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星空散歩(夏)〜上級編

夏。暖かく日の長い季節ですが、よく知った星座の間にも星座は輝いています。
そんな暗い星で作られた目立たないけど聞いたことがあるような星座を探して、星空を散歩してみましょう。

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<星空を説明するときは、上下左右ではなく、東西南北を使用するのが通常ですが、>
<わかりやすさを優先させるため、北半球で南を向いて立っていることを前提に上下左右でまとめています。>
<7月1日22時、8月1日20時、9月1日18時ごろの北海道札幌市で見える星空になります。>

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夏と言えばなるの大三角形ですが、この大きな三角形の周りにはいくつかの星座が輝いています。
『はくちょう座』の『デネブ』から、『わし座』の『アルタイル』に向かう途中に2つの星座があります。
『こぎつね座』と『や座』です。

『こぎつね座』は4等星よりも明るい星が無いため、見つけるのは非常に難しい星座です。
観望会などでは、「このあたりにあります。」と説明することになるでしょうか。
春の星座になりますが、『しし座』と『こじし座』があります。
冬には『おおいぬ座』と『こいぬ座』がありますが、『こぎつね座』はあっても「きつね座」はありません。
ただ、日本ではかつて「きつね座」と呼んでいた時代もあったようです。

続いて『アルタイル』側にあるのが『や座』になります。
4つの星が矢のような形を作っているから作られた星座になり、全天で3番目に小さな星座になります。
(1番小さいのが『みなみじゅうじ座』、2番目が『こうま座』になります)
こちらも4等星よりも明るい星が無いため、「このあたりにあります。」という説明になりますでしょうか。
ちなみにこんなに暗くて目立たない星座ですが、『トレミーの48星座』に数えられ、多くの時代・文明にて矢として見られていました。
神話では、アポロンがキュクロープスを撃ち殺した矢であるとか、ヘラクレスが鷲を殺した矢であるとか、ゼウスをガニュメデに夢中にさせた、愛の神エロスの矢であるとか言われています。
ちなみエロスはローマ神話に登場する愛の神クピードー(キューピッド)と結び付けられるため、「キューピッドの矢」と言ってもよいかもしれませんね。

『こぎつね座』や『や座』と違い、夏の大三角形から少し離れたところに、4つの星が小さなひし形を作っているのが見えるかと思います。
これが『いるか座』です。
4つとも4等星ですが、密集しているため、見つけやすい星座になります。
このひし形は日本各地で様々な呼び方をされており、「ヒシボシ(菱星)」とか「ヒシガタボシ」、「梭星」などと呼ばれているようです。
ひし形にすぐ右にある星を加えて、いるかの胴体と尾に見立てることができます。
東の空からにぼった直後はちょうど左を向くように見えますが、西の空に沈むときは背を下にして沈みますので、一晩欠けて夜空をぐるっと背面宙返りをしているように見ることができます。

続いては『いて座』のすぐ上、天の川のど真ん中にある『たて座』です。
こちらも明るい星はなく、わかりにくい星座ですが、天の川がどの程度見えるか?を調査する際によく用いられる領域になります。
『や座』があるから『たて座』というわけではなく(それなら「やり座」が欲しいところです)、1684年に「ソビエスキのたて座」 としてポーランドの天文学者ヨハネス・ヘヴェリウスが制定した星座になります。
なぜ盾化というと、オスマン・トルコ帝国と戦い打ち破ったポーランド国王ヤン3世ソビエスキーをたたえたからと言われています。

最後は『ヘルクレス座』と『こぐま座』の間にある『りゅう座』です。
『りゅう座』のα星『トゥバン』はかつて北極星だった星になります。
(北極星がなぜ変わるかは、別の機会にいたしましょう。)
また、三大流星群一つ『りゅう座ι流星群 (別名、しぶんぎ座流星群)』や『10月りゅう座流星群(別名、ジャコビニ流星群)』の放射点がある星座にもなります。
『りゅう座』のモデルは、ヘラクレス12冒険の11番目、ヘスペリデスの庭園から黄金の林檎を取ってくるという冒険に出てくる竜ラードーンで、(ヤマタノオロチもびっくりの)百の首を持つといわれている竜です。
眠ることのなく黄金の林檎を守っていましたが、ヘラクレスに口の中に蜂の巣を投げ込まれ倒されてしまいました。
黄金の林檎を守った功績をたたえられ星座となりましたが、眠ることのない竜なので、北の空で沈むことなく天を回り続けているのですね。

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