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第5章 天の川銀河と星間物質 47,48

天文宇宙検定1級公式参考書極・宇宙を解く-現代天文学演習」を読んで、わからない用語や整理したい内容をまとめています。
ど素人がまとめていますので、誤り等指摘いただけると嬉しいです。

X線反射星雲

天の川銀河の中心にはSgr A*(いて座A*(エースター))と呼ばれる電波源が存在し、太陽質量の$${4 × 10^6}$$倍の巨大ブラックホールと考えられている。
チャンドラ衛星などの観測から、そのX線光度($${L_x}$$)は$${2 × 10^{33} }$$erg/sとみられ、1日に1回の割合で$${L_x 〜 10^{34} - 10^{35} }$$erg/s程度のフレアを起こしていることがわかっている。

Sgr A*自体は暗くて見えないが、周囲には塊状のX線天体が存在する。
これらのX線天体は分子雲が外部からX線を照射された結果、内部の鉄分子が電離されX線を放射するX線反射星雲だと考えられている。

Sgr A*の数百年前の活動

Sgr A*から見かけ上330光年離れたSgr B2 X線反射星雲がある。
Sgr B2はSgr A*よりも地球に近い位置にある。天体の位置を三次元的に考えると、2天体の距離は280光年となる。
また、Sgr C領域の2つのX線反射星雲はそれぞれSgr A*の手前と奥にあり、別々の時期にSgr A*のX線を反射したものであることがわかる。
これらからAgr A*の過去のライトカーブを測定することができる。

Sgr A*の過去の活動の痕跡

X線反射星雲は数百年前のSgr A*の活動を示すものである。
他にも銀河面垂直方向に広がるプラズマが電離過剰な状態であることが発見され、10万年程度前に強いX線($${L_x 〜 10^{43} }$$erg/s)を受けて電離したと考えられている。

中心核バルジと中心核星団

天の川銀河の中心には、銀河面方向に数100pc、銀河垂直方向に約50pcに広がった円盤状の星の構造がある。これを中心核バルジまたは、中心核円盤と呼ぶ。
大部分は古い星であるが、若い星団の存在も知られている。

中心付近には中心核星団と呼ばれる星団が存在する。
赤外線による観測から質量は太陽の$${2 × 10^7}$$倍程度と測定されている。
系外銀河の約75%についても中心核星団が発見されている。

天の川銀河の中心核:Sgr A*

Sgr A*の視直径は0.001秒角以下と非常にコンパクトである。
周囲には3本の渦巻状の電離ガス(ミニスパイラル)が存在している。
視線速度の観測により、この領域のガスはSgr A*に落下していることがわかっている。

Sgr A*を公転する恒星

Sgr A*からわずか0.05pcの範囲内に、Sgr A*を10年から数千年の周期で公転する恒星が数十個見つかっている。
これらの恒星の軌道はランダムで、どのように生まれたのか、その起源は不明である。
代表的な星が、16年という短い公転周期を持つS2(もしくはS0-2)と呼ばれる星である。Sgr A*の最近点は約120auで楕円軌道を描いている。
この軌道運動からSgr A*の質量を求めると、太陽質量の$${4 × 10^6}$$倍となり、Sgr A*は超大質量ブラックホールと考えらている。

天の川銀河中心のブラックホール

多くの活動銀河核と比べると、Sgr A*の活動性は極端に低い。
これはブラックホール周辺のガス密度が低く、降着率が低いからと推測されている。
もしも他のブラックホール候補天体のように標準的な円盤が形成されていたとすると、Sgr A*の光度は$${10^{40}}$$erg/sとなるが、実際に観測される光度は$${10^{37}}$$erg/sと、とても暗い。

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