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独断と偏見による二重星ベスト5

移動天文台などで見せることが多い二重星
私の独断と偏見でこれは見るべきと言う二重星ベスト5を選んでみました。
(はくちょう座β星のアルビレオは殿堂入りということで除外しています)

二重星とは

肉眼で見ると一つの星にしか見えないですが、望遠鏡で倍率を上げると2つ(複数)に見える星のことを一般的に「二重星」と言います。
(もちろん、3つや4つなど複数見えれば三重星、四重星とも言います)

天球上で極めて接近して見える2つの星。
天球上で接近して見える2つの星には、距離の大きく異なる2つの星がたまたま視線方向が近いために接近して見えるものと、実際に万有引力によってお互いの周りを回っているものがある。
前者を見かけの二重星といい、後者は実視連星という。実視連星の存在は、1802年にウィリアム・ハーシェル(W. Herschel)によって発見された。

天文学辞典(日本天文学会)より

連星なのか重星なのか

連星(二連星)は、2つの恒星が重力的に結合した恒星系(連星系)を形成しているもので、3つなら三連星、4つなら四連星となります。
重星(二重星)は、実際には複数の恒星が地球から見て、偶然同じ方向に位置しており、「見かけ上、連星のように見える」場合になります。

見応えのある二重星一覧

小口径(10cm程度)の望遠鏡(屈折がおすすめ)で見応えのある二重星を列挙しました。
ベスト5に漏れた恒星以外も十分な見応えがありますので、是非ご覧になってください(自分で見ることができない場合は、観望会などでリクエストしてみてください)

アクラブ、アルギエバ、アルニタク、アルビレオ、アルマク、アンタレス、いっかくじゅう座β、いて座h5003、いるか座γ、イザル、うお座α、エリダヌス座32番星、エリダヌス座θ、おおいぬ座145番星、おひつじ座γ、オリオン座σ、かに座ι、かみのけ座24番星、かんむり座ζ、かんむり座σ、カシオペヤ座Σ3053、カストル、きりん座β、くじら座66番星、ケフェウス座β、ケフェウス座δ、ケフェウス座ο、 こと座ε、コル・カロリ、さんかく座ι、トラペジウム、はくちょう座δ、へびつかい座ο、へび座δ、ヘルクレス座95番星、ポリマ、みずがめ座41番星、みずがめ座ζ、ミザール、ラス・アルゲティ

見応えのある二重星(他にもたくさんあります)

独断と偏見による二重星ベスト5

見応えのある二重星から独断と偏見で選んだ二重星を詳しく紹介します。
なお、しつこいですが、はくちょう座β星のアルビレオは殿堂入りということで除外しています。

アルマク/アンドロメダ座γ星

アンドロメダ座で輝く二重星です。
離角が小さく寄り添うように見えるのでオススメです。
夏から秋にかけて東の空で導入しやすく、移動天文台では見えれば必ず導入する天体です。
個人的には導入のしやすさ、離角、色の対比などアルビレオよりもオススメの星になります。
(アルビレオは天頂付近にあり導入するのが大変なのです)

二重星の見え方はイメージになります

いるか座γ星

夏の大三角形のすぐ外にあるいるか座の星です。
アルビレオほど高くならないので比較的導入がしやすいです。
いるか座の頭の台形は5度の視野(ファインダー)に入りますので、台形を入れてから合わせると良いでしょう。

二重星の見え方はイメージになります

ケフェウス座δ星

移動天文台のシーズン(春から秋)を通して見えますが、恒星自体が暗いので難易度はやや高めです。
それでも北の空が暗い場所では狙う価値のある二重星になります。

二重星の見え方はイメージになります

コル・カロリ/りょうけん座α星

北の空、北斗七星のすぐそばにあるりょうけん座の二重星になります。
北斗の柄をそのまま伸ばし、円を描くようにしたその中心にあります。
高さ的にも導入しやすいのでオススメです。

二重星の見え方はイメージになります

ラス・アルゲティ/ヘルクレス座α星

へびつかい座のラス・アルハゲのほうが明るいので注意が必要です。
色のコントラストが赤とオレンジなので、見応えがある二重星です。
導入するときには明るいラス・アルハゲを見つけて、その側とすると良いでしょう。

二重星の見え方はイメージになります

見え方比べ

それぞれ離角も書きましたが、比較してみましょう。

二重星の見え方はイメージになります。

離角が様々なので、どの倍率だとどう見えるのか(近すぎるor離れすぎている)を把握して適切な倍率で見るようにすると良いかと思います。

※この記事は天文ボランティア研修で発表した内容を再編集したものです
※記事中の星図はStellaNavigator7/アストロアーツを使用して作成
※説明中にある「20時高度」は北海道札幌市でのものになります

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