見出し画像

ベトナム移住者が感じたモラルの違いと人間関係の悩み

ベトナムに現地採用として働き始めてから、仕事上でもプライベート上でもベトナム人と関わることが増えた。

その中で、自分とは違う価値観を持っているなと感じることが多々ある。

これは全てのベトナム人に見られる特徴やステレオタイプというわけではない。
あくまでも、自分が関わった数少ないベトナム人との体験を通しての話なので、その点ご了承ください。

ベトナム人との価値観の違いを感じたとき

ベトナム人は家族をとても大切にするというのはよく聞く話。
実際、家族・親族との集まりは多いようだし、自分とのつながりのあるコミュニティを重視している様子は、集団行動をよくする光景からも見てとれる。

ただ、ここで話したいことは彼らの”帰属意識”についてではない。

バイクを運転するのに免許は必要?

1つ目の価値観やモラルの違いを感じたのは、運転免許について話したときだった。

ベトナムはバイク大国。毎日バイクの渋滞が続くカオスな交通事情が有名だし、実際その通りだった。

ベトナムではバイクの免許は2種類。

  • A1免許(175cc以下の二輪車)

  • A2免許(175cc以上の二輪車)

  • 免許不要(50cc)

ベトナム市内で、ある程度自由に移動するにはA2免許は持っておきたいところ。

そのためには免許が必須なのだが、私の周りの日本人然り、ベトナム人でさえもバイクの免許を持っていないまま日々運転している。(もちろん、しっかりバイクの免許を保持し、保険にも入っている人はいる)

日本国籍取得者で、日本の運転免許がある場合、ベトナムの運転免許に切り替える必要がある。
また、二輪の免許がない場合は、その後ベトナムで実技テストを受けると、晴れてベトナムで運転ができる。

私が「バイクを乗ろうかな」「免許取ったほうがいいかな?」というと、日本人やベトナム人は口を揃えて、『免許なんてなくても大丈夫』という。

しかし、ガバガバな交通ルールでも警察の取り締まりはある。
『捕まっても、言葉が分からないふり(実際分からない汗)をすれば見逃してくれる。』
『お金多めに払えば見逃してくれる』
などと彼らは言う。

実際そうなのかもしれない。
日本ではあり得ないことでも、なんとなく通用してしまうのがここベトナムなのだろうか。

そのことを父に話したら、「ありえない。もしも誰かを轢いたらどう責任取るんだ?免許取得してからにしなさい。」と言われた。

そのとき、ハッとした。
ベトナム移住当初は運転はしないと誓って、頑なにバイクに乗ろうとしなかったのに、生活に慣れていくうちに、周りもしてるし、無免でもいいか。というマインドが芽生えていたからだ。

父の言葉はそんな崩れかけた私のモラルを立て直してくれた。
もし、自分の家族や大切な人が無免許の人に轢かれたらどんな気持ちか。
『お金払えば大丈夫』と言う人は、そこまで考えて運転をしているのだろうか。

どんなに運転に自信があっても、免許なしという状況は御法度。
自分さえ良ければいいという意識がそこにあるのではないかと感じた。

嘘に抵抗がないのか?

2つ目の価値観やモラルの違いを感じたときは、推薦状を書いたとき。

ベトナム人の友人が、アメリカの奨学金制度のプログラムに応募すると聞いたとき、協力して欲しいと言われたので、二つ返事で快諾した。
しかし、その申請には3人の推薦状が必要らしく、それを書いてくれないかと頼まれた。

そのプログラムに受かれば、仕事をやめることになるので、職場の人には頼めない。とのことで、提出まで時間もない中、とりあえずできることをすると、推薦状を書くことに同意した。

推薦状は、その人の仕事ぶりを証明するために書くものだが、私は友人と一緒に働いたこともなければ、ベトナムに来てから知り合った人なので、当然何も知らない。

そこで、帳尻を合わせて、2人でストーリーを作り上げていき、さも私が彼女と働いて、彼女の堅実な仕事ぶりを見て感銘を受けたかのように推薦状を書いていった。

その友人の親友も推薦状を書いたようだが、なんの迷いもなく助けてくれたようだ。

私もなんとか書き終え提出した。

終わった後、ふと「これって他の人も応募してるんだよな」と思った。
このプログラムの奨学金を得るために頑張っている人が、こんな嘘の推薦状を送る人と競争し、負ける可能性があるのかと思うと、複雑な気持ちがした。

私の友人も、純粋な気持ちでこのプログラムに応募しているのだが、呼吸するように嘘をつき、その嘘に協力を仰ぐ姿勢があまりにも自然で、何も罪悪感を感じないんだなと思った。

秘密の共有はみんなで

最後に、人の秘密はみんなの話題になるという内容。

ここから先は

1,175字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?