロコタビを通してストックホルム在住の日本人(ロコ)を探すと、家具職人の見習いとして現地に住んでいるロコを見つけました。彼であれば、同じ業界人として私の望みも理解し、行きたいお店のことも詳しく知っているはずです。
私のやりたいことを相談すると、彼は快諾してくれました。
当日、彼と現地で落ち合って、雑誌に載っていた憧れのインテリアショップに行くことができました。店員さんとの会話もスムーズに間に入って訳してくれたおかげで、色々な話を聞くことができ、大満足です。
そして、最後に待っていたのは、当初私が想像していなかった展開。なんと、彼の勤めている家具工房に連れて行ってくれ、北欧家具がつくられる実際の工程を見せてくれるというサプライズ!でした。
世界で「したい」を叶えたストーリーがたくさん生まれるといいな
▲エッフェル塔を背景にウェディング写真を撮る夢を叶えたユーザー
自分の理想に近い形のサービスができましたが、今だにロコタビのサービスを「理解されにくい」というのが悩みです。
ロコタビのキャッチコピーは“世界とつながって、あなたの「したい」が叶う”です。
毎年海外に行く日本人は1700万人ほどいますが、明確な目的や課題など「したいコト」を持って行く人がどれだけいるのでしょうか。
既にあるニーズとしては「〇〇エリアに行って何か楽しいコトをしたい」というのが多いんです。それを埋めるために既存サービスは様々な「やるコト」を提案します。一方で、ロコタビは「やるコト」を提供するのではなく、ユーザーの「したいコト」を叶えるサービスです。
そのため、「したいコト」がない人はロコタビに来ても理解ができません。しかし、本当に「したいコト」がないのでしょうか?
できないと思い込んでいるだけで、本当は誰しもひとつは「したいコト」があるのではないでしょうか?
たとえば、雑誌に載っていた現地の憧れのお店を巡ってみたり、地元で一番のレストランに予約を入れて食事を楽しんでみたいといった願望があるのではと思います。
今後、ロコタビを通して、多くの日本人が「したい」を叶え、すてきなストーリーがたくさん生まれることを望んでいます。
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