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惑星ってなんだ?

水金地火木土天海冥...。
太陽系の惑星の覚え方ですが、今は『冥』がありません。えっ?

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太陽系の惑星は8つです。

「えっ?ちょっと待って、小学校で9つって習ったよ。水金地火木土天海冥(※1)の9つでしょ!?」
と、いう方もいるかと思いますが、8つなんです。

【8つ】と数えているということは、何が『惑星』であって、『衛星』や『小惑星』とは違うということが、はっきりしている。
ということになります。
なので、【9つ】だったのが、【8つ】になったのです。

いきなりですが、結論です。
国際天文学連合による『惑星の定義』は以下のようになります。

1.太陽の周りの軌道上にある。
2.十分大きな質量を持つために自己重力が固体としての力よりも勝る
  結果、重力平衡状態(ほぼ球状)を持っている。
3.その軌道近くから他の天体を排除した。

国立天文台Webサイト<https://www.nao.ac.jp/faq/a0508.html>より

解説しますね。

"1"は分かりやすいですね。
要するに太陽の周りを回っていればOK。
大きさ、形、軌道(円だろうと楕円だろうと逆行だろうと)、関係ありません。

"2"は『ほぼ球体であること』となります。
この時点で、ジャガイモ型だったり、2つの小惑星がくっついたようなダルマ型など、いびつな形の天体は除かれます。
球体であるためにはある程度の大きさが必要になるので、小さいのは『小惑星』に分類されました。

ちなみに、【小惑星】と【彗星】の違いは結構あいまいで、『太陽に極端に近づく楕円軌道で、表面の揮発物質を放出して尾を作る』と彗星になります。
なので、彗星だったんだけど、揮発物質が無くなった元彗星(※2)
小惑星だと思ったら、彗星にあるようなコマを作った小惑星(※3)
なんてのもあります。

最後の"3"ですが、これがポイントです。
そこそこの大きさがあり、球形をしていて、太陽の周りを回っている。
けど『似たような軌道をほかの天体も回っている』場合は、惑星ではない。
となるのです。

ここで出てくるのが、2006年に惑星ではなくなった『冥王星』です。
冥王星は、エッジワース・カイパーベルトにあり、その衛星カロンも、冥王星の半分程度と非常に大きく、いわば二重惑星に近い天体です。
また、2006年時点で、冥王星と似た大きさの太陽系外縁天体が続々と発見され始め、"2003 UB313"(その後、エリスと命名)に至っては、冥王星よりも大きいと考えられていたため、"3"の条件に当てはまらなくなってしまったのです。
結果、冥王星は新たに定義された「dwarf planet」(準惑星)に分類され、『太陽系外縁天体として最初に発見された天体』となりました。

こうして『惑星とはこういうものである』と【定義】が整理された結果、冥王星が惑星ではなくなり、太陽系の惑星は【8つ】となりました。
今後、観測技術が発達し、未発見の太陽系天体が発見されると、定義が変わる可能性がありますが、おそらく増えることはないでしょう。

※1)
『水金地火木土天冥海』と習った方もいるかもしれません。
冥王星の軌道が楕円で海王星の軌道の内側に入っている時期があり、1979年1月から1999年3月がその時期にあたりました。

※2)
代表的な例は、ふたご座流星群の母天体である小惑星フェアトン(小惑星番号3200)

※3)
代表的な例は、小惑星キロン(小惑星番号2060が割り振られているが、周期彗星として95Pの登録番号も振られています)

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