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星空散歩(春)〜入門編

春。寒かった冬も終わり暖かくなってきますが、その分、空は霞んで星は少し見えにくくなってしまいます。
それでも冬の寒空とは違う、柔らかい星明かりを探しに、星空を散歩してみましょう。

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<星空を説明するときは、上下左右ではなく、東西南北を使用するのが通常ですが、>
<わかりやすさを優先させるため、北半球で南を向いて立っていることを前提に上下左右でまとめています。>
<4月1日22時、5月1日20時、6月1日18時ごろの北海道札幌市で見える星空になります。>

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春の星空散歩をする際のスタートになるのが、北の夜空で輝く『北斗七星』になります。
北斗七星は北の空で目立つ星並びですが、それ自体は星座ではありません。
『おおぐま座』の一部になります。
『おおぐま座』の胴体からしっぽにかけての部分が北斗七星になります。

その北斗七星は、別名『柄杓(ひしゃく)星』とも呼ばれますが、柄杓ってご存知でしょうか?
水や汁物を掬うための道具で、身近なところだと神社の手水舎(手を洗うあそこです)においてあったりしますね。
星の観察会などでは、柄杓と言っても知らない子供が多いので、片手鍋とかに例えることが多いですが。

その柄杓の持ち手はよく見ると少しカーブしています。
そのカーブをそのまま伸ばしたところに輝いているのが、『うしかい座』の1等星『アークトゥルス』です。
はるか南で輝く『りゅうこつ座』の『カノープス』に次いで次いで全天で3番目に明るい恒星です。
カノープスは私の住む北海道からは、どんなに頑張っても見えないので、ほぼ2番目になりますね。

さらにカーブを伸ばしますと、もうひとつ1等星が輝いています。
『おとめ座』の1等星『スピカ』です。
『アークトゥルス』がオレンジ色に輝くのに対し、『スピカ』は青白く輝いています。
この色の対比から、アークトゥルスが男性、スピカが女性と捉えて「夫婦星」などど紹介されることが多いですが、実は明確な根拠がありません。
白い清楚な感じでかつ『おとめ座』ということで女性となっているのでしょうが、青白いということは星の温度が高いということですので、清楚な女性の姿とは程遠い恒星になります。
(星の色と温度の関係については、別の機会にいたしましょう。)

この『北斗七星』から『アークトゥルス』を経て『スピカ』にたどり着くカーブを『春の大曲線』と呼びます。
(さらに延ばしたところに輝く『からす座』までを含める場合もあります)

『アークトゥルス』に『スピカ』に加えて、やや右上に輝く『しし座』の2等星『デネボラ』を結んでできる大きな正三角形を『春の大三角形』と呼びます。

『春の大三角形』に加え、ほとんど天頂付近で輝く『りょうけん座』の2等星『コル・カロリ』を加えてできる菱形を『春のダイヤモンド』と呼びます。

『春の大三角形』で登場した『しし座』の『デネボラ』から視線をさらに右(西)の『かに座』のほうへ延ばすと、ここにも1等星が輝いています。
『しし座』の1等星『レグルス』です。
一等星は21』の note で取り上げましたが、『レグルス』は1等星の中では最も暗い、1.4等級になります。
ちょっと薄雲がかかっていたり、明るい街中ですと、見えずらいかもしれませんが、名前の由来はラテン語で「(小さな)王」を意味し、別名『コル・レオニス(獅子の心臓)』とも呼ばれます。

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