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料理好きのための21世紀料理教室

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低温調理、エスプーマをはじめアルギン酸のカプセルなどの分子料理のテクニックを解説していきます
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#野菜料理

謎野菜シリーズ『ヤーコンのソテー』

謎野菜シリーズですが、今回は知っている人も多い『ヤーコン』を取り上げます。『ヤーコンなんて道の駅でよく見かけるよ』という人もヤーコンの特徴や性質については意外と謎では。 ヤーコンはキク科の野菜。日本に入ってきたのは1985年と意外と最近です。茨城大学農学部や四国農業試験場(現在 農研機構近畿中国四国農業研究センター)が中心となり、品種改良や栽培特性の研究がされています。 ヤーコンが一般流通で広く出回らないのはあたらしい野菜は消費者が手に取りたがらない、という理由もあります

マイクロトマトのグラッセ

マイクロトマトを買ってきました。 マイクロトマトはあたらしい品種で、主な産地は愛知県。1cmほどのミニトマトよりもさらに小さいのが特徴。最近、レストランなどではトッピングとして使われています。やや割高のため、家庭菜園で育てるのもアリです。 こんなに小さくてもちゃんとトマトです。味も濃いですし、プチッと口の中で弾ける感覚が面白いです。飾りとして使われることも多いですが、ある程度の量を口に入れたほうが印象には残ると思い、料理に仕立てました。 マイクロトマト60gを準備。これ

ミニトマトとブドウは親しい関係?

ブドウがおいしい季節です。 最近はシャインマスカットが人気ですが、スーパーに行くと安価なアメリカ産ぶどうもよく見かけます。カリフォルニアぶどう協会によると「ほとんどの料理でトマトの代用としてブドウを使うことができる」とのこと。本当か、たしかめるべく、トマトとモッツァレラチーズのサラダならぬ、ブドウとモッツァレラチーズのサラダをつくります。 ぶどう 1/3パック分 モッツァレラチーズ 1個 ローズマリー  半枝 塩       適量 オリーブオイル 適量 エディブルフラワー

ごうしゅいも(源平いも)の塩煮

日本で食べられている野菜は大きく「F1種」と「在来種」の2つ。F1はFilial 1 hybridの略で、異なる品種を交配するとその一世代は形質が安定する(小学校で習うメンデルの優性(顕性)の法則を思い出してください)性質を利用したもの。F1種は品質や収穫時期を揃えたり、病気への耐性がある品種を交雑させることもできるので、一気に普及しました。 一方の「在来種」(固定種とも言います)は地域で育てられてきた作物。こちらは地域で何世代も受け継がれていくなかで、人間にとって都合のい

ネクタリンとスナップえんどうのサラダ

ネクタリンとスナップえんどうを使ったサラダです。その前にリクエストがあったフレンチドレッシングのレシピをご紹介します。これ、僕が研修していたお店で常備していたドレッシングで、ここにアンチョビやパセリのみじん切りなどを加えて変化をつけていました。お店使用のレシピのため分量は多め。あくまで参考として受け止めてください。 白ワイン 50cc→煮詰めて20cc 白ワインビネガー 20cc 塩        10g 玉ねぎのみじん切り 20g サラダ油     160cc 基本のド

紫色のジャガイモ〈シャドークイーン〉とはちみつとビネガー風味のサバイヨン

タイトルからしてカタカナが一杯で「うんざり」という方もいるかもしれませんが、今日はジャガイモ料理。とびきり美しい紫色のジャガイモを頂きました。 シャドークイーンという紫肉品種「キタムラサキ」の開放受粉種子より選抜された物を育成された品種のジャガイモ。アントシアニンが豊富で、チップス、フライにも向いています。 ジャガイモを短時間で調理するには電子レンジが一番。電子レンジにジャガイモをかけるとよくラップをかけたり、水で濡らしたキッチンペーパーで巻いたりしますが、一度丸ごとレン

ニンジンのサラダ 味の違いは塩を振るタイミングにあり

パリにある三つ星レストラン「アルページュ」は野菜料理で有名。シェフのアラン・ パッサールさんは火入れの的確さで名が知られたシェフでしたが、狂牛病騒動などをきっかけに野菜料理の探求にのりだし、現在も三ツ星を維持しています。 数年前にアラン・パッサールさんが「le point」というサイトで野菜料理の連載をしていたのですが、その一つで『ニンジンのサラダ』を紹介していました。その作り方がちょっとおもしろかったのでご紹介します。 ニンジンのサラダ=キャロット・ラペはフランスのビス

新玉ねぎのロースト

新玉ねぎの季節です。ただ丸焼きにするだけでも美味しいのですが、一手間を加えてごちそうにします。 これ『新しい料理の教科書』掲載した料理なのですが、noteに載せてなかったことに最近気づきました。遅れましたがようやく掲載します。本に載せたのは簡略化させたバージョンですが、こちらはバニラバターを塗るなどやや手が込んでいます。こんなのできないという方は本を参考にしてください(笑) 新玉ねぎです。この頃の玉ねぎは本当に美味しくなったと思います。玉ねぎってすごく面白い植物で、エネル

マスタード入りのタプナードソース(黒オリーブのペースト)

以前、タプナードをご紹介しましたが、あちらはパンに塗っても食べられるようなソースでした。今回は僕がよく使うマスタード入りのタプナードソースのレシピです。あいかわらず家の料理ではまったく参考にならないかもしれませんが、こんな料理もあるんだな、くらいの気持ちで読んでください。 マスタード入りのタプナードソース 黒オリーブ 150g(種抜き) ケッパー  15g 粒マスタード 20g アンチョビ  3枚 オリーブオイル 150cc バルサミコ酢 20g 材料はやや複雑ですが、基

ほうれん草とヘーゼルナッツのプラリネ

冬に甘みが増すほうれん草。というか、この時期以外のほうれん草を無理に食べる必要はないのかも、よいう感じ。冬以外の時期にほうれん草を食べるなら冷凍品の方がおいしいくらいです。 今日はほうれん草をバターソテーし、ヘーゼルナッツのプラリネを添えます。オリジナルはアラン・パッサールのレシピ。まずはほうれん草の下処理から。 ほうれん草は葉を軸から外します。この時、葉脈を持って引っ張るようにすると硬いスジがとれます。ソテーには葉だけを使い、軸は別の料理に使います。 たっぷりの水で洗

アンディーブのパイ

先週の冷凍パイシートの話の続きで、アンディーブを使ったパイをご紹介します。元ネタはalain passardのレシピ。 アンディーブのパイ (二皿分) アンディーブ 1本 冷凍パイシート 1枚 バター    適量 グラニュー糖 適量 フルール・ド・セル 適量 アンディーブです。和名はキクニガナ(菊苦菜)。名前の通り、ほろ苦さが特徴の野菜で、アンディーブは英語でチコリーといい、こちらの名前で売られていることが多いでしょう。この野菜。最近は国産でも高品質のものが出てきました。

乳製品不使用の玉ねぎのピュレ

アレルギーなど様々な理由から「乳製品不使用で」という料理の需要が増えています。リゾットやスープに乳製品を使わず、クリーミーな味を加えるにはカリフラワーや玉ねぎのピュレを使うのが一般的。今回は玉ねぎのピュレを。 玉ねぎ 大2個(中3個 今回は小5個使用) レモン汁 小さじ1〜大さじ1  オリーブオイル 大さじ3 塩 小さじ1/4 まず玉ねぎをオーブンでまるごと焼きます。 オリーブオイルをまわしかけて200度のオーブンで45分。 焼けました。 外側の皮は焦げていま

カリフラワーのピュレ

ソース代わりに活躍するカリフラワーのピュレの作り方をご紹介します。 カリフラワーのピュレといえばパリの二つ星、passage53の佐藤伸一シェフのスペシャリテ、イカとカリフラワーが有名です。これはカリフラワーを茹でてから大量のピーナッツオイルと一緒にミキサーにかけてマヨネーズ状にしたものとさっと火を通したイカを組み合わせた料理。大量のピーナッツオイルを混ぜ込んで乳化させるところに特徴があり、ナッツのような独特のニュアンスがつきます。 というのもカリフラワー。質が不安定で、

『トマトと紅茶のコンソメ』の作り方

オーストラリア、シドニーにある『Tetsuya's』(現在はそれに加えてシンガポール『waku gin』)は世界ベストレストランに何度も名前を連ねる名店。シェフの和久田哲也氏は日本とオーストラリアのエッセンスを融合させた料理で、世界中から顧客を集めています。 そんなTetsuya'sのシグネチャーディッシュの一つが『トマトと紅茶のコンソメ』で。和久田シェフの著者「オーシャントラウトと塩昆布」(PHP新書)ではこんな風 に紹介されています。 発想の原点は菜食主義者の人のため