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北はどっちだ?

方位磁針(磁気コンパス)が指す北は、正しくない。。。
こう言われるとびっくりする方は多いと思いますが、正しくないんです。

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では、方位磁針が指している『北』は、どこなのでしょうか?

方位磁針が指している先は、『北磁極』になります。
北磁極とは、『天体の北半球地表面で、磁力線の方向が垂直になっている地点』のことです。

つまり、地球は北極をS極、南極をN極とする磁石に見立てることができますが、そのS極の磁力線が地表に現れる地点が『北磁極』になります。
(北極がS極?と思う方がいるかもしれませんが、磁石の一方が北(north)を指すので、北を指すでN極となっています。
 N極とS極は引き合うので、北磁極はN極を引く=S極が出ているとなるのです。)

では、この『北磁極』はどこでしょうか?

つい最近まで「おおよそカナダの北方、エルズミーア島付近」とされていました。

ですが、この『北磁極』。動いているのです。

最新の観測では、だいぶ北極点に近い位置にまで動いているようです。
 ※北磁極の移動加速、1年に55キロ 「世界磁気モデル」 1年前倒しで更新”(2019年2月6日)

『北極点』と『北磁極』の位置が違うということは、方位磁針が指す『北』は、真北(=北極点)ではないということになります。

この方位磁針が指す『北』と『真北』のずれのことを『偏角』と言います。

偏角は場所によって全く異なります。
日本の場合は、国土地理院によって調べられた結果が公開されています。
 ※磁気図|国土地理院
  上記の、2015.0年値(2015年1月1日0時[UT]における磁場の値) にある「偏角(PDF:1120KB)」が偏角になります。

これをみると、おおよそ、北海道で約9度、関東で約7度、沖縄で約4度、西にずれていることがわかります。

ですので、方位磁針で北(=磁北)を調べた後、真北を知るには、北海道の場合は約9度、東に向ける必要があります。

ちなみに、スマートフォンなどに搭載されているコンパス(電子コンパス)は、GPSからの信号と地磁気センサーを組み合わせて方角を示していますが、示しているのは『磁北』になります。
設定画面を開くと【真北を使用】といった設定があるかと思いますが、これを ON にすると、『真北』を示すようになります。

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