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転職活動記

 昨年転職をしたので、その経緯と近況について書こうと思う。はじめに簡単なプロフィールを説明しよう。私は薬剤師として新卒からドラッグストアで働いていたが、休職を経て転職した。現在は医薬品の広告代理店でライターとして働いている。全く別な業種でもあり稀有なケースだが、何か参考になることがあれば幸いだ。

・経緯

 新卒から働いていたドラッグストアではOTC販売を中心に働いていた。本社に行きたい部署があったのだが、新型コロナウイルスの影響もあり叶わなかった。配属先の店舗は郊外にあった。23時に閉店作業を終えてから夜道を自転車で30分かけて帰宅しなければならなかったり、日常的に怒鳴られたりして配属して半年で適応障害になってしまった(恨みつらみはあるが、今回書きたい事は別にあるので省略したい)。
 休職してから二ヵ月で復職、同時に転職活動を開始した。三月くらいに始め、五月半ばくらいに内定をもらった。

 きっかけは後ろ向きな理由だが、元々臨床現場ではなく企業で働きたいという気持ちはあった。薬剤師免許があればどこでも働けるとはいうが、薬剤師として働くと考えると行く場所は限られている。希望の部署はあったがいつ異動できるかわからず、どうもこのままではキャリアも給与も頭打ちだな、という懸念を漠然と抱えていた。

・苦労したこと①メンタルを病んでいた

 転職する上で障害になったことはいくつかあるが、一番は適応障害による休職だった。休職していたことを公開するかどうかは選べるが、仮に伏せていても何かの折に言わなければならないかもしれない(実際に選考の過程に既往歴や休職歴を問われることもあった)。精神的にも回復しきっておらず、働きながらの転職活動は負担だった。
 リスクを考えると退職してから次の仕事を探すのは敬遠されがちだが、今思えば一度落ち着いてじっくり次のキャリアに向き合えるという意味では退職してから転職先を検討しても良かったかもしれない。
 休職中は大きな決断を控えるために本格的な転職活動はしなかった。復職後でも負担になることは変わらなかったので、今だけと決めてがっつり甘いものを食べたり、昼休みに職場を出てカフェでSPI対策をしたりした。復職後の環境にも問題があったが、離脱することを目標にして乗り切った。
 休職は伏せて転職活動を行った。自分の精神面より環境に原因があったので、転職先で特別に配慮してもらう必要はないだろうという考えがあった。
 余談だが、休職歴がある場合の転職活動について、ネットで調べてみると公開すべきという意見が多い印象を受ける。もし精神的に今後も注意が必要であれば公開した方がいいと思うし、職場に明らかな原因があり環境を変えれば問題なさそう、かつ面接で堂々と振る舞えるのであれば伏せて転職しても良いのかなとは思う。一部の会社については面接で休職の事実を伝えたが、原因となった職場環境の問題点を事実ベースで淡々と伝えると納得してくれた。

・苦労したこと②違う業種を志望していた

 前職は小売業で、接客対応が中心だった。お客さんから聞かれることは大体決まっており、学術的な要素は少なかった。しかし希望した転職先は学術的な能力を求められる。転職活動においては、そのギャップを埋めなければいけなかった。
 第二新卒だったこと、前職在職中に英検などの資格をとっていたことがアピールポイントになった。資格そのものの価値というより、働きながらも勉強している姿勢が示せたことが良かったようだ。新卒では使わなかったが、卒業研究にしっかり取り組んだことも面接でプラスに働いた。勉強したことは無駄にならないものだと実感した。

・苦労したこと③夢を諦められなかった

 前述の通り、私には行きたい部署があった。そこに行きたいがために勉強をしていた面もあった。インターンシップに参加してから一貫して、会社にその部署への希望を伝えていた。一度人事の計らいで、その部署のトップの方と話す機会まであった。熱意をアピールをして相手からの手応えもあった。
 転職を決心してからも、「もしかしたら今までの成績や姿勢が評価されて、一年以内に希望の部署へ行けるかもしれない」「本当に今まで追いかけていた夢を諦めていいのだろうか」という疑問があった。
 もしかしたら前職を続けていれば今頃は夢を叶えていたのかもしれない。前職は大手企業で給与や福利厚生にも問題がなかった。転職先は比較的新しい事業で、今後どうなるかは明確に見通しが立たない。しかし休職でのひと悶着で会社に対して信頼を持てなくなってしまったし、待っているうちにタイミングを逃し、どこへも行けなくなってしまうことが怖かった。

・転職してよかったこと

 転職活動の末、何とか内定をもらった。転職先の企業に入って半年以上が過ぎた。今のところ問題なく働いている。テレワークによるコミュニケーションの難しさやデスクワークによる運動不足などの問題はあるが、改善のために工夫しながら続けられている。今の仕事については今後機会があればもう少し具体的な記事を書こうと思う。

 現職の夢を諦めたが、今は新しい夢ができた。一人で働けるだけの実力がついたら、将来フリーランスでライターとして働きたいと思っている。医薬品から離れてもいいかもしれない。薬から離れても自分の知識や経験は活かせるはずだ。いち薬剤師としてだけではなく、よりユニークな生き方を模索したい。何年、いや十年以上かかるかもしれないが、生きているうちにいずれ成し遂げたい。
 転職は今後の人生に関わる選択だ。在職中であれば現職に留まるという選択肢がある分余計に迷ってしまう。とりあえず誰かに相談する、とりあえず転職サイトを見るなど焦らず、抱え込まずに自分のペースで進めたら良いのではないかと思う。

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