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入国規制緩和は当然!交流再開は世界の趨勢です

 ついに日本も入国規制の緩和に動きました。本当にやっと、ようやくという印象で、大変感慨深いものがあります。ヤフコメでは、早速拒否反応を示すコメントを中心に盛り上がっていますが、人的往来の再開はもはや世界の趨勢となりつつあります。(※Photo by Kyle Glenn on Unsplash

 例えば今週のクリッピングで取り上げただけでもハワイ、ジンバブエ、エルサルバドル、ネパール、ウズベキスタンがすでに再開したか今後する予定ですし、少し前の9月10日に世界観光機関(UNWTO)が9月10日に発表したデータだと、すでに全世界の国・地域の53%が渡航制限の緩和に着手しています。

 世界のGDPに占める観光産業の割合は10%と言われていおり、そうでなくてもビジネス目的での渡航、つまり出張や駐在員の移動がスムーズであるかどうかが経済を大きく左右することに疑いの余地はなく、多少のリスクがあってもそれと上手に付き合いながら交流を再開する以外に選択肢はないのです。

 前職のコラムでも書き続けていましたが、我慢だ自粛だ謹慎だとのたまう方々には「それならいつまでそうするべきなのか」というシンプルな問いに論理的、科学的に答えてもらいたいものです。

 近いうちにどこかの会社がワクチンを完成させたとしても、幅広く摂取できるのは来年後半以降でしょう。それにワクチンが有効に機能する確率は50%前後という話もあり、さらに変異したらどうなるかとか、別のウィルスが幅を利かせたらどうするのかとか、そういった問題点を考えるとその時々のリスクに合わせた付き合い方をするしかないのです。

 そして現在日本で見えているリスクは、経済活動を超緊縮モードでこれから1年以上も我慢していくほどのものではないはずです。だからこそ政府も今回の決断に至ったのでしょう。

 私のような個人の主張では説得力もないでしょうけれども、世界最大のホテルチェーンであるマリオットのCEOも最近、2度目の「ハードシャットダウン」は考えにくいと発言されたと報じられています。理由は、単純に「経済的コストがかかりすぎる」です。マリオットが本社を置く米国では20万人を超える方々がコロナで命を落とされていますが、それでもこの発言なのです。


 またEUでは、第2波が懸念されている中でも「単一市場」の機能回復が急務だとして、各国間の渡航制限を統一しようと大臣会合が開催されたそうです。14日間の隔離についても、果たして14日間は科学的なのかという議論が常にありますし、さらにこちらも経済活動への影響が大きすぎるから出発前/到着時検査での検疫に切り替えるべきという動きも顕在化しています。


 このように、世界は動いています。そうしたなかで、首相交代で停滞を起こしそうなタイミングでも日本が緩和へ舵を切れたのは大変喜ばしいことです。

 というか、日本は観光への依存度が低いとかインバウンドは不要だったなどという反論は、観光の裾野の広さや人口減少の切迫感(1日あたり1400人以上の日本人がいなくなっている)を理解してなく、見ていて頭が痛くなります。どちらが国の存亡に関わるかという話と考えてみた時に、このまま「入国制限を緩和したら国が滅びる」とまで思われる方は一体どれほどいるのでしょうか。

 逆に言うと、観光の裾野の広さや経済への貢献度が広く知られていないことは、観光産業側にも問題があるのでしょう。その点は素直に反省し、国や行政の力も借りつつ業界側が積極的に情報発信なりに取り組んで行かなければならないと思います。(松本)


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