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ヒッチハイク中毒

札幌から稚内へのヒッチハイク旅の初日。
旭川動物園で有名な旭川を通過して、士別市に到着して宿に入った。
札幌から士別はやく180キロ、1日かけて名古屋から大阪に来たようなもの。

2日目、いよいよ最北端に向かうためヒッチハイクを始めると、運が良いことにものの数分で通勤中のおっちゃんが乗せてくれた。
おっちゃんは通勤中ながらも、道の駅に寄ってくれ、名物をご馳走してくれた。

ヒッチハイクをしていると、本当に人の心、優しさに触れられる。

おっちゃんは稚内が目的地だという僕らに、「ここなら稚内に行く人がいるかもしれない。ただ途中で乗り継ぐことは考えない方がいい。ここからの町は人が少ないから、ヒッチハイクは難しいはず」とアドバイスを残してくれた。

おっちゃんが連れて行ってくれた町は、まだ稚内まで車で3時間ほどの場所。
稚内に直接行こうという人が少ないうえに、ヒッチハイカーを乗せようという徳の高過ぎる人を見つけなければならない。

いろいろな場所を試して歩き回り、数時間が経過してようやく止まってくれたのは、何と僕らが来た愛知県からの旅行者だった。

旅行者がヒッチハイカーを乗せる、なんと面白い巡り合わせだろうか。

北海道の豊かな自然、広大な大地が広がる道をひた走った。
大きな牧場だったのか、牛が歩いている姿は自然にかえっているような感じだった。

そして稚内に着いた。5組の人に乗せてもらい、5組の北海道の人の温かさに心洗われた旅だった。

後日、僕は稚内を特に見て回るわけでもなく、そのまま札幌に帰った。
本当にヒッチハイクをしただけで、観光といえば宗谷岬くらいだったが、不思議と満足感が高い。

乗せてくれた人と何時間も話していると、北海道ならではの事情や常識なんかに驚いたり、その人たちのことを聞いていたりする。
全く飽きない。

札幌に帰った僕は、小樽までヒッチハイクで行った。

北海道の人はヒッチハイカーに慣れているのか、それとも元から徳が高いのか。

元モーグルのオリンピック候補だった女性、会社で出張に出かける男性がこれまた乗せてくれた。
途中、なかなか止まらないと苦戦していると、小学生の女の子が「大丈夫ですか?」と心配して声をかけてくれた。

20歳くらい近く歳の離れた子に心配される自分もどうかと思うが、この子の優しさのおかげか、その後すぐに乗せてもらえた。

心配して声をかけてくれた後も、僕のことが気にかかっていたのか。
乗せてもらい走った後、外を見ていると、その子が手を振ってくれていた。

ヒッチハイクをしてみたい人は、絶対にした方が良い。
人の優しさに触れられるし、もし自分がヒッチハイカーを見かけた時には、たとえ車がなかったとしても、何か飲み物でも買って応援しようという気持ちになれる。

ただ、純粋に人に優しくなれる経験だ。

ただし、ヒッチハイクは相手の純粋なご好意で乗せてもらっていることだけは忘れてはいけない。

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