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今日は何月何日ですか? 〜日付の由来を調べてみた・前編〜

今日は何月何日ですか?

カレンダーを見て1月1日から数えて何ヶ月と何日経っているから・・・
と答えることになるかと思いますが、その1月1日はどうやって決まったのでしょうか?
一年の始まりである1月1日にはどんな意味があるのか?
ちょっと掘り下げてみたいと思います。
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暦とは?

古代エジプトにおいて、ナイル川が氾濫する時期に周期性があることに気づいたのが暦の始まりとされます。
農耕が主体であったため、適切な時期に農作業を行えるよう、暦が重要になります。
ここから、昼夜の周期(自転)が、月の満ち欠けの周期が、季節の周期(公転)が、と言う暦の基本が生まれます。

【二十四節気・七十二候・節句・年中行事】暮らし歳時記 Webサイト より

ちなみのナイル川の氾濫は大体7月中旬ごろになります。
シリウスの観測により氾濫時期や一年が365日であることも知っていたと考えられています。
(世界最古の暦「ソティス暦」(シリウス・ナイル暦)、紀元前4000年ごろ)

暦の種類としては、
 ・太陽暦   〜 グレゴリオ暦、ユリウス暦など
 ・太陰暦   〜 ヒジュラ暦(イスラム暦)
 ・太陰太陽暦 〜 天保暦、ユダヤ暦、ローマ暦など
 ・その他   〜 ユリウス日、修正ユリウス日など
などがあり、現在世界中で広く使われている暦は【グレゴリオ暦】になります。
(日本で言う所謂「旧暦」は天保暦になります)

暦は誰が決めている?

暦を作るためには天体の観測が重要になります。
太陽の動きからを、月の動きからを、星の動きからを調べるのです。

そこで作られたのが観測を行う【天文台】になります。
日本で本格的に暦を作ったのは江戸時代の渋川春海になります。
当時使われていた【宣明暦】は中国から導入され、800年以上(貞観4年1月1日(862年2月3日)から)使われており、暦と天文現象のズレが目立つようになっていました。
(宣明暦自体は中国で71年ほど使われて改暦されています。もともと中国で作られた暦であったため、経度の違いを考慮しておらず、日本の季節にあっていないことが多かった)
※この辺りの詳しい話は、国立天文台の暦Wikiをご覧ください。

現在は国立天文台が暦を決めています。
と言ってもカレンダーを作っているわけではなく、
 ・二十四節気および雑節、朔弦望
 ・日の出入り、日食・月食
 ・国民の祝日(春分の日と秋分の日)
などを決めています。
(毎年2月最初の官報に翌年の暦を掲載されます。暦要項

狩猟の時間、ドローンの飛行制限、車のヘッドライトの点灯、警察の家宅捜索などなど、日の出・日の入りが法律上の基準になっているものは意外とあるのです。

ここで言う【東京】とは東京天文台のあった「東京都港区麻布台二丁目18番1」で、現在は日本経緯度原点が設置されています。
ちなみに私の住む【札幌】は中島公園にある札幌市立天文台20cm赤道儀になります。

暦をどうやって作る?

一日とは?

非常に身近なので分かりやすいですが、実はそんなに簡単ではないのです。
1日は太陽が昇ってから沈み、再び登るまでの24時間になります。
これは地球の【自転】によるものですが、実は【公転】も関わっています。

地球の自転周期は【23時間56分】になり、一日の24時間に4分足りません。
ところが太陽が真南に来る南中を迎えてから西に沈み、東から昇って再び南中するまでの時間は24時間になります。
この4分の差は地球が【公転】しているために生まれます。

国立天文台 暦Wiki より

地球が自転で1回転する間も、公転で太陽の周りを動いています。
つまり、太陽の周りを一年かけてぐるっと回る分の約365分の1だけ公転で動いているのです。
そうすると地球から見た太陽の位置はわずかに変わってしまいます。
地球が自転で1回転した後、そのわずかに変わった太陽の方に向くために余計に回る(自転)する必要があり、それにかかる時間が【4分】なのです。

なので、地球の自転周期は23時間56分で、地球の一日は24時間なのです。

一ヶ月とは?

一ヶ月の基準は【月】になります。
新月から三日月→半月(上弦)→満月→半月(下弦)と変わって、再び新月になるまでが【一ヶ月】になります。

これは月が地球の周りを回る【公転】の動きによるものですが、これだけではなく、地球の【公転】も関わってきます。
一日の場合と同じで、太陽 - 地球 - 月が一直線に並ぶ時が新月ですが、月が地球の周りをぐるっと一回りする間に、地球も太陽の周りを約12分の1回転しています。
その分、月も地球の周りを余計に回る必要があり、再び新月になるまでの日数は【約29.5日(朔望月)】になります。(月の公転周期は約27.3日)

国立天文台 暦Wiki より

一年とは?

地球が太陽の周りをぐるっと一回り【公転】すると一年になります。
これは
 ・日の出日の入りの方向
 ・南中時の影の長さ
 ・星座の見え方
などを観測して、約365.24日と求めました。
これが地球の公転周期になります。

国立天文台 暦Wiki より

厳密には地球の歳差運動が影響し、上記は太陽を基準とした「太陽年」になります。
恒星を基準とした場合、「恒星年」となり、約265.25日(太陽年より20分24秒長い)になります)

おまけ:一日の始まりはいつか?

『一日とは?』のところで書きましたが、一日の基準は太陽の南中になります。
つまり、一日は「太陽が南中し、西に沈んで東から昇り、再び南中するまで」となり、これを【天文時】と呼びます。
これは天体(星)の観測中に日付が変わると不便だからになりますが、日常生活では昼に日付が変わっては不便です。
そこで正子 (子の正刻=午後12時=午前0時:真夜中) から正子までを一日としているのが、【常用時(市民時)】で真夜中に日付の変わる普段使っている時刻になります。
(天文学においても、ようやく1925年1月1日から正子から正子までを1日とするようになりました。)

中編へ続く

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