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エイビーロード終了に思うこと、「じゃらん海外版」はあるか

 リクルートライフスタイルが来年3月末でエイビーロードのサービスを終了すると発表しました。1984年に紙で海外旅行の情報誌を発行しはじめてから36年の歴史を有するエイビーロードのブランドに幕を下ろすわけで、大きな決断だったのではないかと思います。JTBのるるぶトラベルツアーやマイナビトラベルもサービスを終えることを発表しており、コロナ禍のなかで残念なニュースが続きます。

 エイビーロードについては、旅行業界にいるとその存在感は大きく、エイビーロード・リサーチ・センターが毎年発表していた「エアライン満足度調査」は前職の業界誌で毎回大人気のコンテンツでしたし、旅行先の人気調査も業界関係者が参考にする指標の一つでした。

 しかし、今回の発表を受けて調べてみると、例えばTwitterでの投稿は「紙」を懐かしむものが大半で、WEBサービスに対する喪失感のつぶやきはほとんどないようです。また、SimilarWebで月間訪問者数を見てみると今年3月時点で74万件しかなく、トラベルコやLINEトラベルjpが400万件とか800万件というような数字であったことと並べて考えると、2月以前の数値は確認できないものの、相当に劣後していた状況が想像されます。

 かたや国内旅行のじゃらんは4600万件という物凄い数で、海外の先の不透明さなどを考えればそりゃあそういう判断になるかもなという気がしてくるところです。

 気になるのは海外旅行との関わりを断つのかという点ですが、人間の「ライフスタイル」から海外旅行が消えることはないでしょうから、個人的には何らかの形で戻ってくるのではないかと予想しています。

 その上で、どんな可能性があるかを考えると、自前で最初からということはないような気がして、そうなると日本や海外の企業に資本参加したり買収するのが選択肢になるはずです。ちょうど今年7月にはシンガポールに本社を置く航空券流通系の「ミスティフライ(Mystifly)」による330万米ドルの資金調達をリードしているところですし、可能性はあるだろうと思います。

 またじゃらんの知名度を考えると、どこかの会社を買って「じゃらん海外版」を始めるという手も思いつきます。コロナの騒ぎが少しずつ収まって海外旅行が盛り上がり始めるころに、公式キャラクターの「にゃらん」ちゃんが海外旅行に行っているCMが流れて…、なんていうのはただの妄想ですが、あり得そうな気がしてくるのは私だけでしょうか。

 ちなみに、「一旦止めて再開する」という話だと、最近トーマス・クックがOTAとして営業を再開しています。中国資本でオンライン専業となると「世界最古の旅行会社」としてのトーマス・クックとはもはや別物な印象ですが、それもこれからの旅行業界のニューノーマルなのではないかと思います。(松本)

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