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本棚の一冊を紹介する 一冊目 「星をつくる兵器と満天の星」

久しぶりの更新でIDを普通に忘れていたマックスです。
久しぶりな理由はシンプルに持病の悪化です。自分の人生でこの言葉を使う機会があったことに不思議な感動を覚えています。
平たく言えば精神疾患なもので、そのへんに理解のない老害上司に言われたことでダウンしておりましたが、このブログ?を定期的に更新することが何かしら好転に向かわないかなと筆をとってみました。
これからはなるべく毎日自分の手持ちの本や好きな曲、最近読んで衝撃を受けた作品などを紹介していきたいと思います。ネタバレはなるべくしないようにしますが語りたい本質に関わる場合は○○で伏せるなり事前に注意を書くなりさせていただきます…


前置きが長くなりましたが、第一冊目として紹介したい作品は、中村朝さんの連作集、「星をつくる兵器と満天の星」です。

表紙

前置きとして書いておくべきことですが、わりと人を選ぶ作品に感じました。それこそ世界観ーーもとい、この世界での倫理観が合わない人は多いだろうなということで、作品が始まる前に注意書きまでされてました。
でも逆に言えば、人を選ぶ作品ということは選ばれた人にとっては非常に味わい深い作品であることでもあります。それこそこのブログを好きなもの紹介として使いたいと思うくらいにマックスには刺さりました。連作集である以上ストーリーについて語ることが難しい(短編一つ一つにストーリー紹介と感想を書くのはネタバレ回避の観点からこの本を手に取る人の楽しみを自分が奪うことになりかねない。そんなことはあってはならない!)ので、本を通して感じた魅力をまとめていきたいと思います。

ポイント1 生命兵器と操舵手・二つの価値観



この連作集の世界観をまとめると、「資源の枯渇や環境汚染が数百年が過ぎて無機物が貴重なものとなり、東西に分かれた人類が燃料や領土を生命兵器で奪い合っている」というかなり過酷なもので、兵器として造られた生命兵器を主力とした戦争が行われているわけです。ここで残酷とすら思えるのが、生命兵器の皆さんに個体差はあれど自我がある点です。
そして彼らの常識はもちろん我々のものとは違う、兵器としての常識を持っている。この点が筆者の特に好きな世界観の作り込みかたでして、ここで何作か例を出してしまいたいぐらいですが寿命を削らないようにこの辺にして本題に戻させていただきます。

世界の前提が違う以上、創作世界に生きる人間が我々と同じ常識を持っているわけがない、最近のソシャゲでいうとFGOの「異聞帯」あたりが説明として一番ピンとくる人もいるかもしれないですね。
そういうカルチャーショックじゃないですけど、異世界の常識を体感できるというのも物語を楽しむ上での醍醐味の一つだなと。まして作中でその価値観のぶつかり合いなんかが見られるとどっちに感情移入できるかまで合わせて楽しいものです。
具体的な話は読んでいただきたいため避けますが…人と人とのコミュニケーションに正解なんてないわけですし、作中のかかわり合いの是非をまして外部にいる自分が下すなどありえない話ですので、読み進めるごとに味わいが増す、自分好みの結末であったとだけ書かせていただきます。

ポイント2 殺人鬼とその息子

実は生命兵器さんや操舵手さんたちに引けをとらないぐらい魅力的で存在感を放つのは一話目の主役である赤井柊さんと殺人鬼である父親の関係性です。正直この二人のキャラが好きすぎて止まらず読みきってしまったぐらいです。まあこの二人がメインだったのはアップル二作だけだったんですけど…
ネタバレに最大限配慮した上で語るならば、二話目(アップルコンフュ)の最後の回想場面でやられましたね…自分自身は変えられない、変えようとしない人殺しの男でしたが、確かに父親ではあったんだと。息子を唯一救う言葉を残すために結末まで理解した上で最後の行動をしたってどんでん返しにしびれましたね。
父親はもちろん、赤井柊さんも社会とのズレを感じる存在ではあるのですが、二人とも根底には「自分達のような存在はいないほうがいい」「世界の役に立つならそのほうがいいからなんでもする」と、低すぎる自己評価をこじらせた考え方になってるのもいいですね。心の中でしてはいけないと思っていることをついしてしまいたくなる心理の逆というか、彼らは変なところで道徳的にあろうと考えてますしね。教育の賜物か、無意識のものか…
ともかく、思考の道筋を理解できる範囲での明らかに自分と違う考え方を味わうのは物語の楽しみの一つだと思いますね。だって現実社会で会っちゃうと軋轢すごそうだし…

まとめ

ともあれ、一冊目ということで拙文やアピールポイントが偏ってることはご寛恕いただきたいと思います。本来なら表題作の話をするべきでしょうがマックスはアップル二作の赤井親子にやられてしまいましたので…読んでみてのお楽しみということで何卒…
この紹介コーナーは闘病感覚で雑に続けていきたいと思います。どうせ緊張の一ページ目なんて終わったんだし、好き勝手書くぞー!

ということで「星をつくる兵器と満天の星」、紹介文は稚拙そのものでしたが濃厚な世界観を味わえる上に単巻で手に取りやすく、ページをめくる手が止まらなくなるような作品ですのであらすじを再確認した上で、面白そうだなと思った方は読んでみていただきたい名作です。

それでは。


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