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星空散歩(春)〜マニア編

春。寒かった冬も終わり暖かくなってきますが、望遠鏡で見ると素晴らしい姿を見せてくれる天体が多くあります。
望遠鏡をもって星空を散歩してみましょう。

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<星空を説明するときは、上下左右ではなく、東西南北を使用するのが通常ですが、>
<わかりやすさを優先させるため、北半球で南を向いて立っていることを前提に上下左右でまとめています。>
<4月1日22時、5月1日20時、6月1日18時ごろの北海道札幌市で見える星空になります。>

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春は遥か宇宙のかなたにある別の銀河(系外銀河)を多く見ることができます。
まずは、『子持ち銀河』とも呼ばれる、『りょうけん座』の『M51』でしょうか。
場所はりょうけん座というよりは、『おおぐま座』の北斗七星の持ち手の先端のすぐそばになります。
10cmクラスの望遠鏡であれば、大きな銀河に小さな銀河が寄り添う姿を見ることができるかと思います。
20cmクラスの望遠鏡であれば、2つの銀河をつなぐ「腕」も見えるかもしれません。

続いては『おおぐま座』の頭部分にある2つの銀河、『M81』と『M82』でしょう。
赤緯+70゜と天の北極に近いため、ほぼ1年中観察できる明るい銀河です。
北斗七星の柄杓を斜めに結び、そのまま柄杓の先のほうへ同じだけ延ばしたあたりにあります。
10cmクラスの望遠鏡であれば、2つの異なる銀河の姿を見ることができるかと思います。

3つ目は、『ソンブレロ銀河』とも呼ばれる、『おとめ座』の『M104』です。
『おとめ座』と『からす座』の境界付近にあり、ソンブレロというスペインやメキシコで近年まで広く用いられた、つばの広い伝統的な男性用帽子を横から見ているような姿をしている銀河です。
『スピカ』と赤緯が同じなので、導入後、西方向へ45分ほど動かすとありますが、ファインダーで見るけるのは難しいかもしれません。
10cmクラスの望遠鏡であれば、細長くのびた銀河の姿を見ることができるかと思います。

最後は趣向を変えて、『りょうけん座』にある球状星団、『M3』です。
フランスの天文学者、シャルル・メシエが、メシエカタログをまとめるきっかけになったとされる天体です。
(メシエカタログについては、別の機会にいたしましょう。)
見かけの等級は約6.4等と肉眼で見える限界に近く、双眼鏡などでも容易に見つけることができる天体です。
『うしかい座』の『アークトゥルス』と、『りょうけん座』の『コル・カロリ』を結んだ線のほぼ真ん中に位置します。
10cmクラスの望遠鏡であれば、低倍率で丸い星雲状に、倍率をあげる周囲の星が分解され、球状星団らしい姿を見ることができるかと思います。

そんな『コル・カロリ』ですが、こちらを望遠鏡で見ると、二重星であることに気づきます。
8cmクラスの望遠鏡でも2つの星が寄り添う姿を見ることができるかと思います。

『しし座』の頭部分「獅子の大鎌」を作る星のうち、『レグルス』に次いで明るい星『アルギエバ』も二重星です。
金色に輝く2つの星がくっつかんばかりに接近している姿は非常に美しいです。
倍率が低いと、2つの星がくっついて見えるので、2つに見るためには高い倍率が必要になります。

『ミザール・アルコル』と聞いて「死兆星」が出てくる方は、ある程度年齢が言った方かと思います。
北斗七星の持ち手の先から2つ目の星ですが、目のいい人であれば、肉眼でも2つに見えるかと思います。
漫画「北斗の拳」でこの星が見えるとその人の死期が近いといわれた死兆星がこの星です。
『ミザール』のそばに『アルコル』が輝いていますが、アルコルはアラビア語で「かすかなもの」という意味になります。
古代アラビアで兵士の採用試験の際の視力検査で使われたため、「採用される=兵士になる=戦争で死ぬ可能性がある」とか、日本でも「寿命星」などと呼ばれ、(年老いて)アルコルが見えなくなると死期が近い、なんていう言い伝えもあるようです。

どれも望遠鏡や双眼鏡で導入するには【慣れ】が必要ですが、見てみてはいかがでしょうか。

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