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料理の基本

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基本的な料理を丁寧に解説します
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2017年12月の記事一覧

白味噌のお雑煮

お正月用の雑煮。お雑煮は各土地、各家庭ごとにそれぞれの味があるので紹介するほどのものではないですが、白味噌の雑煮のレシピです。この時期は野菜でも肉でもなんでも高いですが、白味噌仕立てなら少ない材料で手軽かなぁ、と。 白味噌のお雑煮(4人前)  水   400cc  昆布   5g  白味噌  150g  餅    4個  溶き辛子 適量  鰹節   適量 スーパーストイックな雑煮椀です。 白味噌の雑煮は精進仕立てにすることが多く、出汁は昆布だけでとります。昆布出汁と白味

おせち料理、これだけあれば大丈夫+おまけ

お正月のおせちは買ってくるという時代になって久しいですが、たまには自分でつくってみるのもいいもの。とはいえすべてを自作するのは大変です。 そこで提案するソリューションは基本の祝い肴三種とお雑煮だけはご自分で用意して、あとは買ってくる、という形。今から作ってもお正月に間に合います。 基本の祝い肴三種とは関東では「田作り」「数の子」「黒豆」で、関西では「田作り」「叩きゴボウ」「黒豆」を指します。今日は関東用で「田作り」「数の子」「黒豆」をつくります。昔のレシピとは違い、数の子

辛味調味料「かんずり」を使いこなす

今日は僕のお気に入りの調味料、かんずりの紹介。 写真は新潟県内などで入手できる『生かんずり』風味が一味違います。 かんずりは新潟県妙高市の特産品で塩漬けにした唐辛子を雪に晒し、辛味を抜いた後、粉砕し、麹、柚子などを混ぜあわせ熟成発酵させたもの。 味のポイントは雪晒しといって、塩漬けにした唐辛子を雪に晒すことで辛味が抜け、まろやかになる、と言います。これって多分(ここから先は推測になってしまいますが)昼夜の温度差で凍結と解凍を繰り返しているわけですよね。緩慢凍結によって細

ほうれん草のお浸し考

ほうれん草のお浸しは定番のおかず。お浸しといっても二通りのアプローチがあり、一つは茹でたほうれん草を水にとって絞り、醤油をちろりと足らして、鰹節などをかけて食べる家庭料理スタイル。もう一つは同じように茹でてから水に晒した後、浸け地のなかで味を含ませる(名前の通りお浸しにする)料理屋スタイルです。前者は手軽で野菜の持ち味が活きた仕上がりに、後者は野菜の味は多少、抜けますが作り置きができる、というメリットがあります。どちらがいいかはケースバイケースですが、今日は後者のお浸しをつく

サーモンのポシェ

ポシェはフランス語で、英語のポーチ(茹でる)の意味。日本語で茹でるという言葉は「熱湯に入れて煮る。うでる。」という一つの表現しかありませんが、英語やフランス語で茹でる表現は様々。例えば英語では Blanch ブランチ 短時間でさっと茹でる Boil ボイル 100度でぐつぐつ煮る Poach ポーチ 低い温度で茹でる という具合です。(ポーチドエッグとボイルドエッグ(ゆで卵)の違いを想像してもらうとわかりやすいか、と思います) 今日は分子料理学の権威、エルヴェ・ティス教

ブリ大根の作り方

ブリ大根は北陸、富山の郷土料理。冬の時期に漁師が身体を温めたという逸話とともに語られることの多いですが、おいしくつくるコツはやはり素材の選択。そして、調味料による味の浸透の違いに注意することです。 ブリ大根  ブリのあら 300g  大根    800g  生姜     20g 煮汁  日本酒   200cc  水     800cc  上白糖    50g(大さじ5強)  みりん    50cc  醤油    40cc+40cc     ブリのアラを1パッ

パクチーのサラダ

世間のパクチーブームはいつ終わってくれるのか・・・・・・と思っていたのですが、なんだか定着した感がありますね。パクチー=香菜=コリアンダーは好きな人はとても好き、という食材。カレーや甲殻類、白身魚、貝類、白い肉(鶏肉や豚肉)などの食材との相性がいいハーブです。今日はパクチーのサラダのレシピ。 パクチーのサラダ(2人前)  香菜(コリアンダー)  2束  たまねぎ        半分(+塩、二つまみ)  にんにく        1片 ドレッシング  ナンプラー    

里芋の炊き方

『炊く』という仕事は日本料理の基本。水分で加熱していくことで米を炊くのも炊く仕事です。素材に火を通す「下炊き」、味をつけていく「煮含め」、下炊きをせずに直接煮ていく『直炊き」などがあります。 里芋は家庭では煮っ転がし(煮付け)にすることが多いですが、今日はお出汁で炊いていこうと思います。煮っ転がしが日常=ケの料理だとすれば、炊いたお芋は非日常=ハレの日の料理。祝い事の時は芋の大きさを揃えますが、今回はバラバラの大きさのまま炊いていきます。(もったいないので)この作り方をすれ

基本のペペロンチーノの作り方

アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ(にんにくと唐辛子のパスタ)はオイル系パスタソースの基本。パスタ料理をマスターするには避けて通れない料理です。 こだわる人が多い料理でもあり、新書一冊分を解説に費やした『男のパスタ道』(土屋敦著) という本も出ているほど。 いつものようにレシピの分析からはじめましょう。ペペロンチーノの主要な材料は『パスタ』『オリーブオイル』『にんにく』の3種類。(唐辛子はどのレシピでも少量で影響は少ないので除外します)パスタに味を付ける茹で汁の塩分濃度に

完璧なゆで卵の作り方

完璧なゆで卵をつくるにはまず、卵黄と卵白の凝固温度を復習する必要があります。白身は63度から固化しはじめ、70度で黄身が固化します。つまり、63度以上70度以下の温度につけておけば温泉卵ができるというわけで、とろとろの半熟が好みなら70度以下の加熱にとどめ、やや固いのが好みなら中心部の温度を80度に近づけるようにすればいい、というわけ。 しかし、ゆで卵が難しいのは白身と黄身という二つの異なる凝固温度の物質を一度に求める温度まで加熱しなければいけないからです。正直、料理のなか

イチゴの洗い方と砂糖の力『イチゴのスープ』

店頭にイチゴが出回りはじめました。 この時期に出回るイチゴはクリスマスとお正月の需要にあわせるためにハウスで栽培されたもの。ハウス栽培は七月頃に発芽させた苗をまず冷蔵環境下に置きます。これでイチゴに「今は冬だ」と勘違いさせ、次に温かいハウスに移し「春が来た」と成長を促します。さらに照明で日照時間をコントロールし、イチゴを成長させるのです。この栽培技術が確立したことで、冬にいちごが出回るようになりました。 しかし、本当のイチゴの旬は春。3月から5月にかけて出回るいちごは露地

ホワイトソースの作り方、いろいろ

洋食の基本、ホワイトソースは白いルーを牛乳で伸ばしたものです。ホワイトソースにチーズを入れればモルネーソースに、マスタードを加えればマスタードソースという具合に応用の幅も広いソースです。作り方を復習しましょう。 ホワイトソース(できあがり300cc)  バター 30g  小麦粉 30g  牛乳 300cc  塩 小さじ四分の1(1.2g) ホワイトソースの基本はバター1:小麦粉1:牛乳10が基本。牛乳が500ccならバターと小麦粉は50g、牛乳が1Lならバタ

オックステールの赤ワイン煮込み

『オックステールの赤ワイン煮込み』はフランス料理の名品のひとつ。調理法としては『ブレゼ』=蒸し煮に分類されます。 ブレゼは「国王のシェフかつシェフの帝王」と呼ばれたアントナム・カレームが愛した調理法。時間はかかりますが、固くて焼いただけでは食べずらい部位の肉から最高の味を引き出すことができます。 今回はシンプルな仕立てにしていますが、カレームが愛したブレゼはまさに王様のための料理。その理由は材料を二倍使うからです。二倍とはどういうことかと言うと、「肉から抽出されたブイヨン」

料理道具コラム 『包丁』

料理をする時に必要な道具の話。 台所に必要な包丁は最低2本、三徳包丁とペティナイフと広く言われている。ただ、市販されている三徳包丁の多くは刃渡が短く、肉や魚を切る際に不便なので、小ぶりな牛刀か筋引きが個人的には便利だと思う。 下はペティナイフで、上の三徳包丁は土井勝考案(東亜金属製)のもの。一般的に売られている三徳包丁よりも刀身が長く、形状としては筋引きに近い。刺身も引ければ肉も切れる万能包丁。考案されたのはかなり昔のようだが、家庭では最適なデザインではないだろうか。入手