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望遠鏡が欲しいという人へ

子供が星に興味を持ったので、望遠鏡を買おうと思うのですが。。。
観望会をすると5回に1回は受ける相談です。

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そんな相談には、ほぼこう答えます。
『望遠鏡は扱いに慣れがいるので、双眼鏡をお勧めします。』

もちろん、主に使うのが高校生以上ぐらいの年齢で、機械(道具)の扱いに慣れているというのであれば答えは変わってきます。

ですが、小学生ぐらいの子供が使うのであれば、レンズの大きさが3から5cmぐらいで、倍率が5から10倍ぐらいの双眼鏡をお勧めします。

理由はいくつかありますが、一番の理由は『天体が導入できない』からです。

売られている望遠鏡を見るとわかりますが、大きな筒(=主鏡)のほかに、もう一つ、小さな望遠鏡がくっついていると思います。
この小さいほうを「ファインダー」と呼びます。
望遠鏡は大きな倍率を得ることができるため、そのまま目標の天体を導入するのが難しいです。
そのため、まずはファインダーで大まかに目標天体を導入してから正確な位置合わせをするのが一般的です。
(ファインダーも像は上下左右が逆さまに見えるため、もうちょっと右下にしたいときは左上の動かす必要があり、慣れが必要です。正立ファインダーというのもありますが)

つまり、ファインダーと主鏡が同じ天体を見るように合わせておく必要があるのです。
昼間に上下逆さまに見える地上物を使って合わせるのですが、これも厄介で初めてだとなかなか合わせられません。
結果、使わずに放置され物置にしまわれてしまうことが多くなってしまいます。

双眼鏡であれば、ぱっと取り出したり、車に積みっぱなしにしていても、あまり邪魔になりません。
なによりも機動力が上がり、使用する機会が増えます。
そうすれば使い慣れていき、自分にとって満足する点、不満な点も気づき、どうしたいかもハッキリしてきます。

そうして慣れたうえで、望遠鏡を買っても十分間に合いますし、双眼鏡との両刀遣いは私もやっています。

ある程度の見え方がする望遠鏡であれば、本体を載せる架台(主に赤道儀)を含めて、フルセットで十万を下ることはありません。
(広告などで、倍率150倍!\29,800!!なんてのはお勧めしません。ほぼ見えませんw)

ほぼ月を見る。
ちょっと頑張って一等星。
もうちょっと頑張って木星や土星の環が見たい。
さらに遠出してM31やM42、M45などの肉眼でも見える星雲星団や二重星
どっぷりつかりだして星雲星団をたくさん見て、写真も撮る

と段階が上がっていくかと思います。
けど、扱いに慣れていないと、2つ目の一等星導入で挫折します。

架台が貧弱な望遠鏡もお勧めしません。
架台が貧弱であれば、頑張って天体の導入に成功したとしても、ちょっと触っただけでずれてしまいます。
(極端な話、横を歩いただけで振動で揺れます)
ましてや日周運動の影響で視野からどんどんずれていくので、それを追いかけなければなりません。
倍率を下げれば視野に入っている時間は長くなりますが、それだと、150倍!の謳い文句はどこかへ行ってしまいます。

双眼鏡であれば、両手で持っていますので、動かすのも楽ですし、視野が広いので月なら楽に導入できます。
土星の環は厳しいかもしれませんが、M31,M42,M45などは十分楽しめます。
余談ですが、ガリレオ・ガリレイが土星の環を発見した際の望遠鏡は、口径42mm、倍率は9倍程度だったそうです。
しかも今の主流であるケプラー式ではなかったので、視野はとても狭かったようです。
(この辺は『最初に望遠鏡を作ったのは誰だ!?』の note で取り上げましたので、そちらをご覧ください。)

もちろん、双眼鏡は昼間も使えますので、バードウォッチングなどをするのもいいでしょう。
ですが、望遠鏡は昼間はほぼ使えません。
なぜか?見る像が上下逆さまになるからです。(鳥を見ても上下逆さまです)

ちなみに私が最初に買ったのも望遠鏡ではなく、5cm8倍の双眼鏡です。
その後、3年ほどして6.5cmの屈折望遠鏡(赤道儀タイプ)を買いました。

この赤道儀は小型望遠鏡の中ではベストセラーと言われるもので、すでに生産は終了していましたが、メーカーが在庫品を販売すると聞きつけて直接購入しました。
その後、7.7cmの屈折望遠鏡を買い足しましたが、使い勝手があまりよくなく、思い切って15cmの反射望遠鏡を買いました。
その15cmは最初に買った赤道儀に載せて使っています。

主鏡が大きくなったので、重量的に厳しく、もっと大きな赤道儀が欲しいのですが、それ相応の値段がするのでなかなか買えずにいます。

星に興味があり、望遠鏡が欲しいとチラシを見ているあなた。
まずは双眼鏡を買うことをお勧めしますよ。

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